進学や移住などを機会に、ほかの県に住むことがあるかもしれません。そんな時、ふと住みやすい県はどこだろうと思ったりした方もいると思います。
1.何を基準に住みやすいとするか?
単純に住みやすい県といっても、性別や年齢、家族構成など状況によって大きく変わります。
例えば、高齢の方であれば医療施設が整っていることや公共交通機関の利便性の高さなどが住みやすさの基準になると思います。また、温泉や海、山が近くにあるなど自然が身近にあるなど、自分の趣味が住みやすさの基準になる場合もあると思います。
このように、住みやすさにはさまざまな基準がありますが、この記事では、住みやすさの基準のひとつとして挙げられる気候で考えたいと思います。
気候が違えば、住居形態や食べ物、その気候に則した地域の慣わしなどが違うので生活に大きく影響します。気候は生活するうえで住みやすさの基準となるとても重要な要素です。
2.大きく6つに分けられる日本の気候
まわりを海に囲まれていて南北に細長い形状の日本は北海道・日本海側・太平洋側・南西諸島・内陸性・瀬戸内の6つの気候 に大きく分けられます。その6つの気候はそれぞれ以下のような特徴になります。
2-1.北海道の気候
北海道は、夏は涼しく比較的すごしやすいですが、秋の終わりから春の初めまでは気温が氷点下まで下がります。また、梅雨がなく、台風もあまり来ないため、夏は他のエリアよりも乾燥します。
ただ、北海道は広いので太平洋側・日本海側・内陸・オホーツク海側とでは気温や降水量に差があります。
2-2.日本海側の気候
日本海側の気候に属している県として秋田県、山形県、新潟県、富山県、福井県、鳥取県、島根県などがあります。
日本海側には暖流である対馬海流が流れており、暖かく湿った空気を運んできます。しかし、冬になるとユーラシア大陸からの冷たく乾燥した風が対馬海流の湿った風を冷やして雪にします。このため、気温のわりに雪がとても多く、世界有数の豪雪地帯となっています。
2-3.太平洋側の気候
太平洋側の気候に属している県として岩手県、宮城県、福島県、千葉県、東京都、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、高知県、宮崎県などがあります。
夏は太平洋からの暖かく湿った季節風の影響で高温多湿となりますが、冬は大陸からの冷たく乾いた風の影響を受けて乾燥します。西日本では暖流の日本海流(黒潮)の影響を強く受けるため、高温多湿となりますが、東日本、特に東北地方は寒流の千島海流(親潮)の影響も受けるため、気温が上がらないときもあります。
夏から秋にかけて雨が多く、東北地方を除いて、冬でも寒いとはいえ霜が降ったり雪が降ったりすることは少なくなります。
雪の積もる日本海側と違い、温暖な気候のため1年を通して農作業ができることも特徴です。
2-4.南西諸島の気候
鹿児島県の奄美大島から沖縄県にかけて属している気候です。
冬の平均気温が14度程度と本州に比べて温暖ですが、海に面しているため、夏は極端に暑くなることもあります。日本海流からの暖かく湿った風の影響で、年間降水量も多いですが、大きな川がないため、降水量のわりに水不足になりやすく、また台風の直撃を受けることも多くなります。
2-5.内陸性の気候
長野県・山梨県・岐阜県北部など海に面していない県が属している気候です。
夏は太平洋側で雨が降り、冬は日本海側で雪が降るため、一年を通して降水量は少なくなります。また、海から離れているため、夏と冬との気温差が大きく、夏は暑く、冬の気温は氷点下になることも珍しくありません。特に夏の暖かく乾いた空気がフェーン現象を起こすこともあり、夏の気温をさらに高めることがあります。ただし、標高の高い地域では夏でも気温があまり上がらないところもあります。また、昼夜の気温差が大きいことも特徴となります。夏の間に、避暑地として好まれるエリアとしても知られていると思います。
2-6.瀬戸内の気候
