私は現役のマンションの営業マンですが、以前は営業職とは全く関係が無い機械の保守メンテナンスの仕事をしていました。私はその当時1度だけ家族でマンションのモデルルームを見学した事がありました。
全くの初めてでしたので、モデルルームの見学について何の知識もありませんでした。営業マンとのやり取りなどで、疑問に思うこともありました。しかし、自分より年下の営業マンに質問や相談するのがなんとなく恥ずかしく素直に聞く事が出来ませんでした。それだけでなく、営業マンから質問された事に対しても素直に答える事が出来ませんでした。ワクワクしてモデルルームの見学に行ったつもりが、疲れ果てて帰宅したのを今でも覚えています。その後、私自身がマンションの営業マンに転職したことで、当時6つの勘違いをしていた事に気が付きました。
マンション購入を初めて検討する人が初めて訪れる場所がモデルルームです。分からないことが多いのは当たり前なのです。しかし当時の私のように「なんとなく恥ずかしく素直に聞く事が出来ない。」と感じている人もいるのではないでしょうか。しかし、疑問をそのままにしておいてしまうと、大きな勘違いや誤解を生んでしまい「モデルルームなんて行くんじゃなかった・・・。」と後悔する人もいるかも知れません。夢のあるマイホームの検討において非常に残念なことです。
そこで、私自身の体験をもとに「同じような勘違いや誤解をする人もいるだろうなぁ。」と思うことを6つご紹介させて頂きます。この記事を読んでいただく事で、モデルルームに訪れた初めての印象が少しでも良くなり「夢のマイホーム」もきっと楽しく現実味を増してくることと思います。
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・マンションの購入を検討するときの注意点
・マンションを購入してから入居までの手続きの流れ
1.実物の部屋を見学するものだと思っていた!!
私がマンションのモデルルームを初めて見学に行ったキッカケは、妻が公園で子供と遊んでいた時に、マンションの営業マンから「この近くでマンションが建設されるので、ぜひ見学に来てください。ご来場いただければ商品券をプレゼントしますよ。」と声をかけられた事でした。
後日、家族みんなで営業マンから声をかけられた公園の近くの建設地へ歩いて見学に行きました。しかしそこは、明らかに単なる工事現場でした。とても見学できるような状況でない事は、素人の私が見てもすぐに分かりました。「おかしいなぁ・・・。」と思い営業マンから手渡されていたチラシの連絡先に問い合わせてみると、「マンションの建設地ではなく、チラシの地図に記載されているモデルルームの方に来てください。」との事でした。そのとき初めて「実物を見学するんじゃないんだ・・・。」と気が付きました。私たちは一旦自宅に戻り、車に乗り換えてモデルルームへと向かったのですが、ベビーカーで幼い子供2人を連れていたのでとても大変な思いをしてしまいました。
コラム:見学に行く場所は主に2種類ある
マンションの見学場所には「実際の建物内の部屋」と「建設地とは別の場所でサンプルとして再現した部屋」の2種類があります。販売や建設状況などにより、「実際の建物内の部屋」を必ず見学できるわけではありません。多くの場合は、「建設地とは別の場所でサンプルとして再現した部屋」を見学するようになります。
見学に行く場所自体は2種類なのですが、紛らわしいのが販売業者によってその呼び方に違いがあるという事です。この記事では「モデルルーム」と表現していますが、「販売事務所、販売センター、マンションギャラリー、マンションサロン」などと呼ばれる場合もあります。どこを訪ねるのがよいかは、チラシに「こちらまでお越しください。」などの記載がされているので確認してから出かけるようにしましょう。記載がされていない場合は電話をして確認するのが確実です。
2.営業マンからの説明がこんなに長いと思わなかった!!
