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味噌 作り方
くらしのヒント

意外とシンプルで簡単♪ 初心者でも美味しく仕上がる味噌の作り方

日本の食卓でおなじみの味噌。今はお店で買うのが主流になっていますが、かつては各家庭で手作りした味噌を使うのが一般的だったようです。

とはいえ味噌作りの習慣が疎遠になってしまった現代では、味噌作り=「難しい」「手間がかかりそう」と感じる方も多いかもしれません。
でも味噌の材料は大豆・麹・塩のみで、とてもシンプル。さらに道具はほとんど家にあるものでまかなえますし、作る工程も複雑ではありません。意外とハードルが高いものではないのですよ!

今回は、初心者でも安心して挑戦できる味噌の作り方と失敗を防ぐ注意ポイントをあわせて紹介します。


味噌作りに適した時期はいつ?

1年のうちで味噌作りに適した時期はあるのでしょうか。ここでは、美味しい味噌を作るための時期を紹介します。

ベストなのは寒仕込み(1月〜2月)。旨味が強い味噌ができる

寒の時期は、寒の入り(小寒:1月5日頃)から寒の明け(立春2月4日頃)の約1ヶ月のこと。味噌の仕込みには寒の季節が適しているといわれており、その理由のひとつは熟成期間の長さです。

寒の季節に仕込んだ味噌は、冬~春、春~夏と徐々に上がっていく気温の変化にあわせてじっくり熟成するため、熟成期間が長くなります。時間をかけて熟成することで旨味や風味が強い味噌に仕上がるのが特徴なのですよ。

また、秋に収穫したばかりの米(麹)や大豆が手に入る時期なので、新鮮な材料を使うことで一層美味しい味噌が出来上がります。

他の季節でも味噌作りは可能!冬以外に仕込む場合の注意点

味噌を仕込むのには、寒の季節がおすすめとお話ししましたが、他の季節でも味噌を仕込むことは可能です。ただし、時期によって気をつける点や仕上がった味噌の味わいは異なります。

春(3~5月頃)の仕込み

3月~5月の仕込みは、寒仕込みに比べて外気温が上がっているので、発酵の始まりや進みが早くなります。
食べ頃は、寒仕込みと同じく10月~11月頃ですが、寒仕込みと比べて熟成期間が短いので味噌の色は薄いのが特徴です。熟成期間は短くても短期集中でしっかりと熟成しますので、味噌の旨味は十分に引き出され美味しく仕上がります。

注意点

気温が高い年は発酵が早く進みます。8月初旬に味噌の色づきなど状態を一度チェックしましょう。熟成が早いと感じたら涼しい場所に移すといいですよ。
逆に10月を過ぎてもまだ塩辛さを感じたら熟成が遅れ気味と考えられますので、12月頃まで常温で保管しましょう。

夏(6~8月)の仕込み

外気温が30度近くになると発酵が早く進むので、この時期に仕込む味噌は、温度を上げて3ヶ月ほどで味噌にする「即醸味噌」に近い仕上がりになります。味噌の色は薄くきれいで、味噌の風味は少なくあっさりとした味わいが特徴です。食べ始めの目安は12月~1月頃です。

食べ始めの目安は12月~1月頃ですが、味噌の熟成具合は状況によって異なりますので、夏を越えた11月頃に一度、状態をチェックするといいでしょう。

注意点

食べ頃のタイミングでもまだ塩辛く大豆のにおいが強い場合は、もうしばらく常温で熟成を続けます。
ただし、気温が低い冬になると発酵はほとんど進まないので、気温が上がり出す翌春まで発酵を待ちます。発酵が進みだしたら、食べ頃のタイミングを逃さないよう毎月味噌の様子をチェックしましょう。

秋(9月~12月頃)の仕込み

秋の時期に仕込む味噌は、発酵が始まってまもなくすると気温が低い冬を迎えることになるので、十分に発酵しきれません。気温が上がり出す翌春以降、再び発酵が進んだら、定期的に味噌の状態をチェックする必要があります。食べ頃の目安は翌年6月~7月頃です。

