マンションでの新生活をスタートさせてから心配なのが設備の故障です。一般的には新築の場合は故障する頻度も少なく、保証期間内で過失が無ければ費用はかかることはありませんが、年数を重ねていくと保証期間も過ぎ故障する頻度も上がり、修理費用も必要となるケースが出てきます。場合によっては多額の費用が必要な場合もありますが、マンションの設備は日常生活に直結しており修理しないわけにいけません。
「突然の故障にどのように対処すれば良いのか?」、「どのようなことを心がけておいた方が良いのか?」を知っておくと安心です。マンションの設備はいつか必ず故障しますし、その時はある日突然やってきます。いざという時に備えて、私が過ごした12年間のマンション生活での故障体験を交えて、初期対応や心がけておきたいこと、注意しておきたいことについてご紹介したいと思います。きっとマンション設備の故障に対しての不安が軽減されることでしょう。
1. マンションで所有者が個別に修理費用を負担するのは専有部分に属する設備
まず前提として、この記事では所有者が個別に修理費用を負担するマンションの専有部分の設備についてご紹介させていただきます。(ただし、共用部分であっても個人の故意過失で故障させた場合は、修理費用を負担しなければならないこともあります。)
マンションには、専有部分と共用部分と呼ばれる場所がありますが、簡単に説明すると専有部分というのは室内部分(バルコニー、玄関扉、窓ガラスなどは除く)のことです。それ以外が共用部分(エントランスや階段、廊下など)となります。
マンションの管理規約集に専有部分に属する設備については明記されていますので、詳しくはそちらをご確認ください。
一般的にマンションの専有部分の設備は以下の4つに分かれます。
- 機械設備(インターホン、24時間換気、給湯器、コンロなど)
- 給排水設備(キッチン、バスルーム、トイレ、洗濯機置場などの水回り配管)
- その他の住宅設備(システムキッチン、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台など)
- 警報設備(熱感知器、ガス感知器、漏水感知器、非常通報装置など)
故障する一般的な原因は、機械設備については「日常的に使用することで発生する部品の摩耗や破損など」、給排水設備は「異物等の流入による配管の詰まりや部品のゆるみによる水漏れ」、その他の住宅設備は「取扱いミスによる損傷や破損」、警報設備は「経年劣化により無動作や誤動作」となります。
2. マンションの設備が故障するタイミングと注意しておきたい3つのポイント
マンションの設備が故障するタイミングは「初期故障期・偶発故障期・摩耗故障期」の3つに分けることができます。タイミング別の注意しておきたいポイントについて3つご紹介させていただきます。
2-1.初期故障期
初期故障期というのは、製品自体に何らかの不備があり起こる故障で使用し始めて間もない時期に発生します。製品自体の問題が大半ですので、メーカーは保証期間を設けて無償で対応するようにしています。ただし保証期間内であっても、故意や過失(乱暴な使い方や不注意など)による故障は有償扱いとなります。
マンションの設備の中で初期故障が一番考えられるのは機械設備です。この時期の故障の対処法としては、間違っても「これぐらい自分で直せるだろう。」と思って無理に分解などをせずに、軽微な異常でも一度見てもらうようにすることが大切です。
その理由は、作業員以外が分解等を行ってしまうと、故意や過失の扱いとなり有償対応となってしまうケースもあるからです。
保証期間というのは、初期故障期を補う為のもので「故障しない期間を約束している。」という意味ではないので、保証期間内はあまり使わないようなものでも、定期的に動作させてみて、初期故障がないことを確認してみるのも大切なことです。
- メーカー保証の期間内でも故意過失があると有償対応となる。
- 自分で分解などをしてしまうと故意過失とみなされる。
- まったく動作をさせてなくても保証期間を過ぎてしまうと有償対応となる。
2-2.偶発故障期
初期故障期が過ぎると次に偶発故障期に入ります。製品自体の動作も安定しているので、故障が一番発生しにくい時期となります。ただし故障しないわけではありません。
