「マンションには一戸建てと違って、居住者も知っておくべき消防法のルールがある」
そう聞いて、驚く方も多いのではないでしょうか?ひとつの建物に多くの人が暮らすため、同じ住まいであっても、戸建てとマンションでは守るべき防火ルールに大きな違いがあります。一人の不注意が全体に影響することから、マンションに暮らす場合、消防法や建物ごとの管理規約に定められたルールを守り、安全を確保しながら生活しなければなりません。
本記事では、マンション居住者が「やってはいけないこと」をわかりやすく紹介します。これからマンションの購入や住み替えを検討している方はもちろん、すでにマンションに住んでおり生活上のルールに不安を感じている方も、ぜひ参考にしてください。
毎月ポイントが貯まる
お得な「アルファあなぶきStyle会員サービス」
「アルファあなぶきStyle会員サービス」の無料会員になると、
そんな住まい情報と一緒に毎月1万ポイントをお届け。
アンケート回答やモデルルーム見学の感想投稿でもさらにポイントが加算されます。
貯まったポイントは、「毎月のプレゼント応募」や「将来の住まい購入時の割引(最大50万円)」に使えます。
戸建てとは違う!マンションに消防法の制限が設けられている理由
「なぜマンションは、防災ルールが細かいの?」
そう疑問に感じたことがある人は多いでしょう。理由は、主に以下の2つです。
- 多くの人が暮らすからこそ、火災時の被害拡大を防ぎ、避難経路を安全に確保する必要がある
- 住民同士の連携が欠かせない
マンションは、多くの人がひとつ屋根の下で暮らす共同体です。一人の不注意が火災や事故につながり、同じ建物に住むほかの家庭まで巻き込んでしまうおそれもあります。一人だけの問題では終わらないため、被害の拡大防止や居住者の避難経路の確保を目的として、消防法や建築基準法などの法律、マンションの管理規則によって細かなルールが決められています。
火災を発生させない、被害を広げない備えや自宅を安全に保つ必要性に加え、住民同士の協力が欠かせません。
【チェックリスト付】マンション居住者が法律上やってはいけないこと5選
マンションで安心して暮らすためには、絶対に守らなければならないルールがあります。特に消防法や建物構造に関わる決まりは、知らないうちに違反してしまうケースも少なくありません。
以下は、マンション居住者が確認しておきたいチェックリストです。
マンション居住者が確認しておきたいチェックリスト
- 防炎ではないカーテンやラグを使用していませんか?
- 避難はしごの上や隔て板の前に物を置いていませんか?
- 玄関ドアを開けっ放しにしていませんか?
- 共用廊下や階段に私物を置きっぱなしにしていませんか?
- 火災警報器・消火器など共用設備に手を加えていませんか?
ここでは、マンションの住人が法律上やってはいけない代表的なNGポイントをわかりやすく紹介します。
NG1.防炎ではないカーテンやラグを使用している

高さ31mを超える高層マンション(おおむね11階建て以上)では、カーテンやラグ、じゅうたんなどの布製品に「防炎物品」を使うことが消防法で義務づけられています。(消防法 第8条の3第1項 )布製品は想像以上に燃え広がりやすく、ひとたび火がつくと一気に炎が立ち上がってしまうためです。
防炎品には、基準をクリアした証として「防炎ラベル」が付いているのがポイントです。 高層マンションに住んでいるなら、カーテンやラグを買うときは必ず防炎ラベルの有無をチェックしましょう。防炎品でない製品の使用は、火災のリスクが高まるだけでなく、消防法違反として指導を受ける可能性もあるので要注意です。
なお、この義務は建物全体に求められるため、31mを超えるマンションであれば1階や2階などの低層階の居住者も対象となります。
- チェックポイント
- カーテンやラグなどは、防炎ラベルが付いた製品を使う。
参考:総務省消防庁「防炎品」
NG2.避難はしごの上や隔て板の前に物を置いている