注意点

翌年の3月頃から、毎月味噌の熟成具合をチェックし食べ頃を見逃さないようにしましょう。


仕込んだ味噌が食べ頃の味噌へ変化する様子をまとめています。ひとつの目安として参考にしてくださいね。

 仕込んだ直後の味噌熟成され食べ頃の味噌
煮た大豆そのものの色照りや冴えがある茶色
塩の味(塩辛い)塩辛さが消え、大豆のうま味と麹の甘味がある
香り大豆の香り味噌特有の発酵臭と、ほのかなアルコール臭
柔らかさパサつき・麹のつぶ感あり半固体でなめらか

味噌作りに必要な材料・道具

米味噌作りに必要な材料

味噌の種類は大きく分けて「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」「調合味噌」があります。これら4種類の中で最も国内生産数が多いのが「米味噌」で全生産数のうち約80%を占めています。

そんな多くの人にお馴染みの「米味噌」の材料は、大豆、米麹、塩の3つのみ。材料の配合にはいろいろなパターンがありますが、今回は初心者がご家庭用に作りやすい量(仕上がり量約2kg)の分量を紹介します。

仕上がり量約2kgの材料

  • 大豆 …500g
  • 米麹 …500g
  • 塩  …200g

この配合は、「大豆:麹=1:1」「塩=大豆+麹の20%」になっていますので、覚えやすくおすすめです。まずはこの配合で挑戦し慣れた頃に、大豆や麹の種類を変えてみたり、好みの塩分量に調整してみたりするといいでしょう。

大豆(水を吸う前の固い大豆)…500g

美味しい味噌を作るには以下の3つの条件を満たす大豆を選ぶことが大切です。

  • 粒が大きい
  • よく水を吸う
  • (煮あがったものを食べると)美味しい

粒が大きく水をしっかり吸う大豆は、煮るとふっくら柔らかくなります。そして、美味しい大豆で作る味噌は当然のごとく美味しく仕上がります。シンプルな材料で作るからこそ素材の質がストレートに仕上がりに響いてきます。

米麹…500g

味噌作りで一番よく使われるのは米にコウジカビを付けた「米麹」です。米麹には「生麹」と「乾燥麹」の2種類があります。

 メリットデメリット
生麹・甘く香ばしい麹の香りがある。
・発酵力が強い。
・日持ちしない。
・20℃以上の気温の場合や、20℃以下の温度でも1週間ほど保管するなら冷蔵庫で保管が必要。
乾燥麹・スーパーなどで簡単に手に入る。
・常温で長期保存可能。
・乾燥させているので、麹特有の甘く香ばしい風味はない。
・生麹と比べると発酵させる力が弱い。

購入してすぐに使用するのであれば、「生麹」を使う方が断然美味しい味噌ができます。
しかし生麹は、保管方法を誤ると麹の発酵力が低下し味噌がうまく発酵しないこともあるので、扱いに注意が必要です。乾燥麹であっても十分に美味しい味噌はできますので、それぞれのメリット、デメリットをよく理解して選ぶようにしましょう。

塩 …200g

塩は、ほのかに甘みが感じられるまろやかなものがおすすめです。昔ながらの製法で作られた天然塩や自然塩は、少し価格は高いですがミネラル分が多く美味しい味噌ができますよ。
塩の粒は小さい方が味噌によくなじみます。

家にあるものでOK!味噌作りに必要な道具

味噌作りには特別な道具は必要ありません。必要最低限のものは6つ。足りないものがあっても、家にあるもので代用できるので、うまく利用しましょう。
また道具は、使用前にアルコールや熱湯で消毒しておくと、雑菌の繁殖を抑えることができるので安心です。

大豆を炊く鍋(圧力鍋も可)

大豆を柔らかく炊く工程で使用します。
ここで気をつけたいことは、乾燥大豆は水を含むと2~3倍ほどのボリュームになるということ。そのため、大豆の量に対して大きめの鍋を用意する必要があります。大豆1.5kgまでの量なら30cm鍋で対応できます。鍋は圧力鍋でもかまいません。

材料を混ぜるためのボウル(厚手ビニール袋でも可)