瀬戸内海に面している県として、岡山県、香川県、愛媛県、広島県、兵庫県、大阪府があります。一年を通して降水量は少なくなる傾向にあります。岡山県には「晴れの国おかやま」というキャッチコピーがあるのもそのためです。
気温は海に面していることもあって温暖です。
3.気候ごとで見る住みやすさについて
上記に挙げた6つの気候で気温と降水量(積雪量)などを踏まえて住みやすさを考えてみます。
なお、気候ごとに属する都道府県によっても多少の差がありますので、ここでは各気候において代表的な地域を取り上げて説明していきます。
3-1.北海道の気候における住みやすさ
上記のように、北海道の中でも太平洋側・日本海側・内陸・オホーツク海側とでは気温や降水量に差があるため、今回は北海道の県庁所在地である札幌市で考えてみたいと思います。札幌市の年間平均気温は8.9℃です。夏の7月は18.4℃で、冬の1月は3.4℃が1日通しての平均気温ですが、最低気温の平均は-7.0℃にもなります。夏は涼しいので非常に過ごしやすいでしょうが、逆に冬は氷点下まで下がります。
降水量は、夏は少ないですが、冬は雪が1メートル弱積もります。
私は小学生時代の数年間を北海道の道東と呼ばれるエリアで過ごしました。子供だったということもあり、毎年雪が積もるのが楽しみでした。また、冬は自転車に乗れないので小学校までの通学にスキーで通ったこともありました。
子供が小さいうちは冬でも楽しい経験ができます。一方、親は除雪作業や日常の移動において徒歩や自家用車での移動が大変となるというデメリットがあります。
このように北海道は、夏は涼しいので暑さが苦手な方にとってはすごしやすい反面、雪による生活のしにくさがあるため、季節によって住みやすさが大きく異なる気候 といえます。
3-2. 日本海側の気候における住みやすさ
日本海に面している県はこの気候で、北と南に縦に長くなり最北の秋田県と最南の山口県では気温に差があるため今回は、日本海側の気候の南北の中間地点にある新潟市で考えてみます。
年間の平均気温は13.9℃、1日の平均気温が夏の7月は18.4℃、冬の1月は3.4℃となります。最低気温の平均は北海道と違いマイナスまではなりません。
積雪に関して、30センチ弱と新潟市内では多くありませんが、山添の地域は豪雪地帯で2メートル近い積雪になるところもあります。また、水分の多い雪のため積もると非常に重量が重くなり、屋根からの雪下ろしは重労働です。シニアの方は、冬の間はこの重労働に悩まされるでしょう。
また、冬の間は外での作業がしにくいため室内でできる仕事や趣味を持っている方にとっては、外出しにくい冬でも時間を持て余すことなく室内で作業をできるのかもしれません。
日本海側は冬の積雪が多いため一年中湿潤 です。 冬に肌の乾燥が気になる方や乾燥で喉を痛めてしまいやすい方には住みやすいです。
3-3. 太平洋側の気候
日本の首都であり人口も多い東京都で考えてみます。
年間の平均気温は15.4℃、1日の平均気温が夏の7月は25.0℃、冬の1月は5.2℃となります。上記の2つの気候に比べれば比較的温暖ですので寒さが苦手な方や暑さが苦手な方は、気温が安定しているため住みやすいでしょう。
降水量は年間で1528.8ミリと梅雨時期から台風時期の秋にかけて雨量が多くなります。この時期は日照時間が少なくなるので屋外での活動はかぎられてくるでしょう。
太平洋側は、1年を通しての晴れの日が全国平均の217.6日より多くなる県が多く存在 します。しかし、台風の時期は雨や風に対しての注意が必要で、台風が来る期間はほかの気候より住みにくくなります。
3-4. 南西諸島の気候
沖縄県の県庁所在地である那覇市で考えてみます。
年間の平均気温は23.1℃で、1日の平均気温が夏の7月は28.9℃で、冬の1月は17.0℃となります。冬は暖かいですが、夏はほかの地域と比べて非常に暑くなりますが、実は最高気温が35℃を超える猛暑日になる日数は少ないのが特徴です。この気候を求めて移住される方も多いです。
降水量は年間で2040.8ミリとなっていて札幌市(1106.5ミリ)のほぼ倍の雨量です。日中はスコールが突然襲ってきたりします。