日々の取り扱い方法による故障や予期せぬことで発生してしまう故障もあります。また、保証期間も終わっているタイミングとなるので、いざ故障が発生してしまうと有償対応となります。
予期せぬ事例として「髪の毛や残飯などの異物が流入し排水管が詰まってしまった。」、「キッチンにフライパンを落としてしまい天板がひび割れてしまった。」、「子供がおもちゃをふざけて投げてしまって機器を壊してしまった。」などがあります。排水溝をネットで覆う、清掃をこまめにする、重たいものを高いところに置かない、などのちょっとした気遣いで予防することが出来ます。
このように偶発故障期での故障の発生リスクを抑える方法は、定期的な清掃や事故防止の予防策を予め講じておくことです。故障をさせなくするのは不可能ですが、寿命を延ばすことは可能です。それにはやはり日々のメンテナンスが大切です。
しかし、いざ故障してしまうと修理内容によっては「急な多額の出費」が必要となる場合もあります。この「急な多額の出費」を抑えるための対処法として延長保証制度への加入があります。延長保証制度というのは、一定額の保証料を支払うことにより保証期間が延長されるという仕組みのものです。不安な方は、このような延長保証の加入を検討するようにしましょう。
保証範囲と期間(概ね10年ぐらいまで)によって費用に差がありますが、数千円~十数万円ぐらいの費用で加入することが出来ます。
- 日々のメンテナンスもしておかないと設備機器の寿命は短くなる。
- 保証期間が過ぎた後は、延長保証制度へ加入していないと有償対応となる。
2-3.摩耗故障期
人間にも寿命があるようにマンションのすべての設備にも寿命があります。ほとんどの場合、延長保証も終了するタイミングが摩耗故障期となります。部品の摩耗や劣化による故障が多く発生する時期ですので、修理だけでなく買い替えも覚悟しておかなければなりません。
部品交換が一般的な修理方法となるのですが、新製品の登場とともに古いものは製造されなくなる為、修理に必要な部品の入手も年数が経つにつれて困難となり、修理自体が出来なくて補修対応となります。
さらに問題なのが、一つの部品を交換し直ったとしても、他の部品の交換もこれから必要になる可能性も十分にあるということです。修理費用の出費が繰り返し発生したり、メーカーから買い替えを勧められるケースも出てきます。
修理するのか買い替えするのかは、見に来てくれた作業員に相談してみるのが良いでしょう。
同時に買い替えに備えた貯蓄をスタートさせておきましょう。
- 摩耗故障期の故障は、修理が良いのか?買い替えが良いのか?は自分で判断しない。
- 買い替えに備えた貯蓄をしていた方がいざという時にも対処がし易い。
3. 私が実際に経験した故障事例
2章では、マンションの設備が故障するタイミングと3つのポイントについてご紹介しました。3章では具体的に12年前に私が購入したマンションで経験した故障事例と、そこから気付かされた3つのポイントについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
3-1. 我が家で一番故障の多い食器洗い乾燥機 ~故障事例その1~
私は購入当初に、少しでも家事が楽になればと思いオプションで食器洗い乾燥機を付けました。5人家族の我が家では一日に2~3回使用しており毎日大活躍しています。そんな食器洗い乾燥機ですが、1年が経とうとしていた頃に「ガタガタガタ」という大きな音と共に「ピーピーピー」という警告音を出して止まってしまったのです。
私のマンションでは、コールセンターの窓口があり、そこへ対応を依頼するようになっているので、早速連絡をして対応してもらうことにしました。その日のうちに作業員が来てくれたのですが、回転させながら水を噴射させるプロペラの主軸が曲がってしまっていたのが原因だったので、部品交換が必要になるとの事でした。
部品が届くまで1週間ほど必要ということでしたが、保証期間内ということもあり無償で修理することが出来ました。