大豆と米麹と塩を混ぜ合わせるためには、大きめのボウルが必要です。仕上がり2kgの味噌を仕込む場合は27cmのボウルがおすすめです。

ボウル以外に厚手のビニール袋で代用することも可能です。厚手のビニール袋は、大豆を潰したり、発酵熟成させるための保存袋にも使えるので便利ですよ。

大豆を潰す道具

煮あがった大豆を潰す方法は複数あります。自宅にある道具で使いやすいものを選びましょう。

道具特徴
厚手ビニール袋厚手のビニール袋に大豆を入れて、手や足などで潰す方法。手で潰すときは軍手をはめるとやりやすいです。ビニールは耐久性がある厚手のものを選ぶこと。
すり鉢&すり棒すり鉢とすり棒を使う方法。仕込み量が少量(家庭用)の場合に向いています。
ボウル&マッシャーボウルに入れた大豆をマッシャーで潰す方法。仕込み量が少量(家庭用)の場合に向いています。
フードプロセッサー
ハンドミキサー
ミンサー(ミンチを作る機械)
機械を使うと、きめ細かい仕上がりになります。

味噌を仕込む容器 

味噌の仕込みに使う容器には様々な形態のものがあります。それぞれの特徴を理解して選びましょう。

種類メリットデメリット
木桶
  • 菌が住みつく
  • 外気と樽内の空気が行き来するので、味噌がじっくり熟成され、味噌の香りがよくなる
  • もれる
  • お手入れが必要(メンテナンス費用がかかる)
  • 価格が高い
  • 大きいので保管場所の確保が大変
焼き物(カメ)
  • 温度変化に影響されにくい
  • 味噌がじっくり熟成され、味噌の香りがよくなる
  • 重い
  • 衝撃に弱く、割れるリスクがある
  • 価格が高い
ホーロー
  • 匂いや色の付着が少ない
  • オシャレなものが多い
  • 熟成時、温度変化の影響を受けやすい
  • 金属製なので、塩を多量に使う味噌作りにおいてはサビと溶け出しのリスクがある
プラスチック容器
  • 安価
  • 軽い
  • サイズ展開が多く、収納性に優れている
  • 蓋つきの容器の場合、味噌が空気に触れにくくカビが発生するリスクを軽減できる
  • 石油が原料
  • 静電気によりほこりがつきやすい
  • 半透明な容器の場合、直射日光が当たる場所に長時間置くと味噌の表面の色が変化しやすい
ジップ付き保存袋
  • 身近なアイテムなので簡単に手に入る
  • 安価
  • ジップをしっかり閉じ空気を抜けば、重石は不要
  • 大量の味噌作りには向かない
  • 密閉された袋の中で味噌が発酵するとガスが発生し袋が膨らむので、定期的にチェックし空気を抜く必要がある

容器のサイズは、仕込んだ味噌を入れたときに8~9割で収まる大きさがベスト。仕込んだ味噌の上に重石をのせることを想定して上部に1~2割ほどの隙間を残すことが必要です。
ちなみに味噌を2kg仕込む場合は、2リットルの容器がちょうどいいサイズ感ですよ。

押しぶた(お皿でも代用可)

押しぶたは熟成を均一に進めたり、カビの発生を防止したりする重要なアイテムです。味噌を容器に入れた後、まんべんなく圧がかかるように味噌の上にのせて使います。
自宅にあるお皿や鍋ぶたでも代用が可能ですが、その場合は、なるべく平らで、味噌の表面のサイズに合う大きさのものを使いましょう。

重石(ストックの塩や小麦粉で代用可)

重石は拾った石で十分です。大きな石がなければ、小さい石を袋に入れ重量を確保してもいいですね。もしくは、ストックの塩や小麦粉、水の入ったペットボトルなどでも代用ができますよ。

石の重量の目安は仕込む味噌の20~30%程度とお考えください。味噌2kgを仕込んだ場合なら、約400g~600gの重石を置きます。


味噌の作り方と、失敗を避けるためのポイント解説

材料を揃えたら、いよいよ仕込みのスタートです。
味噌作りの作業は複雑ではありませんが、仕込みには2日かかります。「思っていたより時間がかかった!」と焦らないためにも事前に計画を立ててから始めることをおすすめします。

