3月の和名は「弥生」。
「弥」はますます・いよいよという意味。
「生」は生い茂る様子。
春が近付いて、草木がいよいよ生い茂る様子を表しています。
3月の異名は他にもあり、桜月（さくらづき）・花見月（はなみづき）・花月（かげつ） ・夢見月（ゆめみつき）など、萌え出づる春の様子を表現したものばかり。
年度替わりで何かと慌ただしい時期ではありますが、少し立ち止まって、自然の生命力に触れてみてはいかがでしょうか。
3月のこよみ
3月3日「上巳の節句（桃の節句）」（節句）
3月最初の巳の日という意味。後に3日に定まりました。
桃の季節でもあることから桃の節句とも呼ばれます。
桃の節句といえばお雛様ですが、この日にお雛様を飾るようになった起源は古代の中国にまで遡ります。
当時の中国ではこの日に川で身を清め、不浄を祓った後に宴を催す習慣がありました。つまり上巳の節句は、元来、春を寿ぎ、無病息災を願う厄払いの行事だったのです。
これが日本に伝来して神事と結びつき、紙や草でできた人形（ひとがた）で自分の身体をなで、厄や病などの穢れを移して川に流す行事へと変化しました。
現在でも一部地域に残る「流し雛」の風習はこの名残です。
さらに時代は下り、人形を厄災避けのための「守り雛」として飾る習慣へと変化します。
なお、現在のように男女一対の内裏雛を飾るようになったのは、江戸時代ごろからと言われています。
3月5日「啓蟄」（二十四節気）
「啓」は開く、「蟄」は土中で冬ごもりしている虫などのことを指します。
春の訪れ感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃のこと。
少しずつ気温も上がり、日差しも春めいてきます。
草木も芽吹き出すころ。店先に山菜が並び出して、味覚でも春を楽めるようになりますよ。
3月17日「彼岸」（雑節）
春分の前後3日を合わせた7日間が「春彼岸」。
今年は3月20日が春分ですので、その3日前の3月17日に彼岸入りし、3日後の23日に彼岸明けします。
仏教では、三途の川を挟んで「彼岸（三途の川のあちら側）」と「此岸（私達の住む側）」に分かれると考えられています。
また極楽浄土＝彼岸は西の彼方にあるとされることから、太陽が真西に沈む春分（と秋分）は、その夕日が彼岸への道しるべになるとされてきました。
お彼岸は、亡き人のいる西の彼方の浄土を思い、供養をする期間なのです（お盆のように、浄土から帰ってくるわけではありません）。
お彼岸のお供え物といえば「ぼたもち」または「おはぎ」ですが、このふたつ、何がどう違うのかはご存知ですか？
実はどちらも同じ「蒸した餅米を潰し、丸めて餡子で覆ったもの」なんです。
違うのは作る時期。
牡丹が咲く時期であることから春のお彼岸にお供えするものは「ぼたもち（牡丹餅）」、同様に、秋は萩の花に見立てて「おはぎ（御萩）」と呼ばれているようです。
3月20日「春分」（二十四節気）
天文学上「昼と夜の長さがほぼ等しくなる」日（春分日）。
この日を境に昼が長く、夜が短くなっていきます。
春分の七十二候の2番目は「桜始開（さくらはじめてひらく）」。誰もが待ち望む、お花見シーズンの始まりです。いよいよ春本番ですね。
またこの日は国民の祝日でもある「春分の日」。国立天文台が官報で発表する「春分日」を基準に決められるので、年によって日付が異なります。
3月の自然を表す「ことば」
甘雨│かんう
春先に降る、煙るように穏やかに降り続く雨のことを「春雨」と表します。
その中でも特に、この時期の草木を潤し、成長を促すやさしい雨のことを「甘雨（かんう）」と呼びます。天からの恵みという意味の「甘露の雨」から転じた言葉。
春疾風│はるはやて
立春から春分の間に、その年はじめて吹く強い南よりの風が「春一番」。その春一番が吹いた後も、春はたびたび烈風が吹き荒れることがあります。
「春疾風（はるはやて）」は、このような強い風のことを表すことば。
冬の西高東低の気圧配置が崩れ、日本列島の上空を通過する低気圧によって起こる春の強風は、そのうららかな印象の字面とは裏腹に、非常に荒れた天気をもたらすことがあります。
花曇り│はなぐもり
桜が開花する、3月の終わりごろから4月はじめにかけて見られる曇天のこと。
この時期は、偏西風に乗った移動性高気圧と低気圧が日本列島付近を通過していくため、晴れの日と雨の日が交互に続き、スッキリ晴れた日は少ないもの。中でも「花曇り」は、雨が降るような低く垂れ込めた雲ではなく、うっすらと日を遮るような曇り空のことを指します。
春霞│はるがすみ
春に発生する霞（かすみ）そのもの、また、それによって遠くの景色がぼんやり霞んで見えづらくなること。
春の空を霞ませる原因となるものは複数あります。
例えば、空気中の水蒸気が冷やされ細かい水滴状に変化することで現れる春霞は、気温差の大きくなる昼と夜の変わり目によく見られます。
ほかにも、気温の上昇で発生する上昇気流に乗った砂や埃、偏西風に乗って飛来する黄砂、スギやヒノキの花粉は太陽の光を散乱させ、空を白っぽくする原因となります。
朧月│おぼろづき
「朧月（おぼろづき）」は、春霞や雲で柔らかくかすんで見える、風情のある月の様子を表すことばです。
春の月を柔らかく滲ませるベールのような雲は、空高くに広がる「おぼろ雲」と呼ばれる高層雲。
偏西風に乗った低気圧（温暖前線）が近付いてきているサインとして出現するので、昔から「朧月なら翌日は雨」と言われたりもしています。
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今回は「外食」についてお聞きしました。
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