シニアの方ですと、このような急な気候の変化は身体に影響が大きい ので住みにくくなります。北海道とは逆で寒さが苦手な方は過ごしやすい です。
しかし、暑さが苦手な方は住みにくく、台風の直撃が多いことやスコールが発生する ことはデメリット となります。
3-5.内陸性の気候
内陸性の気候の中心に位置する長野県で、そのほぼ中心に位置する松本市で考えてみます。
年間の平均気温は11.8℃で、1日の平均気温が夏の7月は23.6℃で、冬の1月は-0.4℃となります。年間そして1日を通して気温差が激しく年間25℃近くの差になります。夏でも朝は気温が低下するため足元に毛布を置いて寝る方もいるので暑くて寝苦しい夜はそれほどありません。降水量は年間1031ミリで、那覇市の約半分で札幌市とほぼ同じ量です。
1年を通して雨の日は、全国平均が47.6日に対して30.6日と少ないので、雨が嫌いな方にとっては住みやすい気候です。
しかし、シニアの方や小さい子供にとっては寒暖差が身体に負担をかけ住みにくくなります。 また、紫外線がとても強い ので女性にとってはUV対策が悩みの原因となります。
3-6.瀬戸内の気候
私が住んだ経験のある高松市で考えてみたいと思います。
年間の平均気温は16.3℃で。夏の7月は27.0℃で、冬の1月は5.5℃が1日の平均気温です。夏の平均気温だけ見ると、那覇市の平均気温とそれほど差がありません。
春から秋にかけて晴れた日に沿岸部で発生する風のためか、過ごしにくいほど暑いと感じることはありません。太平洋側の気候同様に1年を通して温暖です。降水量は年間1082.3ミリで札幌市とほぼ同じ量です。台風の直撃も少なく、夏の降水量も少ないことから水不足で悩むことがあります。
また、冬から春にかけて、中国大陸から流入する黄砂が発生します。黄砂の多い日は車や洗濯物に黄砂がついてしまったりすることがあります。
1年を通して温暖な気候 なので暑いのも苦手、寒いのも苦手な方は住みやすいです。ただ、デメリットとしては、雨の日が少ない夏 になり水不足で給水制限になった場合は、生活に欠かせない水を制限しての生活を送ることになるので非常に困ります。
4.私が住んでいる福岡県の気候は?
私が住んでいる福岡県は、上記で引用した「さまざまな面から見た日本」によると太平洋側の気候に分類されます。雲の量は夏と冬に多くなる「日本海側の気候」に近く、降水量は夏に多く冬に少ない「太平洋側の気候」に近いので、「雲の量は日本海側型、降水量は太平洋側型」という2つの気候が合わさった特徴となります。
私は香川県から福岡県に転勤してきましたが、福岡県は九州なので温暖な気候というイメージを持っていましたが、福岡県は日本海に面しているため、香川県より寒く感じました。ただ、年平均気温は17度前後あるので、1年を通してみると非常に過ごしやすく、台風に関しても福岡への直撃は少ないです。
個人的に福岡県は1年を通して温暖であり、冬もある程度寒くなるので日本らしい四季を感じることのできる気候で、すごしやすい県です。
寒さが苦手であったり逆に暑いのが苦手な方や1日の中で気温や雨など急激な変化によって体調にも大きな影響を与えることもありますので、気候から住みやすい県を考えたときに自分にあった気候を選ぶ参考にしてください。
5.まとめ
寒いのが苦手な方は、太平洋側の気候や南西諸島の気候、瀬戸内の気候がお勧めです。逆に暑いのが苦手な方は、北海道の気候や日本海側の気候、内陸性の気候がお勧めとなります。
雨が苦手な方は、太平洋側の気候と南西諸島の気候を除いた県が住みやすくなり、積雪での住みにくさならば北海道や日本海側の気候、内陸性の気候を除いた県が住みやすくなります。ほかにも晴れの日や曇りの日、湿度によっても住みやすさは変わってきます。
気候から住みやすさを考えたときはその気候のメリットだけではなく、デメリットも考えたうえで、自分自身が順応しやすい気候かを考えてみてください。
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