何も知らない私としては「マンションのモデルルームを見学して商品券を貰う。」という考えでしたので、30分程度で終わって帰れるだろうと思っていました。しかし実際は、その4倍である2時間もかかったのでした。これだけ時間のかかった理由は、モデルルームの見学だけではなく、「マンションの特徴・スケジュール・住宅ローン」などの説明もあったからです。私は「モデルルームを見学して商品券を貰いに来ただけだから、そんなに一生懸命説明しなくてもいいのに・・・。子供もぐずっているし・・・。」と思っていたのですが、技術職で口下手だった私は、その事を営業マンにいい出す事が出来なかったのでした。
なぜ案内してくれた営業マンが、モデルルームを見学し商品券を貰いに来ただけの私に、一通りの説明をしたのか疑問に思っていたのですが、私が実際にマンションの営業マンになってから気付きました。その理由は、「モデルルーム見学のご案内」だけでなく、「希望の確認などのヒアリング」、「資金計画などの提案」、「スケジュールや手続きなどの説明」、「その他問題解決のお手伝い」などを含めた内容が「営業マンがお客様をモデルルームへ案内する仕事」だからです。もし何かしらの事情があって、マンション購入の意思が全く無くモデルルームへ見学に行く場合には、その旨を営業マンに伝えた上で話を聞くと良いでしょう。モデルルームを見学する理由はひとそれぞれです。購入を検討しての見学だけでなく「リフォームの参考。近くに住んでいるのでどんな建物が出来るのか知っておきたい。知人に紹介してあげたい。」などいろいろな理由がありますので、営業マンに安心してモデルルーム見学の事情をお伝えください。
3.お金に関することを色々聞かれるとは思っていなかった!!
私は「住宅ローンなどのお金の相談は金融機関でするもの。」と思っていました。それなのに、マンションのモデルルームでは営業マンから「昨年の年収はいくらぐらいでしたか?」「頭金はいくらぐらいご用意できますか?」「お車の借入れはいくら残っていますか?」など色々と質問をされました。「えっ!何でそんなプライベートな事まで初対面の人に話をしないといけないの!?」と少し不快な気持ちになりました。そのことを営業マンに素直に聞けなかった私は、質問に対して適当に答えてしまいました。そんなぎこちないやり取りでしたので、営業マンに対してもあまり気分の良いものではなかったと思います。
その理由についても、私がマンションの営業マンに転職してから気付きました。その理由は、ほとんどの営業マンは住宅ローンの知識を身に付けており、お客様の状況にあった部屋を提案できるようにしているからです。高い買い物となるマイホームを検討する上で、営業マンが「支払額がいくらぐらいになるのか?」をシミュレーション出来なければお客様に合った提案をする事が出来ません。
誰もが「広くて条件の良い部屋を手に入れたい!」と思うのは当然です。しかし収入や支出はひとそれぞれです。現実的ではない支払いとならないように、お金に関する事も考えておく必要があります。「マンションの営業マンにそんな相談して本当に大丈夫なの!?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は営業マンには「業務上知り得た情報を正当な理由無く他に漏らしてはならない。」という守秘義務がありますのでご安心ください。
4.見学初日に「検討するのか?しないのか?」を聞かれるとは思っていなかった!!
一通りの説明と提案を受け、モデルルームの見学も終わった私は「これでやっと帰れるのかな?」と思っていました。しかし驚きの質問が・・・。営業マンから「この物件のご購入を検討出来そうでしょうか?」という質問を受けたのでした。「えっ!?マンションの購入ってそんなに早く決めるものなの!?」と、とても驚きました。「すみません。そんなつもりではないので検討する事は出来ません。」と答える事が出来なかった私は、適当な事をいってその場をごまかし逃げるようにモデルルームから立ち去ったのでした。
マンションという建物は、建設場所が決まっており、間取りや設備仕様、価格、入居スケジュールなど全てが決まっています。営業マンから一通りの説明や提案を受けてしまえば、あとはこちらがどう考えるかで答えを出せるのです。「価格が合わないので検討できません。」「検討している場所ではないのでお断りします。」「入居のタイミングが合わないので無理です。」「家族で話し合いたい事もあるのでもう少し時間が必要です。」などのこちら側の考えで「検討できるのか?出来ないのか?」を判断できる建物がマンションだという事を私は知りませんでした。
5.勧誘がずっと来るとは思っていなかった!!