しかし、その3年後にも同様の故障が発生し、修理するのに4万円の費用が発生しました。そして10年目にはゴムパッキンの劣化による水漏れが発生し、こちらは3万円ほどの費用負担となりました。この時には、作業員の方から、「この機種はメーカーからの部品の供給がストップし、在庫が今後なくなってくるので、場合によっては修理が出来ないかも知れないので買い替えをお勧めします。」という話がありました。
3-2. 深夜に急に故障した電気温水器 ~故障事例その2~
マンションでの生活もすっかり慣れた8年目の時でした。深夜に電気温水器のリモコンから警報音が鳴り続けたのでした。聞いたことの無い警報音が深夜に突然鳴り続けたので、ビックリして目が覚めました。リモコンの操作では止めることが出来ず、電気温水器のブレーカーを切ってなんとか警報音は止めることが出来ました。翌朝、コールセンターに連絡を入れて見に来てもらったのですが、漏水センサーの故障ということでした。こちらも部品を取り寄せるのに1週間ほど時間が必要ということだったのですが、お湯が出ないと生活に支障が出るので応急処置をしてもらいました。こちらも費用は3万円ほどかかりました。
3-3. 定期点検時に故障していることに気付いたインターホン ~故障事例その3~
マンションのインターホンは、火災等の警報装置とも連動するようになっています。定期的に消防点検があるのですが、11年目の点検の際に警報音が鳴らないことが判明しました。いざという時にはとても大切な設備なので、予め気付いて良かったと安心すると同時に、「また数万円ぐらい修理に必要なのかなぁ…。」という不安もありました。調査の結果その原因が住戸の中ではなかった為、マンションの管理組合が修理費を負担することとなりました。
4. 故障に備えて出来る3つの事前準備
このように私自身が故障を経験して学んだことは、故障に備えて事前準備をしておくことの大切さでした。1つ目が「故障対処法の確認」、2つ目に「修理依頼連絡先の確認」、3つ目が「修理費用と買い替え費用の蓄え」です。いざという時に困らないようにする為に参考にしていただければと思います。
4-1. 故障対処法の事前確認
まず故障が発生した時には、異常を知らせる警報音や誤動作、水漏れなど止めなければなりません。警報音や誤動作を止めるために、電源を切ることが必要になりますが、場合によっては電源のスイッチの場所が分からないこともありますので、事前にブレーカーの場所を確認しておくことをお勧めします。
水漏れの場合には、止水栓を閉める必要があるので、こちらも事前に場所を確認しておきましょう。
4-2. 修理依頼連絡先の事前確認
私のマンションではコールセンターが窓口となり、24時間365日受付をしてくれます。コールセンターの連絡先のマグネットを冷蔵庫に貼り付けていたので、私の場合は「どこへ連絡すればよいのだろう?」と悩むことはありませんでしたが、このような窓口がない場合は、設備機器本体に貼っている「修理依頼連絡先のシール」や「取扱説明書の修理依頼連絡先」を確認しておきましょう。
それでも分からない場合には「管理会社や管理人」に相談したり、「マンションの住人」に聞いてみたり、「各メーカーのホームページ」上に記載されている「お問い合わせ先」へ連絡し相談してみましょう。
4-3. 修理費用と買い替え費用の蓄え
私の場合ですが、12年間で初期故障期1回、偶発故障期1回、摩耗故障期3回の計5回の故障がありました。そのうち修理費を個人負担したのが3回で、合計約10万円の出費(延長保証には加入しておらずメーカー保証のみ)となりました。1年間で1万円程度が修理費用の目安となりました。
しかし買い替えとなると数十万単位となるので予め蓄えておく必要があります。故障の頻度が高くなってくる10年前後ぐらいから月1~2万円ずつ貯蓄ができるのが良いでしょう。
5. まとめ
今回の記事は、一般的な故障についての説明だけでなく、私が実際に体験した内容を踏まえ知っておいて頂きたいことを「6つのポイント」としてご紹介させていただきました。
マンションの設備の故障と聞くと不安に感じられる方も多いのではないかと思いますが、そんな皆様の不安を少しでも解消することが出来れば大変嬉しく思います。
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