ソーイングが好きな人にとって、ミシンを出したままにできる裁縫スペースはあこがれの空間ですね。重いミシンを収納から出し入れするストレスがなく、空いた時間にパッと作業が始められるので、効率よく趣味に没頭することができます。そして自分だけの特別な場所があるという喜びも大きいでしょう。
この記事では、限られた広さのマンションでも実現できそうな裁縫スペースの作り方をまとめました。機能性だけではなく、眺めるだけでも惚れ惚れするような魅力的なアトリエを目指してみましょう!
マンションで裁縫スペースはどこに作る?
手狭なマンションで1部屋をまるっと裁縫用に使うというのは、現実的に難しいところ。部屋のどこかの一角を利用するくらいの規模でプランニングしていくとよいでしょう。
まずは、裁縫をするにあたって必要な条件、使用する部屋別でのメリットなどをご紹介します。
裁縫スペースに必要な条件
裁縫スペースの候補を検討する際には、以下の基本条件がクリアされているか確認してみましょう。
電源がとれる
裁縫ではミシンとアイロンが必須アイテム。コンセントの差し込み口があることが基本です。
生活動線上にならない
布や型紙を広げたときに生活動線を塞ぐような場所だと、やはり不便です。針やハサミで怪我をする危険も回避するためにも、人がよく通るような場所は避けましょう。
床はフローリングがおすすめ
大きな布は床に広げて線を引いたり、裁断したりすることもあるので、カーペットよりもフローリングの方が断然作業がしやすいです。また度々出る糸くずなども、フローリングであれば、ホウキやワイパーでさっと掃除することもできますね。特に夜遅くにも作業したい方は、掃除機を使わずに片付けができるフローリングの方が都合がよいでしょう。
部屋ごとの特徴
リビング、リビング横の部屋、寝室…ご家庭によってソーイングスペースとして利用できるお部屋はさまざま。続いては各部屋に裁縫スペースを作った場合、どういったメリットがあるのか見てみましょう。
リビング
家のメインルームでもあるリビングは「日差しが入って明るい」「床暖房やエアコンがある」など、どの季節でも快適に作業しやすいという特徴があります。
また裁縫以外(食事や家事など)でもリビングを利用することは多いので、同じ場所で作業することで光熱費の節約にもなります。リビングとキッチンが一緒になっている間取りが多いので、料理などの家事と同時進行で効率よく作業を進めることもできるでしょう。
ただし、家族がゆっくり過ごしたい夜の時間に作業をしてしまうと、やはりミシンの音は気になるところ。そういった面で、家族がいない日中に作業することがほとんどいう方におすすめの場所になります。
リビング横の部屋
リビング横の部屋を子供のおもちゃ部屋にしているご家庭も多いのではないでしょうか?子供が成長しておもちゃが必要なくなったとき、入れ替わりでその場所を作業スペースに使えたら合理的ですね。
家族がリビングを使用している時は仕切り戸を閉めて個室に、1人の時は開け放してのびのびと作業することもできます。生活時間帯に応じて、個室にも開放的にも柔軟に切り替えられるところが魅力でしょう。
寝室
家族が在宅中でも、寝室は比較的に1人になりやすい空間なので、集中して作業をすることができます。リビング横の部屋よりもさらに視線に入りにくい場所なので、子供やペットが裁縫用品などを触るのが心配という方にも好まれる場所でしょう。
特に日中の作業がメインという方には、夜しか使わない寝室を有効利用できるチャンスにもなります。
作業する机、椅子、収納家具の選び方
机、椅子、収納家具の3つは、裁縫スペースの基盤となる大物アイテム。存在感がある分、この3つで空間の印象もほとんど決まりますので、慎重に選びたいものです。
デザインよりも先にサイズを絞り込むところから始めると効率的に決められます。裁縫スペースに使用できる広さはご家庭ごとに違いますが、マンションであれば全て配置して1〜2畳に収まるくらいが目安。それ以上の広さになると、生活スペースが窮屈に感じられることがあります。
「机」ミシンの大きさの1.5倍以上が理想
ミシン作業では、大半の方が便利なフットコントローラー(足でスタート、ストップ、スピードを操作できるもの)を使用しています。フットコントローラーを使うなら、作業台に相応しいのはやはり椅子に座って使うデスクタイプですね。
そして、ミシンで使う机の見るべきポイントは、奥行きよりも横の長さ。作業しやすいサイズは、ミシンのだいたい1.5倍以上の横幅が必要と言われています。
「椅子」背もたれナシで利便性×省スペース
ミシンは基本的に前かがみで作業することがほとんどなので、背もたれをあまり必要としません。またアイロンとミシンを何往復もしたりと意外と移動が多いので、パッと立ち上がれる丸椅子のようなものの方が重宝します。
