8月の和名は「葉月」。
紅葉・落葉する「葉落ち月」から転じたものと言われます。
太陽輝く夏の盛りに葉が落ちる?と不思議に思うかも知れませんが、暦の上で8月は「初秋」。秋なのです。
そう言われてみれば、月半ばのお盆を過ぎると、吹く風に秋の気配が感じられるように思いますね。
空が徐々に高くなる、夜が少し早く来るようになる……そんな季節の移ろい探しをしてみるのも良いかもしれません。
とはいえ、まだまだ続く炎暑の毎日。私たち人間は暑さにぐったりしてしまうというのに、草花はいよいよ色濃く、勢いを増します。
朝露に濡れる夏空色の露草。水辺で涼しげに咲く蓮。午後の気だるい風に揺れる桃色の百日紅。そんな色彩鮮やかな8月の、暮らしの歳時記を紹介します。
8月のこよみ
7月19日〜8月6日「夏土用」(雑節)
雑節のひとつ「土用」は、土公神(どくじん)という土を司る神様が支配する期間のこと。季節の変わる立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間を指し、期間中は土を動かす作業(土いじり、地鎮祭、井戸掘りなど)を忌むことになっています。
とはいえ18日もの間ずっと作業ができないのは、さすがに実生活に影響が出ますよね。そこで土公神が地上を離れる日を設け、その日に限っては作業をしてもOKとしました。それを「間日」と呼びます。
2024年の夏土用の間日は、7月26日・27日・31日でした。
8月7日「立秋」(二十四節気)
この日から暦の上では秋がはじまります。
季節のご挨拶も「暑中見舞い」から「残暑見舞い」に変わるのでご注意を。
立秋は「朝夕が涼しくなり、秋の気配のたつころ」とされますが、実際にはこれからまだまだ暑い日が続きます。
8月22日「処暑」(二十四節気)
「暑さがやむころ」という意味。
暑さが峠を超え、朝夕の風に秋の気配を感じるようになってきたでしょうか。
近畿地方を中心とした一部地域では地蔵盆の時期なので、これが終わると「夏が終わった」と感じる人も多いようです。処暑は夏のしつらえを片付け、秋に向けて準備を始める目安の日でもあります。
8月31日「二百十日」(雑節)
立春から数えて210日目。八朔(2024年9月3日)・二百二十日(2024年9月10日)と並んで荒天になりやすい日として「農家の三大厄日」と呼ばれます。
強風や大雨などで収穫前の稲が倒れると減収につながるため、注意喚起の日というわけです。現代のように詳細な気象予測ができなかった時代の知恵ですね。
8月の年中行事とイベント
8月15日「お盆」
正式には「盂蘭盆会」といって、先祖の霊を迎えて供養する行事です。
「釈迦の弟子の目連が、餓鬼道に落ちた母親を救うため7月15日に霊を供養した」ことに由来して、かつては7月15日を中心に行事が行われてきましたが、現在では一部地域を除いて月遅れの8月に行うことが一般的になっています。
13日の夕方に迎え火を焚いて祖先の霊を迎え、16日(一部地域では15日)に送り火で送り出します。
有名な京都の五山の送り火も、この送り火のこと。大きな川が流れる地域では、灯籠流しで川へ送ることもあります。
8月23日「地蔵盆」
地蔵盆は地蔵菩薩の縁日を中心に行われる、子供が主役の行事。子供が主役なのは、地蔵菩薩が子供の守り仏であることに由来します。
8月下旬、夏休みの終盤にある行事ということもあって「夏の締めくくり」といった風情が漂います。
それもそのはず。地蔵盆が行われるのは二十四節気の「処暑」。暑さがやむ頃という意味で、夏のしつらえを片付けたり秋に向けた準備を始めたりするころなのです。
地蔵盆の儀式は、地域の大人たちが祠からお地蔵様を出し、きれいに彩色し直したり前掛けを新しいものに取り替えたりすることから始まります。祭壇を組んで花や供物を飾ったら、その前で玉が大きく長い(数メートルほど)数珠を子供たちが車座になって回す「数珠回し」が始まります。
でも儀式らしい儀式は、これで終わり。
地域によって多少の違いがありますが、数珠回しのあとは、お菓子が配られたりゲームや福引きなどの遊びが行われるなど、子供たちが楽しむためのイベントがメインになります。
長い夏休みに少し飽きてきたころ。友達と集まって、もらったお菓子を食べ、遊ぶのはとても楽しく、子供時代に地蔵盆を体験した人は、お盆行事というより「夏の終わりの楽しいイベント」として記憶していることが多いようです。