バルコニーは、一見すると各住戸が自由に使用できる専有部分に見えるかもしれませんが、実はマンション全体で避難経路としても使用される「共用部分」です。バルコニーには避難時に使用する「避難はしご」や「隔て板(仕切り板)」などがあり、これらをふさぐ物を置くことは、災害時の安全を守るためにも消防法で禁止されています。(消防法 第8条の2の4)
避難はしごは、全住戸に設けられるわけではなく、避難経路に応じて必要な位置に設置されています。自宅のバルコニーが隣住戸の避難経路になっている場合もありますので、避難はしごの有無に関わらず、避難経路を妨げる物がないか、確認しておきましょう。
また、隣戸との境にある「隔て板」は、火災時に隣人が速やかに避難できるよう蹴って破れる程度の強度でつくられています 。ところが隔て板の前に重い家具やプランターが置かれていると、いざというときに蹴破れず、逃げられなくなる危険があります。洗濯物の干し場として認識されることが多いバルコニーですが、避難経路になる意識を忘れず、普段から物を置かない環境づくりを心がけましょう。
- チェックポイント
- ・避難はしごの上に、物置・プランター・室外機などを置かない。
・隔て板の前に、重い家具・ラック・プランターなどを置かない。
NG3.玄関ドアを開けっ放しにしている
玄関ドアは、火災時に煙や炎の侵入を遅らせるための「防火戸」としてつくられています。換気の目的で玄関ドアを常時開けた状態(開けっ放し)にすると、住戸内で発生した火災の煙や炎が住戸外に一気に広がり、延焼を早めてしまう危険性があるため、開放した状態にしておくことは消防法で禁じられています。
玄関前の共用廊下は、すべての住人が利用する避難経路です。火災発生時に玄関ドアが開いていたために、ほかの居住者の避難を妨げてしまう場合もあります。
玄関ドアに網戸を設置する行為も、管理規約などで制限されます。玄関ドアの外側は共用部にあたるため、原則として設置できません。防火戸の閉鎖を妨げ、廊下にはみ出す形のものは消防法で禁止されているので注意が必要です。(消防法 第8条の2の4)
- チェックポイント
- ・玄関ドアをドアストッパーなどで固定して開けっ放しにしない。
・玄関ドアの周辺に、開閉の妨げになる物(荷物・傘立て・ベビーカーなど)を置かない。
NG4.共用廊下や階段に私物を置きっぱなしにしている

マンションの共用廊下や階段は、すべての住人が命を守るために使う避難経路です。ベビーカーや自転車などの放置は、避難や消防活動の妨げになってしまうため、消防法によって禁止されています。(消防法 第8条の2の4)
マンションでは消防法に基づく消防設備点検や避難訓練が定期的に行われますが、その中で共用部分の放置物が指摘されることもあります。火災時の安全を守るためにも、法律とマナーを意識しながら、廊下や階段に物を置かない習慣をつくりましょう。
- チェックポイント
- ・自転車やベビーカー、三輪車などを共用廊下に置きっぱなしにしない。
・一時的でも、傘立てやゴミ袋、段ボールなどを共用廊下に放置しない。
NG5.火災警報器・消火器など共用設備に手を加える

