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お金・住宅制度

【令和6年版】住民税の決まり方と計算方法をわかりやすく解説します

ご自身が納めている住民税の額をご存知ですか?
会社員の方であれば、毎月の給料から所得税などの税金や社会保険料などが控除(天引き)され、残りが給与口座に振り込まれるため、手取り金額にばかり注目してしまう方も多いかと思います。
しかしせっかく頑張って働いたお給料から差し引かれている税金についても、何が、どういう根拠で控除されているのか、知っておきたいところですよね。
ここでは控除されるたくさんの項目の中でも金額の大きい『住民税』について解説します。

※住民税には法人に課税される『法人住民税』と個人に課税される『個人住民税』がありますが、ここでは個人住民税について解説しています。
※こちらの記事は、令和6年度の住民税の計算について説明しています。


1.住民税の概要

1-1.住民税とは

住民税は税金の中でも県や市などの地方公共団体が徴収する税金地方税で、都道府県に納める『都道府県民税』と市町村に納める『市区町村民税』を合わせて住民税と言います。「県民税」・「市民税」という名称で馴染みがある方も多いかもしれませんね。

住民税は、前年の所得に応じて計算される「所得割」と、定められた額で一律に課税される「均等割」があります。
また令和6年度より、各地方団体による間伐などの適切な森林整備のための財源として、森林環境税(1人年額1,000円)が徴収されます。
これらを合計した額が住民税の金額です。
住民税=所得割(前年の所得額に応じて計算)+均等割(定められた額で一律に課税)+森林環境税(年間1,000円)

平成26年度から令和5年度までの10年間、東日本大震災に伴う復興の財源確保のため、均等割額が臨時的に年額1,000円加算されていました。2024年度からはこの臨時措置が終了し、上記のとおり森林環境税が加算されています。

 

1-2.税率(総合課税)

住民税は通常、以下の標準税率を基に計算されます。

 

都道府県税

市町村税

合計

所 得 割
(指定都市の場合)

4%
(2%)

6%
(8%)

10
(10%)

均 等 割

1,500円

3,500円

5,000

出典元:総務省「個人住民税の概要

「標準税率」とは、地方自治体が通常用いることとされている税率です。財政上その他必要があると認められる場合には、各自治体が条例により標準税率とは違った税率を定めることができます。そのため自治体によって税率が異なる場合があります。
ご自身がお住まいのエリアの税率は、お住まいの都道府県及び市町村など各自治体の公式サイトで確認しましょう。

1-3.計算期間

住民税のうち所得割の部分は、毎年1月~12月までの1年間の所得をもとに上記の税率をかけて税額が計算されます。

一方、「均等割」前年の所得が一定額以上の場合に上記の金額が一律で課されます。
つまり、前年の所得をもとに計算されますので、前年に一定以上の所得がある場合は、その後収入がなくなったとしても1年間は住民税を納める必要があります。なお、会社員の方の場合は原則、特別徴収によるため、5月~6月頃に勤務先を通じて税額が通知され、6月から1年間、その金額が毎月の給与から差し引かれるようになります。

1-4.エリア

住民税は「原則、その年の1月1日現在で居住している地域(住民票の所在地ではなく、実際に居住している現住所)に納める」と定められています。したがって、住民票の所在地と実際に居住している現住所が異なる場合には、住民票の所在地ではなく、実際に居住している現住所で課税されることになりますので注意が必要です。ただし、単身赴任などで週末は実家で生活するなどの理由から住民票を異動させていない場合は、住民票の所在地で課税されます。

また1-2でご紹介したように自治体によって税率が異なる場合があるため、同じ勤務先・同じ所得の場合でも住民税の額が異なることもあります。

1-5.納付方法

住民税には特別徴収と普通徴収という2種類の納付方法があります。

特別徴収

給与支払者(会社)が住民税の年税額の1/12ずつを毎月の給料から預かって、預かった翌月10日までに各従業員の住所地の各市町村に納付する方法。 原則、会社員(給与所得)の場合はこの方法となり、毎月の給与から徴収されます。

普通徴収

給与支払者(会社)を介さず、自分自身で年4回(おおむね、6月、8月、10月、翌年1月の末日)1/4ずつを市町村に納付する方法。 個人事業者など、給与以外の所得者はこちらの徴収方法となります。
給与所得の場合でも、給与支払者(会社)や、従業員の事情(年途中の退職・転職など)によって普通徴収となる場合があります。

また、会社を退職した場合は、主に以下の納付方法があります。

  • 役所からの納付書によって納める
  • 退職手当又は最終の給与から差し引いて徴収
  • 再就職した次の勤務先の給与から徴収

詳しくは勤務先に問い合わせてみましょう。


2.実際に住民税を計算してみよう

住民税の計算は次のような手順で行います。

  1. 「所得金額」の確認
  2. 「所得控除額」を計算
  3. 「課税標準額」を計算
  4. 「所得割額」を計算
  5. 「税額控除」を計算
  6. 「住民税額」を計算

