住宅ローン控除による還付を受けるには、確定申告や年末調整での手続きが必要です。
しかし、慣れていない申請手続きに加えて、準備すべき書類が多いなど、お困りの人も多いようです。ここでは、住宅取得後の「住宅ローン控除」の申請方法や必要書類について、取得住宅別に詳しく解説します。
さらに、申請時に多くの人がやりがちな失敗と対処方法もフォローしています。抜かりなく申請ができるようぜひご活用ください。
ここでは、令和5年分の住宅ローン控除の確定申告について解説しています。
住宅ローン控除のキホンをおさらいしよう
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、簡単に言うと「ローンを利用した住宅購入や増改築を対象に、年末の住宅ローン残高に応じて、納めた所得税が還ってきたり住民税が減額されたりする制度」のことです。
住宅ローン控除の適用期間は基本的に10年間。ただし2023年12月末までに入居した場合は、13年間に延長されています。(適用期間13年には、入居時期の他にも契約締結時期などの要件があります。)
1年目から13年目まで住宅ローン年末残高の0.7%が控除され、控除上限額は取得する住宅の省エネ性能によって異なります。住宅ローン控除額が源泉徴収された所得税よりも多い場合には、翌年の住民税から「所得税の課税総所得金額等の5%(上限97,500円)」の範囲で控除されます。
上記は2023年4月1日現在の法令などに基づいて解説しています。住宅ローン控除の制度は、控除率や要件が改正される可能性がありますのでご注意ください。
※2022年より前に入居した方、より詳しく知りたい方は、国税庁ウェブサイトの項目3「住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法」をご参照ください。
ただし、住宅ローン控除は単にローンを組んでいれば利用できるというわけではなく、適用されるには様々な条件があり、控除等の上限金額も満たす条件によって異なります。詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
申請の手順と、控除を受けるまで
初年度は確定申告で申請する
初年度の住宅ローン控除申請は、給与所得者か否かに関わらず、必ず確定申告をする必要があります。そもそも住宅取得後に確定申告をするかしないかは所有者の任意ですが、住宅ローン控除を受けて年末のローン残高に応じて「納めた税金の一部を還してもらう」ためには、確定申告が必須です。
確定申告の時期は、例年2月中旬から3月中旬となっており、期間は約1ヵ月間。確定申告の手続きの方法は様々ありますので、確定申告書の作成方法ごとにまとめてご紹介します。
紙で申告書を作成する場合
申告用紙の入手は、国税庁ホームページからの印刷や税務署等の窓口へ取りに行く、また郵送を依頼するなどの方法があります。
提出は、居住する地域を管轄する税務署への持参や郵送があります。
Webで申告書を作成する場合
国税庁のサイト「確定申告書作成コーナー」で作成することができます。このコーナーで作成した申告書をそのままe-Taxで電子申告することもできますし、紙に印刷して居住する地域を管轄する税務署へ持参または郵送して提出することも可能です。
税務署で確定申告書の用紙を入手し、持参または郵送で提出する方法は間違いがなく確実ですが、確定申告の時期になると税務署が大変込み合います。余裕を持って提出できるようにしておきましょう。
e-Taxでの電子申告は税務署での待ち時間がなく便利です。マイナンバーカードを持っている場合は、ICカードリーダライタを使用するほか、スマートフォンを使ってマイナンバーカードのQRコードを読み取ることも可能で、申請も手軽にできるようになっています。
給与所得のみの人は2年目以降、年末調整で申請OK
給与所得だけの人の場合、2年目以降は年末調整時で控除申請をすることが可能です。
初年度に確定申告を行ったあとの10月ごろ、給与所得者には残りの住宅ローン控除適用期間分の「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(兼、年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書)」が税務署から送られてきます。この申告書と必要書類を会社に提出することで住宅ローン控除を受けることができます(必要書類については、後ほど詳しく説明します)。
ちなみに給与所得者以外の方は、毎年確定申告をする必要がありますので注意してください。申告方法は初年度と同じです。
還付の時期は申請方法によって異なる
還付の時期は申請方法によって異なります。
確定申告なら約1~1.5ヵ月後(電子申請の場合は約3週間)に指定口座へ振り込みされます。
年末調整で申請した場合は、一般的には12月の給与または賞与と同じタイミングで還付されます。還付時期が分からない場合は会社に確認してみると良いでしょう。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
