福岡県の飯塚市と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?炭鉱の街、麻生太郎元総理大臣の出身地、福岡県のベッドタウンなど、様々なイメージがあるかと思います。
私は営業マンとして16年間働いておりますが、出張が多い仕事柄でも訪れたことのない場所がまだ多く、飯塚も初めての地となりました。
飯塚での生活で感じた魅力をご紹介できればと思います。
1.飯塚周辺には古墳が多い
画像提供:飯塚市歴史資料館様(https://www.city.iizuka.lg.jp/rekishi/)
飯塚市内を走っていると気になる特徴があります。それは、古墳が多いということです。
理由は諸説ありますが、飯塚が稲作に適した住みやすい環境だったこと、多くの権力者が自らの権威を示すために古墳を築いたことなどが考えられると言われています。
飯塚市内には【川津古墳群(かわづこふんぐん)】や【小正西古墳(おばさにしこふん)】があり、この地域で最大のものとしては【王塚装飾古墳(おうづかそうしょくこふん)】が挙げられます。
王塚装飾古墳は実際には隣町の嘉穂郡桂川町にありますが、飯塚周辺の重要な史跡としてご紹介させていただきます。
1-1 王塚装飾古墳(おおづかそうしょくこふん)
王塚古墳は6世紀前半に造られたと考えられている古墳です。昭和9年(1934年)頃に偶然発見されました。この古墳からは多数の馬具や武器、装飾品が出土しています。

出土品
最大の特徴は、その装飾壁画にあります。壁面には赤・黄・緑・黒・白・灰の6色を用いて、靫(ゆき:矢筒)・盾・騎馬像・珠文・双脚輪状文・わらび手文・三角文などの文様がところ狭しと描かれています。

色鮮やかな装飾壁画
その豪華絢爛な装飾は日本における装飾古墳の頂点と位置づけられ、昭和27年(1952年)に国の特別史跡に指定されました。
王塚装飾古墳館 | |
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住所 | 福岡県嘉穂郡桂川町寿命376番地 |
WEB | https://www.town.keisen.fukuoka.jp/ouzuka/ |
1-2 川津古墳群(かわづこふんぐん)
川津古墳は5世紀前半頃に造られた円墳で、内部に箱式石棺を持つ古墳です。古墳は全部で3基あり、川津周辺を統治していた豪族の墓と考えられています。

川津遺跡群案内図
古墳の内部には朱やベンガラ(赤色顔料)が塗られており、様々な副葬品が一緒に納められていたようです。

川津一号古墳の案内板
現在この古墳は公園内に位置しており、過去に発掘調査後に埋め戻されたため、古墳としての外観はかなり失われています。

川津一号古墳
しかし、一見何の変哲もない場所に突然古墳が現れる状況は、古墳好きの方々には特別な魅力があるかもしれません。
川津古墳群 | |
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住所 | 福岡県飯塚市川津652-12 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_193/ |
1-3 小正西古墳(おばさにしこふん)
6世紀頃、この地域を治めていた首長の墓と考えられる古墳群です。

小正西古墳公園入口
墳丘には大小の石室が直交して築かれるという珍しい構造を持ち、馬具をはじめとする多くの副葬品が出土しています。これらの出土品の多くは福岡県の有形文化財に指定されているとのことです。

小正西古墳
一般的に古墳は人里離れた場所にあるイメージがありますが、この小正西古墳群は住宅街のど真ん中に位置しており、日常的な風景の中に突然現れるため驚かされます。

古墳入口
古代の遺構でありながら、これほど良好な状態で保存されていることに感銘を受けました。
小正西古墳公園 | |
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住所 | 福岡県飯塚市小正780番地 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_22/ |
2.飯塚は炭鉱の街
飯塚市は明治から昭和にかけて石炭の採掘で栄えてきた街です。筑豊炭田と呼ばれる炭鉱地帯の中心として、飯塚には全国から多くの労働者が集まり、街は大きく発展しました。
昭和30年(1955年)頃から炭鉱の閉山が進み、現在は炭鉱跡地の多くが工業団地として再利用されています。
飯塚市内を車で走ると、炭鉱時代の名残が数多く見られます。「石炭王 伊藤伝右衛門」の邸宅や、採掘で出た廃土でできた「ボタ山」、「三菱飯塚炭鉱 巻き上げ機台座」などが現在も保存されています。
画像提供:飯塚観光協会様
こうした歴史的遺産は今では観光資源として活用され、炭鉱めぐりマップなども作成されています。
2-1 石炭王 伊藤伝右衛門邸
NHK連続テレビ小説「花子とアン」で注目を集めました。この邸宅は、作中で主人公の親友として登場した柳原白蓮(大正時代の三大美人と称された)が嫁いだ家でもあります。
見学の際、最初に係員から説明があり、邸内に全部で25部屋あると聞いて、その規模の大きさに驚きました。
特に大切なお客様を招く部屋からは庭園が一望できるよう設計されており、訪問客への細やかなおもてなしの心遣いが感じられます。