それでは、次のケースを使って実際に住民税の計算の手順をひとつずつ解説していきます。
※以下の解説は令和6年度以降の住民税の計算についての説明となります。

<シミュレーションの前提条件>

    • 居住場所・・・A県B市
      (所得割) 都道府県税:8%、市民税:2%
      (均等割) 都道府県税:1,500円、市民税:3,000円
      (森林環境税)1,000円 
    • 家族構成・・・夫婦 + 子供2人
    • 前年収入・・・500万円(給与収入 46歳)
    • 配偶者 ・・・無職(控除対象配偶者 43歳)
    • 子供  ・・・16歳(一般扶養)、13歳(年少扶養)
    • 控除項目・・・社会保険料50万円、一般生命保険料(旧保険)5万円

※年齢は前年12月31日時点のものとする

2-1.所得金額を確認する

毎年5月から6月あたりに勤務先から受け取る「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」(以下、決定通知書)を見ながらシミュレーションをします。

①が「給与収入」つまり「年収」です。1年間において勤務先から支給される給与の総支給額を指します。

次に見るのが、②の給与所得の部分。「収入金額から必要経費を除いた金額」を指します。

①の「給与収入」よりも金額が少なくなっていますが、これは会社員の場合も「勤務にかかる経費(給与所得控除)」を除くためです。
自営業者(事業所得者)の場合、収入から備品代や仕入れの費用、打合せの飲食代など、営業に掛かった経費を収入金額から差し引くことができます。
給与所得者の場合も、スーツの購入費や業務に必要な参考書など会社から支給されないものの勤務するにあたりかかる経費がありますよね。給与所得者の経費は給与等の金額に応じて一律に決めて控除されるようになっています。
給与所得控除額は国税庁のサイトより給与収入を入力して計算できます。

参考|国税庁「給与所得控除」

給与収入より、給与所得控除を除いたものが、②の「給与所得」です。

<シミュレーション>

給与所得控除額
5,000,000円(給与収入)の場合:1,440,000円(給与所得控除額)

給与所得
5,000,000円(給与収入)-1,440,000円(給与所得控除額)=3,560,000円(給与所得)

②の「給与所得」の金額となります。

2-2.所得控除額を計算する

2-1.の「所得金額」がそのまま課税の対象となる金額(課税標準額)となるのではありません。扶養する家族の有無などの個別の事情を考慮し、所得金額から控除されます。
会社員の場合、毎年11~12月ごろに行う年末調整の申告内容が、この住民税の控除にも反映されます。
決定通知書では③の部分が、適用となる控除の内容と金額になります。

控除の内容は、基礎控除、扶養控除、生命保険料控除など多岐にわたりますが、その内容の一部をご紹介します。

基礎控除

前年の合計所得金額に応じて所得金額から控除。

 所得金額2,400万円以下は控除額43万円

扶養控除

同一生計の親族の合計所得金額が48万円以下の場合、扶養親族の年齢に応じて所得金額から控除

 年少扶養親族(16歳未満) 0円
 一般の扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)33万円
 特定の扶養親族(19歳以上23歳未満)45万円
 老人の扶養親族 70歳以上 38万円

生命保険料控除

生命保険・個人年金保険・介護保険などの保険料を支払った場合に一定額を所得金額から控除

社会保険料控除

本人や同一生計の親族のために支払った社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料な)は、全額所得金額から控除

医療費控除

当年中に高額の医療費を支払った場合、一定額を所得金額から控除

<シミュレーション>

  • 基礎控除 43万円
  • 配偶者控除  33万円
  • 一般の扶養控除 33万円(16歳子供分) 
    ※13歳の子供は年少扶養のため控除なし
  • 生命保険料控除
    旧保険のため、5万円 × 1/4 + 17,500円 = 3万円
  • 社会保険料控除 50万円

合計所得控除額 = 43万円+33万円+33万円+3万円+50万円=162万円

2-3.課税標準額を計算

2-1.の「所得金額」から2-2.で計算した所得控除額を差し引きしたものが、課税の対象となる金額=課税標準額となります。※千円未満切り捨て

<シミュレーション>
課税標準額 = 356万円(所得金額) - 162万円(所得控除額) =194万円(課税標準額)

2-4.所得割の税額(税控除前)を計算する

2-3.の課税標準額に所得割の税率をかけます。シミュレーションのB市の場合ですと、所得割の税率は市民税が8%、県民税が2%です。

<シミュレーション>
・市民税:194万円(課税標準額)×8%=155,200円
・県民税:194万円(課税標準額)×2%=38,800円
シミュレーションの結果、市民税が155,200円県民税が38,800円なりました。

2-5.税額控除を計算する

2-4.で算出された税額から一定の金額を差し引くことができます。
税額控除の内容も様々ありますが、その一部をご紹介します。

■調整控除
平成19年度の所得税と住民税の税率改定による所得税と個人住民税(所得割)の合計での負担増を調整するために設けられた控除です。
令和3年度より所得金額2,500万円を超える場合は適用外となりました。
控除金額は役所の方で計算されますので、この控除を受けるための手続き等は必要ありません。