8月の自然を表す「ことば」
土用波
夏土用のころ、晴天で風もないのに太平洋沿岸部に打ち寄せる大波のこと。
古くから漁師はこの波の存在を知り、警戒していました。
その正体は、はるか南の海上で発生し、発達を続ける台風が起こす波浪から発生する「うねり」。
「うねり」は強風によって起こる波と違って、一見ゆったりと穏やかに見えますが、水深の浅いところでは波が高くなりやすい性質を持っています。
もしこの時期の海で、晴れて穏やかなのにもかかわらず遊泳禁止の指示が出ていたら、指示に従って海に入らず、海岸から離れましょう。
雲の峰
モクモクと入道雲(積乱雲)が林立する様子を、そびえ立つ山並みに例えた言葉。夏の青い空と白い雲のコントラストを想起させる、美しい夏の季語です。
雲は、太陽に熱せられた地表付近の空気が上昇気流となり、それが上空で冷やされることで発生しますが、夏の強い日射しで熱せられた強い上昇気流は勢いよく空高く昇り、大きくわき立つような雲を作ります。
「雲の峰」は夏の情景だけでなく、夏のうだるような暑さすらも表現する「ことば」と言えましょう。
夕立
雲の峰が育ちきると、夕立がやってきます。
夕立は夏の午後に降る強い雨のこと。ときに雷を伴うこともあります。
夏の強い日射しで熱せられた強い上昇気流は、周囲の水蒸気を巻き込みながら成層圏付近まで入道雲を押し上げます。水蒸気が上空の冷たい空気で冷やされることで、雲の中で大きな水や氷の粒が育つのですが、大きくなりすぎると今度は上昇気流で支えきれなくなり、地表に落下する、つまり雨となって落ちてくるというのが夕立の仕組みです。
入道雲は背は高いのですが面積は狭いので、雨の降る地域と降らない地域がはっきりと分かれます。そういった雨の降り方のことを「馬の背を分ける」と呼んだりします。
油照り
風のない薄曇りの日、じっとしていても汗がにじみ出るような、ジットリした暑さを表現した晩夏の季語です。
太陽輝く炎天の、カラッとした暑さとは別物の暑さです。
夏休みは夜空を見上げたい
8月10日「伝統的七夕」
旧暦の7月7日頃を「伝統的七夕」として夜空を見上げましょう、という国立天文台の提唱です。
ふだん私たちが親しんでいる新暦7月7日の七夕は、梅雨の最中ということもあって、なかなか星を見ることはできません。でも旧暦の七夕のころなら梅雨も明け、天候も安定しているので星見には絶好の環境です。
伝統的七夕の決め方は「処暑よりも前、処暑に最も近い新月の日から数えて7日目」。
月齢5.7のやや細い月は夜の初めごろに沈みますので、夜空が充分に暗くなる時間になれば、天頂あたりに昇ったこと座のベガ(織姫星)と わし座のアルタイル(彦星)も見つけやすくなります。条件が整えば天の川がみえるかもしれませんよ。
8月13日「ペルセウス座流星群が極大」
三大流星群のひとつ「ペルセウス座流星群」が見ごろを迎えます。
今年は8月12日の23時ごろに極大(もっとも流星群の活動が活発になること)を迎えるので、12日深夜から13日未明にかけてが観察のチャンス。特に放射点が空高く昇る、夜半過ぎから明け方ごろにかけて、多くの流星がみられるでしょう。
2024年は夜半前に月が沈むため(香川県高松市で22:40)、月明かりの影響もなく、晴れてさえいれば非常によい観察コンディションです。
流れ星は放射点を中心に四方八方に飛びだしていく(ように見える)ので、空全体を広く見渡せる場所で見るのがおすすめです。可能であればレジャーシートを広げて仰向けになっておくと楽ですよ。
今月のアンケート
みんなの暮らし聞いてみました! \こんなとき、どうしてる?/
わざわざ聞かない。聞けないけど、ずっと気になっている日常生活のアレコレ…「そういえば、みんなどうしてる?」をリサーチしてお届けします!
今月のお題は「暑さ対策」
例年になく厳しい暑さ。みなさんはどのような対策をしていますか?
今回は暑さ対策についてお聞きします。外出時に持ち歩くものや就寝時の暑さ対策、エアコンの使い方など、みなさんの暑さ対策を教えてください。
回答期限:2024年8月15日(木)
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