さらに、背もたれがない椅子であれば、作業後は机の下に仕舞えるという利点も。貴重なスペースを有意義に使うには、そういったポイントも見逃せませんね。
「収納家具」カラーボックス、引き出し、壁掛け棚
裁縫は、続けていくうちに道具や材料がどんどん増えていきます。こういった備品を仕舞うための収納場所も設けなくてはいけません。
代表的な収納グッズの特徴をご紹介しましょう。
カラーボックス
シンプルなカラーボックスは、大きい布を畳んでそのまま置いたり、カゴなどを使って小物を収めることもできる、オールマイティーな収納具。上手に見せて収納すれば、裁縫スペースをよりおしゃれに仕上げる立役者になります。
ただし収納力がある反面、カラーボックス自体を置くスペースが必要となります。机と椅子を配置してもまだ余裕がある場合に検討してみるといいでしょう。
引き出し
カラーボックスとは逆に、引き出しは隠して収納できるところが最大の特徴。ある程度のすっきり感が欲しい方に好まれる収納アイテムです。
もともと引き出しがついた机を選ぶという手もありますが、あえてソーイングコーナーのポイントになるような古家具やアンティークなどでこだわりを見せるのもいいですね。
壁掛け収納
壁掛け収納は、机の上部分に生まれるデッドスペースを有効的に活用できるだけではなく、ディスプレイ効果を発揮できるアイテム。パッと目に入り込んで来る場所に設置するので、お気に入りのものを飾りつつ収納したい場合に効果的に使えるでしょう。
代表的な例としては、ウォールシェルフ、パンチングボード(有孔ボード)、スパイスラックを使うなどの方法があります。
マンションの規約や壁の素材によっては穴を開けて棚をつけるというのが難しいというご家庭もあると思います。そういった場合は、天井と床に伸縮棒を突っ張って組み立てられる棚を活用してみてはいかがでしょう?床や壁紙を傷つけることなく設置できる優れものです。
道具、布、糸、小物の収納アイデア集
机・椅子・収納家具が決まったら、道具や布類をどう収納していくか考えていきましょう。特に「布・糸・小物類」は空間の引き立て役です。上手に見せて収納することで、彩りを添えてくれます。
使用頻度に合わせた道具の収納アイデア
裁縫道具は、使う頻度に合わせて置き場所を決めていくのがおすすめです。使う道具の頻度には個人差がありますので、裁縫スペースを育てていくような気持ちで、作業していく中で自分にとってベストな定位置を見出していきましょう。
使用頻度の高いもの
使用頻度が高いもの(裁断バサミ、糸切バサミ、まち針など)は、壁掛け収納、一番上の引き出し、机の上…など、椅子に座っていながら手が届くかを基準に場所を決めていくのがおすすめ。
道具には鋭利なものも多く、剥き出しにしておくと気になるというものもありますね。よく使うけれど、隠したいものは特等席でもある引き出しの上段を活用するとよいでしょう。その際は、カトラリーケースなどを使って仕切りをつけると整理しやすく、スライドさせる度に散らばることもありません。
机の上に道具を置く場合は、裁縫スペースの雰囲気に合わせた容れ物を使うと空間のアクセントになります。陶器、ガラス、ステンレスなどいろんな素材がありますが、「重たい裁ちバサミを立てても倒れないか?」などの機能面のチェックも大切です。
使用頻度の低いもの
一方、使用機会が少ないもの(型紙、接着芯、伸び止めテープなど)は、引き出しの下段、カラーボックスの一番下など、ちょっと出し入れしづらい場所を活用してみてください。
手が届きにくい壁掛け収納の最上段も使いみちに悩みがちですが、非常に目立つ場所でもありますので、置くものには気をつけましょう。剥き出しのままだと気になるものは、裁縫スペースのトーンに合わせた箱やケースなどに入れてから置くと、空間に馴染みやすいです。
かさばる布の収納アイデア
大きい布から端切れまで、かさばる布の収納はなかなか難しいもの。布は、手芸屋さんのようにカラーごとに並べると、違う柄同士であってもまとまって見えます。また実用面でも、表地に合う裏地を探しやすいなどの利点があります。
カゴや箱に布を立てて入れる
カゴや箱に仕舞う場合は、「同じサイズに畳むこと」と「積み重ねずに立てて収納すること」がポイントです。こうすることで自分が所持している布が一目瞭然になり、使う布だけを簡単に取り出すことができます。
大きい布はカゴに入れて足元に、小さい布は箱に入れて棚にと、布のサイズにあわせて容れ物を使い分けてもいいですね。
厚紙の芯に巻いて棚に並べる
手芸店の布の陳列って素敵ですよね。あの並べ方を自宅でも再現することができます。棚の高さ・幅に合わせて厚紙で芯を作り、畳んだ布をぐるぐる巻くだけ。柄がそのまま背表紙になり、布の図書館のように仕上がります。
見本帳(カタログ)を作る