1. 大豆を洗い、たっぷりの水に漬ける

味噌作り1日目の工程です。用意した大豆を水洗いし、18時間ほど吸水させましょう。

大豆を洗い水に漬ける

  1. 大豆の表面についた土や汚れを洗い流します。洗い方はお米を研ぐ要領で、豆と豆をこすり合わせて汚れを落します。大体3回ほど洗うと洗い水がきれいになってきます。洗い水に濁りがなくなるまで続けましょう。
     
  2. きれいに洗った大豆をボウルや鍋に移し、たっぷりの水に浸けます。乾燥大豆は水を吸うと2倍程度に膨らむので、水量は乾燥大豆の重量の3倍以上は必要と思っておきましょう。
    乾燥大豆500gなら1.5L以上の水が必要ということになります。

失敗をさけるためのポイント

大豆は充分に吸水させること

大豆の中央に芯が残っていると、煮た際に中まで火が通りきらず均等にゆであがりません。この作業ではしっかり吸水できているかが味噌作り成功のカギです。
大豆の3倍の水で約18時間しっかりと吸水させると大豆は大きく膨らみます。しかし、見た目だけで大豆の芯まで水が浸透しているか判断するのは難しいので、いくつか大豆を割って中を確かめましょう。

2. 水を吸って膨れた大豆を大鍋や圧力鍋で煮る

ここからは味噌作り2日目の工程です。前日から水に浸けておいた大豆を大鍋、もしくは圧力鍋で煮ていきましょう。

大豆を煮る

大鍋の場合

  1. 鍋に大豆と水を入れます。水位は大豆の表面が水にようやく浸かるか、わずかに水面から出ているくらいの量、いわゆる「ひたひた」の状態がちょうどいいでしょう。 
  2. 沸騰してくるとアクが出てくるので取り除き、水温95℃以上を保って弱火で約3時間煮ます。アクをとった後、落しぶたをすると必要最低限の火力で煮ることができますよ。

圧力鍋の場合

  1. 圧力鍋を使用するときは内側にある最高水位線を守って大豆と水を入れます。料を入れ過ぎると加圧中に蒸気孔から煮汁などが吹き出し危険です。圧力鍋のサイズによっては一度に大豆を煮ることはできないので、数回に分けて煮る必要があります。
     
  2. 圧力鍋のふたをして強火にかけます。圧がかかったら弱火で4~5分煮て火を止めます。圧が自然に下がるのを待ち、ふたを開けます。作業としては約20分ほどで完了します。
    圧力鍋の種類により圧力をかける時間は異なるので、圧力鍋の取扱説明書を確認して作業してくださいね。

失敗を避けるためのポイント

火元を離れない

まず基本的なことになりますが、大豆を煮る工程で必ず守ってほしいことは、火元から離れないことです。火にかけた状態で煮汁が吹きこぼれると火事の原因になることも考えられます。
大豆を煮るのには時間がかかりますが、必ず鍋の様子が見える場所で過ごすことを忘れないでください。

親指と小指で簡単に潰せる柔らかさにする

美味しい味噌を作るうえで大豆の煮あがり具合は重要です。
煮あがるまでの時間は大豆の状態により変わり、新物の大豆は比較的早く煮あがりますが、古い大豆は時間がかかることもあるので、常に様子を見ながら煮るのがポイントとなります。

大豆の煮あがり具合
目安としては、親指と小指で簡単に潰せる柔らかさになるまで十分に煮ましょう。煮あがった大豆を食べてみて、ポリポリした食感がなく美味しいと感じればOKです。食べて美味しいと感じる大豆なら、味噌も美味しくなりますよ。

3. 柔らかく煮あがった大豆を潰す

大豆が煮あがったら、穴あきお玉などで大豆をすくって冷水にさらします。触れられる程度(人肌程度)まで冷めたら潰していきましょう。ただし冷ましすぎると潰しにくくなるので、人肌程度の温かい状態を保つように気をつけてください。

煮上がった大豆を潰す

最も手軽な方法は、厚手のビニールに入れて手のひらで潰す方法です。すり鉢とすり棒を使ったり、マッシャーで潰したりしてもいいですね。
仕込む大豆の量が多いほど潰す作業は大変なので、ミンサーやフードプロセッサーなどの機械があれば活用しましょう。