火災警報器や消火器は、マンション居住者の安全を守る大切な設備です。だからこそ、個人が勝手に外したり、作動の妨げになるカバーを付けたりする行為は、主に消防法 に基づいて禁止されています。(消防法 第17条 第1項など)
共用部に設置されている消火器や火災報知器(自動火災報知設備の受信機・発信機など)は、消防法によって設置数や配置場所が細かく定められているため、勝手に位置を変えるなど勝手に手を加えると消防法違反にあたる可能性があります。
また、各住戸に設置されている住宅用火災警報器(煙感知器や熱感知器)も、周囲を物でふさいだりカバーをつけたりしていると火災時に検知できず、避難が遅れるなど命に関わるリスクを招きます。
防災設備は、日頃から決められた位置に正しく設置され、正常に作動することが大前提です。自分や家族を守るためにも、個人の判断で手を加えないようにしましょう。
- チェックポイント
- ・住宅用火災警報器(煙感知器や熱感知器)に、カバーや養生 を付けたままにしない。
・共用部のある消火器・火災報知器(発信機・受信機)の前を、物でふさがない。
・共用部にある消火器を移動させない。
法律以外にも注意!マンション居住者がやってはいけないこと
ここまで見てきた5つのポイントは、主に消防法に関わる「やってはいけないこと」でした。法律以外にも、火災を防ぐために気をつけたいNG行動を見ていきましょう。
NG例1.コンロ近くに可燃物を置かない
火災予防条例(地方自治体で定める火災予防に関する条例)でも定められていることが多いのですが、コンロの周囲の近くに可燃物を置かないことは火災予防の基本です。調理中に手元に置きがちなキッチンペーパーやサランラップ、プラスチック容器などは、直接火が当たらなくても、輻射熱によって溶けたり条件次第では発火したりするおそれがあります。
また、木製などの可燃性の板で自作した油はねガードや、調味器具や調味料の吊り下げ収納をコンロ付近に設置するのも非常に危険です。熱に弱く、着火しやすいため燃え広がる原因になります。 ガード類を設置する場合は、「ガスコンロ用」「不燃」などと明記された専用品を使いましょう。
NG例2.コンセントまわりを掃除する
冷蔵庫やテレビの裏など、普段目の届かない場所にあるコンセントは特に注意が必要です。 プラグとコンセントの隙間にホコリがたまり、そこに湿気が加わると火花放電が起きる「トラッキング現象」が発生し、火災の原因となります。この現象の恐ろしいところは、電気製品を使っていないときでも、プラグが差し込まれているだけで発火する可能性がある点です。
マンションは戸建てより気密性が高く湿気がこもりやすいため、定期的に家具を動かしてプラグを抜き、乾いた布でホコリを拭き取りましょう。また、プラグが変形していたり、異常に熱を持っていたりする場合は、内部の故障や接触不良が生じしている可能性があるため、直ちに使用を中止して新しいものに交換してください。
NG例3.カセットコンロの使い方に注意する
災害時の避難用具としても使われるカセットコンロですが、東京消防庁によると、誤った使用が原因の火災や破裂事故が毎年発生しています。 特に危険なのは、熱がこもることでカセットボンベが過熱し破裂するケースです。カセットコンロを覆うような大きな鉄板の使用や、2台を並べた使用は絶対に避けましょう。
また、IHクッキングヒーターの上でカセットコンロを使用したり放置したりすることも厳禁です。誤ってIHの電源が入ったり、トッププレートの余熱が伝わったりするとボンベが過熱され事故につながります。
同様に、放射熱が強い炭の火起こしに使うのも大変危険です。 使用時は取扱説明書に従い、正しい方法で安全に使いましょう。使用済みのボンベを廃棄する際は、必ず中身を使い切ったうえで、お住まいの自治体の分別ルール(穴あけの要否など)に従って出しましょう。ガスが残ったままゴミに出すと、ゴミ収集車内での火災事故につながり、近隣一帯に迷惑をかける原因になるためです。
NG例4.油分が付着した衣類やタオルは乾燥機にかけない
油分が付着した衣類やタオルは、絶対に乾燥機にかけてはいけません。アロマオイル、ボディオイル、食用油などが付着した洗濯物は、洗濯機で洗っても繊維の奥に油分が残ることがあります。これを乾燥機にかけてしまうと、熱風によって油の酸化が進み、発生した熱が蓄積して自然発火につながる危険があるためです。
乾燥中だけでなく、乾燥終了後にカゴへ移したあと、放置していた衣類が蓄熱により燃え出したケースも報告されています。 油分が付いた衣類やタオルは、家庭用・コインランドリーいずれの場合でも決して乾燥機を使わず、必ず自然乾燥(天日干し)させるようにしてください。
NG例5.住宅用火災警報器の定期点検は必ず受ける
マンションでは、住宅用火災警報器の定期点検を必ず受けましょう。火災警報器は、経年劣化や電池切れによって作動しなくなる場合があります。正常に働かなければ、煙や熱に気づくのが遅れ、被害が大きくなりかねません。マンションは多くの住戸が隣り合う共同住宅のため、一つの住戸の不具合が他の住戸の安全にも影響します。
マンションでは通常、管理組合が専門業者を手配し、共用部だけでなく各住戸内の火災警報器も点検します。建物全体で行われることが多いため、当日不在だったとしても別日に個別で点検してもらうのは難しい場合があります。火災警報器は、定期的に点検を受けてこそ本来の役割を果たします。管理組合の点検日時には可能な限りスケジュール調整し、不在時は管理会社へ相談して調整しましょう。
マンションの火災対策でよくある質問