旧伊藤邸 入口
入口は堂々とした大きな門構えで、一般の家屋とは規模が格段に異なります。

旧伊藤邸 応接間
邸内のほとんどが畳敷きの和風造りである中、この応接間だけは洋風の仕上げになっており、明治から大正にかけての時代背景を色濃く感じさせます。

旧伊藤邸 大広間
8月の暑い時期に訪問しましたが、窓が多く配置され風通しが非常に良いため、エアコンがなくても快適に過ごせる空間でした。

旧伊藤邸と庭園
広大な庭園からは、当時の伊藤家の権力の大きさが窺えます。現在も丁寧に手入れされており、美しい景観が保たれています。

旧伊藤邸 中庭
訪問時は池の手入れ中で水が抜かれていましたが、個人邸宅にこのような立派な池があるのは羨ましい限りでした。この池で錦鯉を飼ったら、さぞかし自慢できることでしょうね…。

白蓮の部屋
白蓮の部屋は、伊藤邸内で唯一、二階に設けられています。
印象的だったのは、白蓮夫人の部屋が最も眺望がよく、庭全体を見渡せる位置に配置されていたことです。伊藤伝右衛門が妻をとても愛していたことが窺えました。
旧伊藤伝右衛門邸 | |
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住所 | 福岡県飯塚市幸袋300番地 |
WEB | https://www.kankou-iizuka.jp/denemon/ |
2-2 ボタ山(筑豊富士)
ボタ山とは、炭鉱で採掘した際に出た廃土を積み上げてできた人工の山です。一見すると自然の山のようですが、人工的に形成されているため、よく見ると特徴的な整った三角形の姿をしています。

飯塚市の忠隈炭鉱のボタ山(筑豊富士)
飯塚市忠隈のボタ山は「筑豊富士」とも呼ばれ、地元の象徴的な存在となっています。
初めてボタ山を見たとき、採掘で出た土だけでこれほど立派な山ができることに驚きました。重機が発達していない時代に、これだけの量の土砂を掘り出し、積み上げていたことは驚嘆に値します。
なお、ボタ山は私有地となっており、一般の方が登ることはできません。場所によっては地盤が不安定な部分もあります。指定された道以外からの登山は危険ですので絶対にやめましょう。
忠隈のボタ山(ただくまのぼたやま) | |
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住所 | 福岡県飯塚市忠隈 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_15/ |
2-3 三菱飯塚炭鉱 巻き上げ機台座
炭鉱の坑内(地下)に資材や人員を送ったり、掘り出した石炭を地上に搬出するトロッコ(炭車)を引っぱるためのロープを巻き上げる機械の台座です。

三菱飯塚炭鉱 巻き上げ機台座1
写真では分かりづらいかもしれませんが、実物はかなり大きく、当時の炭鉱の規模の大きさがうかがえます。私が間近で見たときは、その大きさに圧倒されました。

三菱飯塚炭鉱 巻き上げ機台座2
また、赤レンガが現在まで残っているのは希少だそうです。しっかりとした構造のため、長い年月が経っていますが、まだまだ現役で使えそうな印象を受けました。
巻き上げ機台座/三菱飯塚炭鉱 | |
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住所 | 福岡県飯塚市平恒460-8 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_14/ |
3.飯塚市のグルメについて
3-1 天道ホルモン
さて、飯塚のグルメといえば様々ありますが、私が一番気になったのが「ホルモン屋」です。
飯塚市内を車で走っていると、焼肉店も多いですが、特に「ホルモン屋」という看板を頻繁に見かけて興味を持ちました。私が食いしん坊なのも関係していますが…(笑)
今回ご紹介するのは「天道ホルモン」さんです。過去に福岡のテレビ番組でも紹介された有名店になります。