布の量が多すぎて裁縫スペースに仕舞いきれない方向けの収納方法が、見本帳(カタログ)の作成です。布の一部を切り取ってノートなどに貼りつけ、一覧を作るというものです。布本体はクローゼットの衣装ケースなどに仕舞い、一覧を見て必要な布を取り出すようにします。裁縫スペースの「離れ」を作ってあげるようなイメージです。
不便に思うかもしれませんが、裁縫では作業の序盤に布を裁断した後、布を再度出し入れすることはほとんどありません。場所を占有しがちな布類は思い切って別の場所に仕舞うという選択も、裁縫スペースを有効的に使うための1つの手段ですね。
その布の購入先(店舗名やサイト名)、合うミシン糸の番号などを書き込めるのも見本帳の魅力です。自分が持っているすべての布を一覧で管理することができます。
ミシン糸の収納アイデア
裁縫を続けていくうちに、予想外に増えていくのがミシン糸。ミシン糸は側面が見えるように並べるとカラーが、穴が空いている底面を見えるようにすると太さがひと目でわかります。
糸巻きラック
糸巻きラックはミシン糸専用の収納具ということもあり、見た目も機能性も抜群です。壁掛けタイプであれば、デッドスペースになりがちな机の上の空間を上手に使うことができます。
壁への取り付けが難しいようであれば、机におけるタイプもあります。転がりやすいミシン糸を固定して収納できるので、振動などで散らばる心配もありません。
オンラインショップでもさまざまな素材や価格帯のものが販売されていますので、好みや裁縫スペースの雰囲気に合わせて選んでみてください。
上糸とボビンとセットにして箱や缶へ
かわいらしいお菓子の空き箱や缶もぜひ活用したいところ。箱型のものにミシン糸を仕舞うときは、上糸の糸巻きとボビン(下)がセットで上手に収まるようなサイズのものが便利です。
似たような糸が増えてくると上糸のペアとなるボビンがどれなのか見分けがつきにくくなってきます。ワンセットで仕舞える容れ物かを試して、採用してみてください。
ボタン、リボンなど小物の収納アイデア
最後に小物類の収納方法をご紹介します。かわいらしいボタンやリボンなどは裁縫スペースを仕上げる最高のスパイス。上手にディスプレイして、理想のアトリエにぐっと近づけましょう。
ガラス瓶を使った収納
中身が見える、サイズが豊富、置くだけで絵になる…など、ガラス瓶にはメリットがたくさん。お手頃な100円ショップなどで同じデザインのものをいくつか使って統一感を出してもいいですし、ジャムの空き瓶やキャニスターなどをミックスして個性を出すのもいいですね。
スタッキングケースを使った収納
ボタンよりもさらに細かいスパンコールやビーズなどは、タワー型のスタッキングケースに入れるとちょうどよいサイズ感で収められます。
プラスチック製という点で見栄えが気になるところですが、中に色とりどりの小物を入れると見違えるほど変化します。棚の高さに合わせて積み重ねるケースの数を調整できるところも優れた点でしょう。
引き出しに仕舞うならパレット型のケース
パレット型のケースは、奥行きを上手に活用できるアイテムです。浅めの引き出しなどに小物を仕舞いたい場合は、仕切りのある薄いケースを活用してみてはいかがでしょう。よく使うものは手前に、そうではないものは引き出しの奥へと整理すると、取り出しにくい引き出しの奥のスペースも無駄なく使うことができます。
パンチングボードを使った収納
パンチングボードを使えば、手作り感溢れるオリジナルの収納を作ることができます。
パンチングボードの長所は、自分好みにアレンジができ、後でレイアウトを変えられる柔軟さ。専用のピンやフックなどのパーツを取り付けて引っ掛ける場所を設ければ、見せながら収納することができます。
手芸店では穴の空いた袋や台紙をフックにかけて陳列している小物が多いので、その包装を活用して並べることも可能です。
伸縮棒とボックスを使った収納
ボックスを縦に置いてその中に伸縮棒を取り付けると、リボンなどを収納するラック早変わり。転がりやすいリボンを固定したまま、使う分だけ伸ばしてカットすることができます。上手にグラデーションに並べるとさらに魅力的なものになるでしょう。リボン、レース、コードなどをたくさん使う方はこういったラックを検討してみてはいかがでしょう。
まとめ
コンパクトでも趣味に没頭できる場所が家にあると、ますますマイホームが愛おしくなりますね。ネットで紹介されている実例や、人気の手芸店のディスプレイなども非常に参考になります。そういったものをヒントに構想するところから始めてみてはいかがでしょうか。
実際に裁縫スペース作りに着手する際は、一気に作り上げようとはせず、少しずつゆっくりと築いていく心持ちで進めてみてください。
自分の好みと向きあって、使い勝手や自宅のインテリアとの調和を確認しながら、熟考を重ねて完成したものこそ、より納得のいく裁縫スペースとなるはずです。そしてその過程も、存分に楽しんでください。
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