最後に、マンションの火災対策 でよくある質問をまとめます。
Q.古いマンションでも防炎カーテンの設置義務はある?
マンションの高さによって異なります。高さ31m(おおむね11階以上)を超えるマンションであれば、築年数に関係なく防炎カーテンの使用が義務づけられています。
31m未満のマンションには防炎カーテンの設置義務はありませんが、防炎品を選んでおけば火の広がりを抑える効果が高いため、安心感を得られるでしょう。特に高層階は逃げにくい分、日常の備えが安全を左右するので、防炎品を選ぶのも賢い選択といえます。
Q.マンションの消防設備点検日に都合が合わないときどうする?
消防設備点検は、建物全体で日程を決めて実施されるのが一般的です。都合が合わずに別日での個別点検を希望しても、追加の費用や人員の都合から対応が難しい場合があります。
ただし、消防設備点検は消防法で義務付けられた重要な点検であり、居住者の協力が前提となっています。点検日程の案内が届いたら、できるだけ予定を調整して立ち会うことをおすすめします。室内の作業は主に天井の感知器確認で、問題なければ所要時間は10分程度です。同じ日の別時間帯で調整できるケースもありますので、案内に記載された連絡先へ早めに相談してみてください。
Q.バルコニーでバーベキューしてもよい?
原則として禁止されているケースがほとんどです。多くの管理規約で、バルコニーなど共用部分での火気使用は禁止されています。仮にバーベキュー禁止と明記されていなくても、煙やにおいは近隣トラブルの大きな原因となり、迷惑行為として管理規約違反に問われる可能性があります。避難経路でもあるバルコニーでは火を使わず、安全と近隣への配慮を最優先しましょう。
Q.マンションの管理規約はどこで確認できる?
管理規約や使用細則は、マンションの購入契約や引き渡しの際、ほかの重要書類と一緒に配布されます。最近では、入居者専用のWebサイトやアプリが用意されており、管理規約がPDFなどにデータ化され、いつでも確認できる仕組みも増えています。紛失してしまったときは、多くの場合、管理会社や管理人に依頼すれば再発行(有償の場合あり)が可能です。
管理規約に違反した場合、法的な罰則はありません。管理組合から改善を求められたり、損害が出た場合は責任を問われたりする可能性があります。 度重なる注意を無視するなどの悪質なケースでは、規約に基づく違約金を請求されたり、最悪の場合、専有部分の競売(強制退去)を命じられたりするケースもあります。
ルールを守って安心のマンションライフを
多くの人が暮らすマンションは共同生活の場であるため、戸建てとは異なる防災ルールが設けられています。重要な避難経路の役割をもつバルコニーや共用廊下に私物を放置しない、火災に備えて防炎品を使用するなどの規定です。
こうしたルールは、日常生活の中ではつい見落としがちかもしれません。しかし、万が一の際に知らずに被害を拡大させてしまうことがないよう、法律やマンションのルールをしっかりと確認しておくことが大切です。紹介したチェックポイントを、快適で安全なマンションライフに役立ててください。
暮らしのヒントをお得にゲットしませんか?
「アルファあなぶきStyle会員サービス」に無料登録すると、
- 住まいに関する最新情報
- 暮らしにまつわるコツ・アイデア を
あなたの興味にあわせてメールでお届けします。
会員限定のポイント制度では、登録するだけで毎月1万ポイントが自動で貯まり、
アンケート回答やモデルルーム見学の感想投稿でもポイントが加算されます。
貯まったポイントは、プレゼント応募や将来の住まい購入時の割引(最大50万円)にも使えてお得!
お得な住まい探し、今日から始めてみませんか?
その他の記事はこちらをCHECK
https://journal.anabuki-style.com/

編集・発行

<著作権・免責事項等>
【本紙について】
・メディアサイト「アルファジャーナル」に掲載された記事を印刷用に加工して作成しております。
・アルファジャーナルにはあなぶきグループ社員および外部ライターによって作成される記事を掲載しています。
【著作権について】
・アルファジャーナルが提供する情報・画像等を、権利者の許可なく複製、転用、販売など二次利用することを固く禁じます。
・アルファジャーナルに登録される著作物に係わる著作権は特別の断りがない限り、穴吹興産株式会社に帰属します。
・「あなぶき興産」及び「α」(ロゴマーク)は、穴吹興産株式会社の登録商標です。
【免責事項】
・アルファジャーナルに公開された情報につきましては、穴吹興産株式会社およびあなぶきグループの公式見解ではないことをご理解ください。
・アルファジャーナルに掲載している内容は、記事公開時点のものです。記事の情報につきまして、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、必ずしも正確性・信頼性等を保証するものではありません。
・アルファジャーナルでご紹介している商品やサービスは、当社が管理していないものも含まれております。他社製品である場合、取り扱いを終了している場合や、商品の仕様が変わっている場合がありますので、あらかじめご了承ください。
・アルファジャーナルにてご紹介しているリンクにつきましては、リンク先の情報の正確性を保証するものではありません。
・掲載された記事を参照した結果、またサービスの停止、欠陥及びそれらが原因となり発生した損失や損害について、当社は一切責任を負いかねますのでご了承ください。
・メディアサイトは予告なく、運営の終了・本サイトの削除が行われる場合があります。
・アルファジャーナルを通じて提供する情報について、いかなる保証も行うものではなく、またいかなる責任も負わないものとします。