失敗を避けるためのポイント

大豆の形状を残さないようにする

できるだけ豆の形状が残らない状態まで潰すのが、美味しい味噌に仕上げるコツです。潰し方が甘いと麹と塩が均等に混ざらず、部分的に発酵がうまくいかない恐れがあります。
とはいえ手作業で完全にペースト状にするのは難しいので、8~9割潰せていれば問題ないと思って大丈夫ですよ。

4. 麹と塩と潰した大豆を混ぜる

潰した大豆に、いよいよ麹と塩を混ぜていきます。
まずは麹と塩だけをムラなくかき混ぜた「塩切り麹」を作り、それを潰した大豆に混ぜるのがポイント。よく混ぜて耳たぶくらいの硬さに仕上げましょう。
麹は生麹も乾燥麹もそのまま使えます。

麹と塩と潰した大豆を混ぜる

失敗を避けるためのポイント

材料を入れる順番を守る

麹と塩と大豆を一度にすべて入れて混ぜようとすると均一に混ざりません。大豆と麹が十分に混ざっていなければ、うまく発酵せずに腐ってしまいます。
混ぜる順番は「麹+塩(塩きり麹)」+大豆が基本。混ぜ合わせ方も、ムラが出ないように丁寧にしっかり混ぜましょう。

大豆の温度は手で触れられるほどまで冷ますこと

大豆は手のひらに乗せ続けられる程度に冷めているかを確認してから、塩きり麹と合わせます。大豆が熱すぎると、その熱で発酵に必要な麹菌が死んでしまい、発酵が進まなくなります。

塩分濃度を間違えない

塩分濃度を下げて失敗を引き起こすのはよくあるケースです。
健康志向から減塩味噌を希望する方も多いかもしれませんが、塩分量が少ない手作り味噌はカビが発生しやすく、また常温管理では腐敗を招きますので管理が難しくなります。

味噌作りに必要な塩分濃度は、基本的に出来上がる味噌の10%です。仕上がりが2kgの味噌なら200gの塩が必要ということ。この分量を目安にすればまず失敗はしません。減塩味噌を作るのは経験を積んでからにしたほうが無難でしょう。

5. 丸めて保管容器に入れ、数ヶ月間発酵させる

しっかり混ざったら、団子状に丸めて空気を抜き、容器に詰めていきます。
まずは混ぜ合わせたものを団子状に丸めていきましょう。団子状にする理由は、できるだけ空気を抜いて容器に詰めるためです。

丸めて保管容器で発酵させる

空気が入るとカビが発生するので、容器に団子を1つ入れるごとに握りこぶしでぐっと押し込み、団子と団子の間の隙間をうめながら平らに詰めていきます。

味噌団子を保存容器に詰める

詰め終わったら、押しぶたと重石を載せて完了です。焼き物(カメ)、ホーロー、木桶、プラスチック容器(密閉されないタイプ)などを使用する場合は、 詰めた味噌の表面にラップや落とし布をして、空気に触れないようにしましょう。

重石をのせる理由は、密閉状態を保つためと、味噌の水分を上部まで押しあげるためです。重石の働きにより味噌にカビが発生するのを抑えることができます。

少量の味噌作りに向いている「ジップ付き保存袋」や「密閉ふた付きプラスチック容器」を使う場合は、容器内の空気をしっかり抜いて封をすれば重石をする必要はありません。
透明な容器は、発酵の進み具合がわかりやすいので味噌の管理がしやすいですよ。容器には、どのくらい日が経過したかわかるように仕込みをした日付を記入しておくといいでしょう。

味噌が熟成し食べ頃になるまで約10か月間程度、常温で保管します。
保存する場所は風通しがよく、直射日光の当たらない、湿度変化の少ない場所が適しています。例えば、キッチンのシンク下・物置・床下収納・玄関などが向いています。保管している間は定期的に空気の入れ替えをしましょう。


仕込んだ味噌が食べ頃の味噌へ変化する様子をまとめています。ひとつの目安として参考にしてくださいね。

 仕込んだ直後の味噌熟成し、食べ頃の味噌
煮た大豆そのものの色照りや冴えがある茶色
塩の味(塩辛い)塩辛さが消え、大豆のうま味と麹の甘味がある
香り大豆の香り味噌特有の発酵臭と、ほのかなアルコール臭
柔らかさパサつき・麹のつぶ感あり半固体でなめらか

