壁に設置する小さな棚「ウォールシェルフ」を取り入れることで、空間を華やかにデザインすることができます。レイアウトが自由自在なウォールシェルフは、最近は手軽に設置できるタイプも増え、マンションの空いたスペースを有効活用しながら見せる収納としても人気を集めています。
今回は、マンションでのウォールシェルフの設置方法として主流な「L字ブラケット」「ピンタイプ」この2つの形状の特徴、今すぐ取り入れられるインテリア例、そしてマンションにウォールシェルフを設置する際の注意点をご紹介します。
※本記事は、ウォールシェルフの取り付けを推奨するものではございません。取り付ける場合はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
※マンションでは、戸境壁(隣の住戸との境を仕切る壁)がコンクリートの場合には、管理会社や管理組合の承認なく穴をあけることはできません。不明な場合は管理会社に確認しましょう。(内装壁がある場合は設置することも可能です)
ウォールシェルフの2つの設置方法「L字ブラケット」「ピンタイプ」
デッドスペースを本棚や収納、飾り棚として手軽に活用できるウォールシェルフ。
家具店やインテリアショップなどで、大きさや形状などさまざまなデザインがありますが、金具をなるべく見せずスタイリッシュな空間づくりをする方法として、ネジを使う「L字ブラケット」とピンを使う「ピンタイプ」の2種類の取り付け方が主流となっています。
それぞれの特徴と、取り付ける場合の注意点をご紹介します。
耐荷重性が高い「L字ブラケット」
壁に直接棚板を取り付けられるようにする棚受け金具で、L字型のものを「L字ブラケット」といいます。生活用品の連結金具としても幅広く活用されていて、家具の耐震補強金属としても定番のアイテムです。ブラケットの穴を通じてネジを締めることで、棚板と壁を固定します。
このあとで紹介するピンタイプと比べると、耐荷重性が高い取り付け方です。また一般的な家具金具としてもよく使われるので、安価で手に入りやすいという特徴もあります。
L字ブラケット式ウォールシェルフの注意点
その1:ネジ止めには石膏ボードアンカーを使用する
マンションの多くは、耐火・防音対策として石膏ボードが建材として利用され、その上に壁紙を張っています。石膏ボードの特性として、建材として加工がしやすい長所がある一方、点の衝撃に弱いという短所も。壁に直にネジを打つとゆるみや抜け、穴空きの原因になるため、ネジを使用するときは石膏ボード用アンカー(石膏ボードに取り付けるために打つ、抜けにくい構造をした鋲)を併用しましょう。
その2:取り外した際に壁に穴が開く
ネジで固定する分、壁に穴を開けることになり、取り外した際に穴が残ってしまいます。開いた穴はパテで埋めて壁紙をその部分だけ貼り直す、補修を依頼するなど、後処理が必要です。
その3:構造的な脆弱さ
スチールなど強度の強い素材のものが多く耐重性もピンタイプに比べて高いですが、金属を曲げただけの作りのため、構造的な弱さが挙げられます。耐荷重を超えるものを載せ続けるとブラケットの曲がった部分に負荷がかかり、変形の原因になることも。
強度を重視するのであれば、金具がやや目立つためデザイン性は劣りますが三角ブラケット(L字の両端をつなぐように金属がつながった形状のブラケット)を選ぶのも方法です。
手軽で失敗のリスクが少ない「ピンタイプ」
壁に、細い釘状のピン(壁押しピン)を使って専用のフックを固定し、フックに台座を引っかけるようにして設置する方式の棚です。オールインワンの既成家具に多い方式で、フックが棚で隠されて外から金具が見えないスタイリッシュさで人気を集めています。
設置方法がピンを押し込むだけなので、工具を用いることがなくDIYが苦手な人でも取り付けることができるのが最大の特徴です。また、ピンを抜けば簡単に取り外すことができるので、部屋の模様替えに合わせて自由に移動させることも可能です。
ピンの太さが直径0.5~0.7mm程度ととてもスリム。そのため残る穴も小さく、100円均一ショップやホームセンターで売っている「壁の穴埋めパテ」や「クロスの穴埋め剤」などで目立たなくすることができます。
ピンタイプの注意点
その1:耐久性がネジ留めより劣る
ピン自体が細く、さらに複数本を刺すため、長年使用していると錆びなどの金属の劣化によるがたつきなどが起こるおそれがあります。
その2:耐荷重がネジ留めより低い
ピンをクロスさせながら壁に押し込んで強力に固定するタイプもありますが、金属自体が細いことから、ネジ留めよりも耐荷重は劣ります。棚自体が比較的軽い素材になる傾向があり、重厚感のある素材の場合、上に載せられる物の重量が制限されます。
ウォールシェルフを取り入れた部屋別インテリアアイデア
棚柱を使わず、壁に直接取り付けるスタイルのウォールシェルフは、すっきりとした見た目のため部屋の用途やデザインに合わせて自由に配置でき、機能的かつインテリア性の高い空間づくりができます。
ここでは取り入れたインテリアアイデアを部屋ごとに見ていきましょう。
※ご紹介する画像には、「L字ブラケット式」「ピンタイプ」以外の方法で取り付けられているウォールシェルフも含まれます。インテリアアイデアの参考としてご覧ください。
リビング
人が一番集まるリビングでは、床置きの棚は動線に干渉してしまうことも。その点、ウォールシェルフを取り入れれば、人の動きを遮ることなく個性的なインテリアデザインができます。