住宅ローン控除の申請に必要な書類
確定申告時に必要な書類
初年度の住宅ローン控除は確定申告で行うため、準備する書類が多くなります。また取得住宅の種類によって必要な書類も異なるので、ご注意ください。
新築住宅の場合
マイナンバーが分かる書類はマイナンバーカード自体、またはマイナンバーの通知書かマイナンバーが記載されている住民票で対応できます。マイナンバーカード以外の書類を使用する場合は、運転免許証やパスポートなど、本人確認書類を併せて提出する必要があります。
中古住宅の場合
取得した中古住宅によって必要な種類が異なりますので、間違いがないよう注意してください。
買取再販住宅の場合
買取再販住宅とは簡単にいうと、宅地建物取引業者が既存住宅を取得し、増改築を行ったうえで個人に販売する住宅のことです。
こちらも取得した住宅によって必要な書類が異なりますので、注意しましょう。
給与所得者が年末調整時に必要な書類
住宅ローン控除を受けるのが2年目以降の給与所得者は、年末調整で申請を行うことが可能です。この場合は確定申告と違って、必要な書類は2点のみ。更に新築住宅と中古住宅のどちらの場合でも必要書類は同じです。
「住宅ローン年末残高証明書」は、毎年10月から11月頃に借入先の金融機関から届きます。
しかし「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(兼、年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書)」は、初年度の確定申告後に税務署から残りの住宅ローン控除適用期間分がまとめて送付されてくるため、失くさないよう大切に保管しておく必要があります。
住宅ローン控除の確定申告の方法
前述したように、確定申告はWeb上で作成することができます。
- 「提出方法」を選択します。
【マイナンバーカードを持っている場合】
スマートフォンを使ってマイナンバーカードを読み取るか、ICカードリーダライタを使うかを選択します。スマートフォンを使う場合、機種によって対応していない場合がありますので、確認しましょう。どちらの場合も「マイナポータルアプリのダウンロード」が必要です。
【マイナンバーカードを持っていない場合】
『ID・パスワード方式』を利用するか、『印刷して提出』するかを選択します。 ID・パスワード方式は、税務署で本人確認がされたあとにID・パスワード方式の届出完了通知が発行されるものです。この手続きを行っていない場合は、『印刷して提出』を選択します。
参考:国税庁|e-Tax利用の簡便化についてよくある質問「ID・パスワード方式を利用するには、どうしたらよいですか。」
- 推奨環境を確認し、次に進みます
作成する年を確認し「所得税」の項目から作成に進みます
ここからは、記載される質問に沿って入力を行っていきます。
住宅ローン控除申請でよくある失敗と、その対処方法
年末調整で申請し忘れた!→確定申告で申請する
住宅ローン控除を受けるのが2年目以降の給与所得者であるにも関わらず、年末調整で申請し忘れた場合は、確定申告での申請に切り換えましょう。
確定申告は必要な書類も多いため面倒に感じるかもしれませんが、控除期間が1年短くなるだけで還付されない金額も大きいため、必ず申請することをおすすめします。
年末調整までに「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が届かず、翌年1月31日までに交付を受けたときは、その証明書を給与の支払者に提出すると年末調整の再計算を受けられる可能性もあります。会社に確認してみましょう。
申請の必要書類を紛失した!→再交付の手続きをしましょう
初年度の確定申告後に税務署から送付されてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(兼、年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書)」を紛失してしまった場合は、すぐに再交付の手続きをとりましょう。
居住地を所轄する税務署長に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を提出することで再交付を受けることができます。提出方法は税務署への持参または郵送の何れかを選択でき、再交付のための手数料は必要ありません。
まとめ
住宅ローン控除の基本的な申請フローと住宅の種類別で必要な書類、申請時に起きた失敗の対処方法について解説しました。
特に初年度の確定申告は、準備する書類や記入する書類が多く面倒に感じるかもしれませんが、申請の流れを参考にしながら抜かりなく申請して、夢のマイホームで楽しく過ごしてくださいね。
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