失敗を避けるためのポイント

カビが生えたときはスプーンなどで取り除く

自家製味噌では防カビ剤などの添加物は入れていませんので、カビの発生はよくあるトラブルのひとつです。味噌にカビらしきものがあれば、その色に注目して対処しましょう。

白いカビのようなものは、産膜酵母という酵母菌の一種。みその発酵・熟成に重要な役割があるので熟成中は取り除かなくても大丈夫です。
食べても体に害はありませんが、味噌についていると見た目が悪くなり味噌の風味も落ちるので、味噌が出来上がった後に薄く取り除きましょう。
黒っぽいカビのようなものは、味噌が酸化してできたものである可能性が高いです。薄く取り除けば問題なく食べることができます。
青(緑)青い(緑っぽい)ものは、青カビの可能性が高いです。青カビそのものは有害な毒を生成しないので、健康体の人には感染せず毒性も比較的強くはありません。しかし付随して毒性があるカビが発生している恐れがあるので、味噌を食べる前には5mmほどすくってきちんと取り除いてください。

カビを取り除いたあとは、キッチン用の消毒液やアルコールを含ませたキッチンペーパーなどでカビが出そうな容器のふち辺りを拭いておきましょう。また、味噌の上にかぶせていたラップやおとし布は新しいものに取り替えます。

カビの発生を気にしてふたの開け閉めが多くなると、空気に触れる機会が増えてしまい、かえってカビの原因になってしまうことが考えられます。あまり神経質にならずに、カビのチェックは1年に1~2度程行い、その都度取り除けば十分ですよ。

天地返しはしなくても美味しく仕上がる

天地返しというのは発酵中の味噌を他の容器に移し替えて、味噌の発酵むらを避けることです。大きな桶で何トンもの味噌を一度に作るなら天地返しは必要ですが、家庭で作る場合は保存容器のサイズも小さく底が浅いので、その工程はなくても十分美味しい味噌を作ることができます。


味噌を美味しく保存するために大事な2つのこと

時間と労力をかけ、やっと食べ頃の状態に仕上がった自家製味噌。これを美味しく保存するうえで気を付けたいことは2つあります。それは「低温に保つこと」「空気に触れさせないこと」です。

味噌を美味しく保存するポイント

低温に保つこと

熟成を終え、食べ頃を迎えた味噌は冷蔵庫へ移します。仕込み容器のままでも構いませんが、小分けにしてラップで包み、ふた付きの密閉容器に入れ替えると使いやすいです。

もし味噌を使う頻度が少ないなら、冷凍庫で保管するのがおすすめ。味噌は冷凍庫に入れても、少し硬くなる程度でカチカチに凍ることはなく品質が保たれます。使用する時は、取り出してそのまま使うこともでき便利ですよ。
冷凍保存をするときも、ラップで小分けにして冷凍可能なふた付きの密閉容器に入れるか、ジップ付きの冷凍保存袋にいれて保存しましょう。

空気に触れさせないこと

味噌が空気に触れると、酸化やカビの発生を招きます。味噌の表面をラップで覆って空気に触れないように気をつけましょう。味噌を仕込んだ時に使用していた重石は、味噌を食べる寸前までしておくとカビ防止に役立ちます。

自家製味噌の賞味期限について

味噌は保存食ですので、賞味期限は決まっていません。ただし熟成は続いているので、風味や味、色は徐々に変化します。美味しくいただくという意味では、1年を目安に食べきるとよいでしょう。


まとめ

味噌作りには時間と労力がかかりますが、その分、格段に美味しい味噌の味に驚くことでしょう。作り慣れると配分を変えてみたりして、家庭の好みにあった味噌を作るメリットもありますし、家族総出で作ると楽しいイベントにもなります。
この冬はぜひ、ご家族で自家製味噌を仕込んでみてはいかがでしょうか。

初めて作る人で、材料や道具を揃えることが負担に感じたり、うまくできるか不安を感じたりしているなら、材料や容器、作り方の説明書など味噌作りに必要なものが全て揃う手作り味噌キットを利用するのも手ですよ。

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