住宅購入と転職、一見何も関係性がないものと思われる方も多いのではないでしょうか?
実は、転職は住宅を購入する際の住宅ローンの審査に大きく影響を及ぼします。
転職をしてしまう事で、欲しい住宅を買えないという場合もありますので、
タイミングなど注意して転職をすすめましょう。
住まい購入に関わる税制・ローンの知識を深めたい方へ
税制や住宅ローンについて調べ始めると、聞きなれない用語にたくさん出会います。
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1.転職後間もない場合は、住宅ローンを組むのは難しい
皆さんが、一番気になることは転職した場合に住宅ローンが組めるのかという事だと思います。
転職して間もない時は、住宅ローン組むのが難しい場合が多いです。
なぜなら、銀行など民間の金融機関では一般的に、住宅ローンの融資条件のひとつに最低勤続年数を設けているからです。
金融機関によって違いはありますが、一般的な基準として、勤続年数を3年と定められています。
では例外的なケースはあるのでしょうか?
転職後でも住宅ローン組める代表的な例をご紹介します。
- 同じ業界において、会社の規模が大きくなる、年収があがる
- 会社の要請により、グループ会社への転職
- 士業など、資格を活かした専門職への転職
などがあげられるかと思います。
一概に転職と言ってもさまざまなケースがあるかと思います。
キャリアに一貫性があり、キャリアアップの転職だと審査上の評価は悪くないと言えるでしょう。
このような場合の転職に関しては、例外的に取り組む金融機関が多いようです。
しかし、キャリアアップの転職とはいえ転職回数が多いと審査上は良くないので注意しましょう。
2.勤続年数が短い場合でも、住宅ローンが組めるケースは?
2-1 金融機関は総合的な判断を行う
勤続年数が長い場合と短い場合では、1章でご説明した通り、長い場合の方が住宅ローンの審査では良いとされています。
しかし、金融機関は総合的な審査にて判断します。
勤続年数が短くても、
- 自己資金が多い
- 既存の借入がない(マイカーローン等)
- 過去のローンの支払で返済期日を過ぎた事がない
- (夫婦合算の場合)転職をしていない方の収入が多く、安定している
- 資格を保有している
等々
勤続年数が3年経過していなくても上記のようなアピールポイントがあれば、住宅ローンを組める可能性が高くなります。
私は不動産の営業マンですが、実際に転職後3年経過前に住宅ローンの承認を得る事ができ、住宅を購入されてきた方々を何組も見てきました。
まずは営業担当者、もしくは金融機関に相談しましょう。
2-2 フラット35を活用しよう
フラット35とは、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローンです。
フラット35には、最低勤続年数の規定がなく転職後でも利用できるというメリットがあります。
勤続年数が1年未満の場合には、転職後の勤務先に「転職後の収入を証明する書類」を依頼し、その書類をもとに年収を計算します。
1年を経過している場合には、実際に支給された給料にて年収とみなします。
<勤続年数1年未満の場合 算出例>
※住宅金融支援機構HPより
【転職年月日】 平成27年4月12日
【借入申込年月日】 平成28年2月16日
【給与算定期間】 月の1日~末日(毎月15日に前月分を支給)
【支払金額】 6,924,763円(平成27年4月分~平成28年1月分)
【ボーナス支給額】 6月分 300,000円 12月分 400,000円を含む
(1)1ヵ月当たりの支払金額を算出する。
6,224,763円÷10ヵ月=622476.3円(小数点以下切り捨て)
※6,224,763円=6,924,763円-700,000円(ボーナス支給額除く)
※10ヵ月…平成27年4月分(5月支給分)から平成28年1月分(2月支給分)までの10か月。
4月12日~4月30日の19日(1ヵ月未満の期間)は切り上げる。
(2)(1)より算出した1ヵ月当たりの支給金額を12倍し、ボーナス支給額を加算する。
622,476円 × 12か月 + 700,000円 = 8,169,712円
このようにフラット35は、基準となる収入の判断基準が違います。
そのため、転職後間もない場合でも、フラット35を使えば住宅ローンが組める可能性があります。
3.通常の転職(自己都合)と例外的な転職(倒産等)双方における注意点とは?
この章では、2種類の転職に分けて事例をご紹介します。
【A】ヘッドハンティングや個人で転職を希望して転職をする場合
【B】勤めている会社の倒産やリストラで転職を考えなければならない場合
対象住宅の引渡し前後において、どのような問題が生じるのかをご紹介します。
3-1 対象住宅契約後、引渡しまでの期間
対象住宅の売買契約から引渡までに1年~2年期間を要すことが多々あります。
では、その期間の転職の場合はどうなるのでしょうか?
前提のルールとして、買主に過失がない売買契約後の住宅ローン不承認は、「ローン特約」というものがあり、原則手付金をそのまま返金し、契約を白紙撤回しましょうというルールがあります。
【A】の場合
自己都合による転職の場合、審査承認を得ていた内容に変化を生じさせたという事実で住宅ローン承認から不承認となった場合には、契約時に支払った手付金が没収されます。
買主に過失があるという判断となるためです。
また、個別で注文した内装工事や売主がお引渡の準備に取り掛かっていた場合などは、違約金の対象となる場合があります。このケースの場合は十分に注意しましょう。
【B】の場合
やむを得ず転職しなければならない場合は、基本的には手付金が返金されるケースが多いでしょう。
とはいえ、再度売主も他のお客様に対象住宅を販売しないといけないので、【A】のケースと同様に個別での内装工事を注文していた場合には、その工事代金と現状復帰代金が必要となるケースがあります。
3-2 住宅ローン返済中の期間
住宅ローンは、最長35年。この長い期間に転職・倒産は十分にあり得ることだと思います。その場合はどうなるのでしょうか?
【A】の場合
一般的に転職をご自身の意思にて行う場合には、転職先の雇用形態や収入など十分に確認して転職されるかと思いますので、現在と同じ返済計画を保つことができるかの確認をしておくことだけで大丈夫でしょう。
【B】の場合
まずは、融資金融機関へ出向き事情を説明しましょう。
一定期間収入がない状況が続くようであれば、預貯金にて繰上返済をし毎月の支払額の見直しを検討できないか、あるいは、両親への援助にて毎月の支払額の見直しを検討できないか、また、再就職し軌道にのるまでの間は利息のみの支払いなど、支払条件面を少し考慮してもらえないかという相談をすることが大切かと思います。
4.まとめ
転職後すぐには、住宅ローンを組むことはむずかしいですが、仮に審査OKということになってもリスクがあることを考える必要があります。
転職先の会社の報酬面・職場環境・人間関係など、長期にわたり大丈夫かという判断が短期間ではできないからです。
住宅ローンは最長35年の人生の中でも最長のローンになります。
自分のために家族のためにも、計画的な人生設計をすすめていきましょう。
また、今から住宅ローンを検討される方は、失業へ備えるために失業保障のある住宅ローン商品を選ぶのも良いかもしれません。
倒産やリストラなどで失業してしまった場合、一定期間住宅ローンの支払額を保障してくれるというものもあります。ぜひ今後の参考にしてください。
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