■配当控除
株式配当などの配当所得がある場合には、その金額に応じて控除がされます。
この控除を受けるためには確定申告が必要です。

■住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)
所得税の住宅ローン控除を受けている人が、所得税から全額控除できなかった場合には、一定額を限度として住民税の所得割額から控除されます。

■寄附金税額控除
自治体や特定の団体などに対して寄附を行った場合、一定額を限度として控除されます。
この控除を受けるためには原則として確定申告が必要です。

<シミュレーション>
調整控除額として、市民税は6,000円県民税は1,500円の税額控除と設定しました。

2-6.住民税額を計算する

2-4.で計算した「所得割の税額(税控除前)」から、2-5の税額控除を引いた金額が実際に納付する[所得割額]となり、これに[均等割額]と[森林環境税]をプラスした金額が、年間の住民税額になります。

<シミュレーション>

  • 所得割
    市民税 155,200円-6,000円=149,200円
    県民税 38,800円-1,500円=37,300円
  • 均等割(所得に関わらず一律)
    市民税 3,000円
    県民税 1,500円
  • 合計 
    市民税 149,200+3,000円=152,200
    県民税 37,300+1,500円=38,800
    152,200円+38,800円+1,000(森林環境税)=年額192,000円

これを月割りした金額、【約16,000円】ほどが、月々の納付額となります。

令和6年度の個人住民税は定額減税が実施される
住民税の計算方法は上記の通りですが、令和6年度は物価高による国民の負担緩和を目的とした個人住民税の定額減税が実施されるため、税額が異なります。
 
<対象となる人>
  •  前年の合計所得金額が1,805万円(給与所得のみの場合2,000万円)以下の個人住民税所得割の納税義務者とその同一生計配偶者・扶養親族
  •  国内居住者

<減税額>
 1人につき1万円 ※上記シミュレーションでは4万円の減税

<減税方法>
2024年6月の給与にかかる住民税の特別徴収は行われません。定額減税後(住民税の所得割額から減税額を引く)の税額を11分割し、2024年7月~2025年5月の給与分から徴収されます。

詳しくは、お住まいの市区町村の市民税にお問い合わせください。
制度については総務省のサイトでも詳しく案内されています。

総務省|個人住民税における定額減税について


3.住民税は住んでいる地域によって金額がちがう

「私の住んでいる街は住民税が高い!」といった話を聞いたことはありませんか?
1-4でご説明したように、実際地域によって住民税額が異なります。エリアの政策や特性に応じて、「所得割」に関しては税率、「均等割」に関しては税額が設定されています。
詳しい税額はお住まいの自治体のホームページを確認しましょう。

エリア所得割均等割

標準税率

※地方自治体が通常用いることとされている税率

市民税:6% 
(指定都市は8%)

県民税:4% 
(指定都市は2%)

市民税:3,500円

県民税:1,500円

愛知県名古屋市 
※指定都市

市民税:7.7%

県民税:2%

市民税:2,800円

県民税:1,500円

福岡県福岡市
※指定都市

市民税:8%

県民税:2%

市民税:3,000円

県民税:1,500円


4.「ふるさと納税」を活用しよう

住民税の納税額をみて、少しでも負担を抑えたいと思う人も多いでしょう。住民税を抑えるには「ふるさと納税」がおすすめです。

ふるさと納税

ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に寄附をした場合に、所得税や住民税が控除される制度です。収入や家族構成(扶養の有無)などにより計算される控除対象の金額内であれば、寄附額から2,000円を引いた全額が当年の所得税から還付、翌年6月以降の住民税から控除されます。

寄附に対する返礼品を受け取ることもできますので、返礼品の種類から寄附したい自治体を選ぶことができます。

※ただし、居住地の自治体への寄附には、返礼品をもらえない等の制限を受ける場合があるのでご注意ください。

ふるさと納税は、住宅ローン借入による住宅取得時に利用できる「住宅ローン控除」やiDeCo(個人型確定拠出年金)利用による所得控除とも併用が可能です。
詳しくはこちらで解説しています。

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる。併用時の注意点と、ふるさと納税額の目安 (anabuki-style.com)

総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では、寄附控除額をシミュレーションできるようになっています。
「収入・家族別の全額控除されるふるさと納税額一覧」もありますので、参考にしてみてください。

税金の控除について(出典元:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」)


まとめ

今回は、住民税の計算方法について解説しました。地域によって税額が違う場合が多いため、お住まいの市区町村に確認する必要がありますが、まずはお手元に届く「決定通知書」をよく確認してみましょう。裏面には、計算の根拠も記載されていますので、参考になると思います。
税金の仕組みをよく確認して、上手に納税していきましょう。

記事の内容を動画で分かりやすく解説しています。こちらもご覧ください。

※こちらの記事は、2022年6月に公開されたものを令和6年の税制に合わせて再編集しています。

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