そんな初めてのモデルルーム見学を終えてから、定期的にマンションの勧誘が来るようになりました。私はモデルルームへ見学に行ったときに、受付アンケートで住所や氏名、電話番号を記入していました。ダイレクトメール、自宅への電話や訪問案内もありました。当時の私は「営業マンに誘われたから、商品券を貰うついでにモデルルームを見学しただけ。」という軽い気持ちでしたので、「定期的に案内してもらっても、購入は考えていないのに申し訳ない・・・。」と思っていました。しかし、その後も案内が続いてくると、だんだんと不快に感じるようにもなってきました。勧誘のタイミングが子供のお昼寝の時間帯などの時はとても迷惑でした。結局、私は「このような案内は今後一切不要です。」と言い出す事が出来ず、最終的に別の賃貸物件に引っ越しをすることになったのでした。
モデルルームへ足を運ぶと受付アンケートを記入するように促されます。住所や氏名、電話番号などがありますが、必ず記入しなければならない訳ではありません。記入することで物件のイベント情報やダイレクトメール、有益な情報の案内などが手に入るようになります。マンションの購入を検討している方にとってはとても役立つ情報ですので、決して記入しないことがよい訳ではありません。しかしお客様の中には、「郵便での案内はいいけど、自宅に直接来るはやめて欲しいなぁ・・・。」などというケースもあると思います。そのような場合には、きちんと営業マンに伝えておけば対応してくれますのでご安心ください。
マンションのモデルルームを見学する時のアンケート、答えたくないときはどうすればいい?
6.ハッキリと伝える事が恥ずかしい事だと思っていた!!
私が初めてマンションのモデルルームを見学した時の感想は、「呼ばれたから行っただけなのに、長時間あれこれ質問されて不要な案内まで来るようになった!!」というのが正直なところです。しかしよく考えてみればその原因は、私がハッキリと「モデルルームを見学すると商品券を貰えると聞いてやって来ただけですので。」と営業マンに伝える事が出来無かったからです。「商品券を貰いに来ただけ。」と思われるのが恥ずかしかったのです。
その後、私自身がマンションの営業マンとなり逆の立場となりました。ご案内したお客様と連絡が取れなくなったり、訪問しても居留守だったりすると「きっとあの時の僕のように、ハッキリと伝える事が出来ない性格の人なんだろうなぁ・・・。迷惑に思われているんだろうか・・・。」と思う事があります。ハッキリと伝える事は決して恥ずかしい事ではなく、お客様と営業マンのお互いにとって大切なことなんだと感じました。
最近ではプレゼント付きのモデルルーム見学キャンペーンなども多く見かけるようになりました。このようなキャンペーンには、「購入を目的」としているだけでなく、「お客様のご紹介をいただく」、「周辺住民の方への告知」といった目的もあります。気軽にモデルルームを見学していただくことは何の問題もありませんのでご安心ください。
素直に伝える事が大切
このように「初めてモデルルームを見学するお客様の考え」と「案内する営業マンの考え」に違いがあります。お客様が「ハッキリと伝えるのは・・・。」と思っている時には、営業マンは「初めてで何も知らないお客様の為に役に立ちたいと思っているけど、どうしてハッキリ話してくれないのかな?」と思っています。お互いの思いを素直に伝える事が出来れば、きっと初めてのモデルルーム見学の印象も良くなり、夢のマイホームを実現させる為の有益な情報を営業マンから得られる事も出来、きっと頼もしい味方にもなってくれるでしょう。
まとめ
私がお客様の立場としてモデルルームを初めて見学した経験は、もう15年以上前にもなりますが、マンションの営業マンに転職した今の私には、当時の経験はとても役に立っています。お客様も営業マンも「迷惑は掛けたくはない。」と思っていますし、お互いに「営業マンにマイホームの相談に乗ってもらいたい。」「お客様の為に、問題解決の良い提案をしてあげたい。」とも思っている事だってあります。この記事をご覧いただいた皆様が、営業マンと良好な関係を築く事ができて、最適なマンションを提案してもらえるようになれば大変うれしく思います。