鉢植えや花瓶などのグリーンを配置
たとえば、鉢植えや花瓶に生けた花といったグリーンは、手軽に室内に潤いを与えてくれますが、室内に点在させると毎日のお手入れが大変。
ウォールシェルフに集めてグリーンを配置することで、目線の高さになることから小さなグリーンでも存在感が出るうえ、水やりなどの手入れもしやすくなります。特に、葉がしだれるタイプとの相性は抜群です。
本や小物を置いて見せる収納として使用
本や小物を置いて、機能性を持たせ“見せる収納”として使えるのも魅力のひとつ。
趣味のものなどをちりばめれば、遊び心をプラスした自分らしい空間づくりを楽しむことができます。
またちょっとした季節のものをディスプレイすることで、年中行事や季節のイベントも手軽に取り入れられるのもポイントです。
美術品や装飾品をディスプレイして壁面をアートゾーンに
特に小さめなサイズ感のものは、壁かけで1点置くよりも、ウォールシェルフに並べることで存在感のある見せ方ができます。
高いところに配置できる利点を活かしてキャットウォークに
キャットウォークとして使用する場合は、猫の体重に配慮して、余裕のある耐荷重のものを用意しましょう。多頭飼いの場合、余裕をもって猫がすれ違えるよう、奥行は30cm以上あると安心です。
キッチン・ダイニング
動作の効率性が求められるキッチン。使用頻度の高いものを手の届きやすい場所に配置することが、使い勝手のいいキッチンとも言われます。
手の届きやすい場所に設置して、使い勝手を向上させる
使う人の可動範囲に合わせて設置可能なウォールシェルフで、自分にぴったりのキッチンづくりが簡単に実現できます。
お気に入りの食器を並べて見せる
スペースをもたせてお気に入りを並べて見せる収納にすると、まるでカフェのような装いに。
コレクション感も出て、料理がさらに楽しくなりそうです。
寝室
ゆったりと過ごしたい寝室は、ベッドに横になったときに視界を邪魔しないインテリアの配置がポイント。また、ファブリックからの影響で埃がたまりやすいスペースでもあるので、ウォールシェルフで浮かせた収納にするとお掃除がしやすくなります。
眼鏡ユーザーで、寝起きに眼鏡が行方不明になる人は多いのではないでしょうか。そんなとき、眼鏡専用置場をベッドサイドに用意しておくと便利。
寝起きのボンヤリとした時間も、スムーズな行動につなげられますよ。
ワークスペース/子ども部屋/ホビースペース
パーソナルスペースにもウォールシェルフは大活躍します。
よく使うものは近くに置いておきたい、けれど机の上に物を置くと作業スペースが限られてしまいます。ウォールシェルフを使って、デッドスペースを有効に使いましょう。
部屋の一角にウォールシェルフを設置して、小さなカウンターデスクのような使い方も。
ただし、ウォールシェルフは動荷重(振動などで変わる重さ)が想定されていないため、作業をするのには向いていません。サイドボードのような用途がおすすめです。
和室
社寺仏閣でお参りしたときなどにいただくお札やお守りなどの置き場所に、和室にウォールシェルフを設けてみては?部屋の雰囲気と相まって、収まりよくしつらえることができます。
棚の下に粘着性のフックを付けて、雛飾りに吊るし雛を飾る使い方も。奥行分浮かせて吊るせるので、ゆらゆら揺れる様がかわいい季節のしつらえができます。
取り付ける前に確認するべき3つのポイント
簡単に取り付けられるウォールシェルフですが、特にマンションの場合、設置できる条件が限られています。
棚を購入する前に押さえておくべき、3つのポイントがあります。
「管理規約」で認められているか
マンションの場合、まずは管理規約を見たり、管理会社に問い合わせるなどして、壁にビスやピンを刺すことが認められているかどうかを確認してください。例えば戸境壁(隣の住戸との境を仕切る壁)などの共用部にあたる壁には、ビスを打つことはできません。
代案としてピクチャーレールの使用を推奨されることもありますが、これもどこにでも取り付けができるわけではありません。事前に管理会社や管理組合に確認しましょう。
設置可能な壁やピクチャーレールの設置に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
「棚の耐荷重」は十分か
ウォールシェルフが設定している耐荷重を把握しておきましょう。
設置する際に確認はしていても、設置後は使い勝手のいい場所にあることで、ついいろいろと置きがちです。
棚の利用目的、何をどれだけ載せる予定かを把握して、製品の耐荷重を超えないかあらかじめ計算し、余裕をもったウォールシェルフ選びをしてください。
石膏ボード(壁)の耐荷重性は十分か
ウォールシェルフ自体の耐荷重だけでなく、取り付ける場所である石膏ボードの耐荷重にも注意が必要です。
石膏ボードがどのぐらいの重さまで耐えられるかは、厚さや、取り付ける棚の形状(何箇所にネジ止め、ピン刺しをするか)によっても変わります。
できれば、壁の中に隠れた間柱や柱にビスを打つと安心です。壁をノックして音の違いで確認するほか、下地探し棒や下地センサーなどを使って探してみましょう。
まとめ
時には日常に欠かせないものの定位置に、時には小さな美術館に、時には大切な宝物置場に……と、変幻自在なウォールシェルフ。上手に取り入れて、彩りある暮らしを楽しんでみてください。
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