天道ホルモンさん入口
ホルモン屋と聞くと、一般的には焼肉店のように店内で食べるお店というイメージをお持ちではないでしょうか?しかし飯塚では、ホルモンを自宅に持ち帰るための精肉店のようなお店なのです。
お正月やお盆などの行事がある際に、家族や友人と一緒にホルモンを焼いたり、もつ鍋にしたりして家庭で楽しむことが多いため、テイクアウトする方が多いようです。

ショーケースに商品が並ぶ
なぜ飯塚にはホルモン屋さんが多いのか、店員さんに尋ねてみたところ、諸説あるとのことですが、主な理由は炭鉱の街だった歴史にあるようです。

メニュー表
労働者のタンパク源として、高価な肉の代わりに、当時は廃棄されることの多かったホルモンを食べる文化が生まれたのだとおっしゃっていました。
300g以上購入すると店特製のタレが付いてきます。このタレで調理したホルモンは非常に美味しかったです。バーベキューシーズンにぴったりですね。
天道ホルモン | |
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住所 | 福岡県飯塚市天道42-1 安部写真館前 |
WEB | https://tento-horumon.com/ |
3-2 味覚焼
飯塚市のソウルフード。老若男女問わず、多くの市民に親しまれている飯塚の名物です。

たこ焼きのような見た目の味覚焼
見た目はたこ焼きに似た丸い形をしていますが、ご高齢の方や小さい子どもでも食べやすいように、タコは使用していません。

調理風景
生地には天かす、玉子、ネギ、そして秘伝の出汁が入っており、素朴ながらも奥深い味わいが特徴です。

味覚焼を販売している味覚庵さん
創業から50年にわたり、飯塚市民に変わらぬ味を届け続けています。

味覚庵さんの店内
15個入りで500円という、子供のおやつにもしやすい価格設定になっています。ぜひ一度、この飯塚の味を体験されてはいかがでしょうか?
飯塚名物 味覚焼の「味覚庵」 | |
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住所 | 福岡県飯塚市本町8-7 |
WEB | https://mikakuyaki.crayonsite.com/ |
4.飯塚市の主な観光・レジャースポット
4-1 嘉穂劇場
嘉穂劇場は1931年に、江戸時代の歌舞伎様式を後世に伝えるために建てられた木造2階建ての芝居小屋です。
こちらも炭鉱に関係していますが、炭鉱で働く労働者の娯楽として地域の人々に親しまれていました。

嘉穂劇場
かつては48箇所もあった芝居小屋も炭鉱の衰退とともに減少し、現在では嘉穂劇場のみが残っているようです。
過去に火災や台風被害、洪水などの災害に見舞われましたが、それらを乗り越えて生き残っているのはすごいことだと感じました。
その価値が認められ、2006年には国の有形文化財に登録され、翌年2007年には近代化産業遺産として認定を受けています。
嘉穂劇場 ※休館中(2025年5月時点) | |
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住所 | 福岡県飯塚市飯塚5番23号 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_6/ |
4-2 勝盛公園

勝盛公園
飯塚市の中で最も古い公園で、桜(約300本)やツツジ(約8000本)の名所として市民から人気の高い公園です。
桜の季節には露店も出て、多くの花見客でにぎわいます。

子供向けの遊具も設置されています
公園内には子供向けの遊具も設置されていますが、特筆すべきは石炭輸送で活躍したSL「D60蒸気機関車」の展示です。鉄道ファンの方には特におすすめです。

D60蒸気機関車
車でお越しの場合、駐車場から蒸気機関車までは階段がかなりありますが、スロープも設置されているので、散歩を兼ねて訪れるのもおすすめです。

ウォーキングにもおすすめです
広大な公園なので、休日にはウォーキングを楽しむ方も多く見られます。私も休日にはウォーキングに訪れてみたいと思いました。
勝盛公園 | |
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住所 | 福岡県飯塚市片島1-607-1 |
WEB | https://kankou-iizuka.jp/topic_33/ |
まとめ
飯塚の街をご紹介させていただきましたが、皆様も飯塚に遊びに来てみませんか?
まだまだご紹介したいお店や場所がたくさんありますが、そちらはぜひ、飯塚に来てから自分で探してみてください。
飯塚の方々は非常に温かく、どこに行っても快く迎えてくださいます。このような魅力あふれる飯塚に、ぜひ一度お越しください。
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