給与所得のみの方が住宅ローン控除を受けるには、初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で申請することができます。
年末調整での控除申請は確定申告での申請よりも簡単ですが、年に1回しか記入しない書類のため書き方を覚えている人は少ないでしょう。しかも書類の記入にミスがあれば、確定申告で申請し直すことになってしまい、手間も時間もかかってしまいます。
そんな事態を避けるべく、ミスなく・素早く・確実に年末調整で住宅ローン控除申請する方法を、記入例付きでわかりやすく解説します。年末調整で簡単に終わらせて、良い年末を迎えましょう。
目次
年末調整で控除申請できるのは、2年目から
年末調整で控除申請ができるのは、住宅ローン控除を受けるのが2年目以降の人です。
1年目の人は確定申告で申請します。
住宅を購入して初めての年末を迎える方は、この記事を参考に確定申告に臨んでください。
住宅ローン控除を受けるために、年末調整で必要な書類は2つ
1.給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

入手方法と入手先
1年目の確定申告をした次の10月ごろに税務署から控除期間分がまとめて送られてきます。
住宅ローン控除が10年間ある方は9枚、住宅ローン控除が13年間ある方は12枚送られてきます。無くさないように大切に保管しましょう。
2.住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

入手方法と入手先
借入をしている金融機関から毎年10月中旬ごろに送られてきます。こちらも無くさないように注意しましょう。
必要書類が手元にない場合は再発行手続きをする
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書は<税務署>へ
税務署に再交付の依頼をします。
手続きは郵送でも可能。代理の方が書類を取りに行かれる場合は委任状が必要です。
参考:国税庁[手続名]年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/36.htm
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は<金融機関>へ
借入をしている金融機関に再発行を依頼します。
また、はがきが届く直前(または、はがきが届いたあと、その年の12月31日まで)に繰り上げ返済をした場合、ハガキに記載された年末残高と実際の年末残高が違うことがあります。その場合は金融機関に問い合わせが必要です。
年末調整書類の書き方
書き方は、分かりやすいように記入欄を赤・青・緑の3つに分けて解説します。

記入前に、用紙が今年のものかの確認をしてください。元号は用紙の左上に書かれているので、必ず申請する年のものを使います。
【赤枠】氏名や会社名の記入欄

① 会社名 | 会社の正式名称を書きましょう |
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② 給与支払者の所在地 | 給与明細等に記載してある会社の住所を記入しましょう(本社の住所であることが多いです) |
③ 税務署 | ②で記入した住所の所轄税務署を記入しましょう(分からない場合は空白でも大丈夫です) |
④ 氏名 | ふりがなと印鑑を忘れないようにしましょう |
⑤ 世帯主氏名とあなたとの続柄 | 世帯主の名前を書き、続柄は(本人・妻・夫・親・子)から選んで記入しましょう |
⑥ あなたの住所 | 住民票のある住所を記入しましょう |
【青枠】持分の割合に応じた住宅ローン残高の記入
一見難しそうに見えますが、どこから転記するのかを知れば難しくありません。
連帯債務で住宅ローンを組んでいる方は転記するときに計算が必要です。しっかり内容を読んで取り組んでください。
新築又は購入に係る借入金等の年末残高
この欄は住宅ローンの債務者が1人か複数かで記入の仕方が変わります。

■債務者が1人の場合
1人の場合は、金融機関から送られてくる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」から転記するだけです。
住宅のみか、土地等のみか、住宅及び土地等か、を残高証明書で確認し、残高予定金額を記入しましょう。下の図に示したとおり、赤線の部分を確認すれば分かります。

■債務者が複数の場合
連帯債務の場合は持ち分割合に応じて記入します。
計算式は 年末残高の金額×負担割合 です。

取得対価の額と居住用部分の割合

この欄は申告書の下に記載された「住宅借入金等特別控除証明書」を転記して計算するだけの欄になります。計算を間違えないようにだけ注意してください。

増改築等に係る借入金等の計算
用紙の右側、⑥~⑩は増改築に関する欄です。増改築をしていない場合は記入不要になります。

増改築をした場合
⑥は「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」と同じ方法
⑦ ~⑩は「取得対価の額と居住用部分の割合」と同じ方法になります。
【緑枠】住宅ローン控除の金額

① 記入欄⑪ | 記入欄⑤+⑩ 4,000万円を超えた場合は4,000万円と記入します |
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② 記入欄⑫ | 特定増改築等に該当する場合のみ記入します 申告書の下の「住宅借入金等特別控除証明書」の「ル」から転記します |
③ 記入欄⑬ | 特定増改築等に該当する場合のみ記入します ⑪と⑫の少ない方を転記します |
④ 記入欄⑭ | ⑪×0.01を記入します(100円以下は切り捨て) |
⑤ 年間所得の見積額 | 年間の所得が3000万円超えてないか確認するための欄です 年収ではなく、総所得の概算を記入します |
⑥ 連帯債務による住宅借入金等の年末残高 | 連帯債務でない方は記入の必要はありません 連帯債務の方は、持ち分関係なく年末の住宅ローン残高が合計でいくらなのかを記入してください |
⑦ 備考 | 連帯債務の方・災害で住めなくなった方は記入が必要です |
備考の記入:連帯債務者がいる
連帯債務者がいる場合、連帯債務者に記入、押印してもらう必要があります。連帯債務者が複数の場合は全員分の記入が必要です。

備考の記入:災害で住めなくなった
災害によりその家に居住することが困難になった場合は、「災害発生日 令和〇年〇月〇日」と記載します。なお東日本大震災により居住できなくなり、適用期間の特例を受ける場合には「適用期間の特例」と記載します。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書を申告書に添付する
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、申告書に添付して提出します。連帯債務でローンを組んでいる方は、自分の名前のものを提出してください。

年末調整ができなかったら「確定申告」を
もし年末調整の時期を過ぎてしまった場合は、確定申告で申請することができますので安心してください。また、年末調整時の申告内容が間違っていた場合も、確定申告をすることで、申告内容を修正することができます。
確定申告の時期は翌年の2月15日~3月15日までのケースが多いです(毎年休日の関係で若干期間が違いますのでご確認をお願いします)。
まとめ
住宅ローンの年末調整は転記することばかりなので難しいところはありません。
しかしどこから転記するのかが分からないために、難しく感じてしまいます。
この記事を読んでスムーズに年末調整をし、良いお年をお過ごしください。