長期休暇に入ったタイミングで、お子さんと自転車に乗る練習を始めたご家庭も多いのではないでしょうか。
補助なしで乗れるようになったら親子でサイクリングを……と次のステップに進みたいところですが、公道での自転車の乗り方や交通ルールは教えていますか?
自転車ライフを安全かつ楽しくするためには、交通ルールをしっかり理解しておく必要があります。交通ルールをしっかり身につける大切さ、危険な事例、子どもと公道を走るにあたって気をつけておきたいポイントをお伝えします。
【参考】自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~│警視庁Webサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html
公道を走る前に。自転車にまつわる「交通ルールの基本」を覚えよう
「自転車に乗れるようになった」というと、大概の方は補助輪や大人の補助がなくなったという認識なのではないでしょうか。確かに喜ばしいことですが、もっと大切なことは安全に乗れるかどうかです。
ふだん何気なく乗っている自転車ですが、公道を走るうえでは軽車両に分類され、車やバイクと同じ扱いとなります。したがって歩行者と同じ感覚でいることは、とても危険なこと。自転車にも道路交通法に制定されたルールがあり、それらを守らないといけません。
自転車は車道が原則、歩道は小学生まで
道路交通法上、自転車は車両という扱い、したがって原則、車道の左寄りを走ることになっています。最近は自転車専用レーンも増えて、だいぶ走りやすくなってきましたよね。
車道の左側を走るということは、自転車走行中に交差点を右折する場合は2段階右折をする必要があります。
つまり進行方向左側を直進して交差点を渡りきり、次に本来曲がりたい方向に直進で進むのが正解ということ。2回目に横断する際は信号に気をつけましょう。
また覚えておきたいのが、13歳未満の子どもと高齢者、道路状況が悪い場合は歩道での自転車の走行が認められている点。
自転車専用レーンをふさぐような駐停車車両がある場合や、道幅が狭い道路・交通量の多い道路を背丈の低い子どもが車道を通行するのは、とても危険です。そのため例外として、13歳未満の子どもと高齢者は歩道での自転車の走行が認められているというわけです。
歩道は歩行者優先
歩道は読んで字のごとく、あくまで歩行者のための道。やむを得ず歩道を自転車で走行する場合は、歩行者優先で走行しましょう。
前を歩く人とペースが合わずまっすぐ走るのが難しい場合は、自転車を降りて押して歩くのもひとつの手。無理な追い越しや歩行者の進行方向を邪魔するのはもってのほかですよ。
自転車で歩道を走るときは車道寄りを徐行
自転車で歩道を走るときは、車道寄りを徐行、つまりいつでも止まれるスピードで走るのが基本です。
これは道路交通法が歩行者の安全を最優先にしているから。
車道からなるべく歩行者を遠ざけるため、車両扱いである自転車が車両側を走ることになります。「歩く人は右、車は左」という認識が根強くありますが、「歩道では自転車は車道側」と覚えておきましょう。
安全ルールを守る
安全に走るためには、道路標識や禁忌事項が定められた交通安全ルールを守ることは必須です。
たとえば、歩行者信号。
青は「進め」ではなく「進むことができる」。赤は「止まれ」ではなく「道路を横断してはならない」。
では青の点滅は?……正解は「道路の横断を始めてはならず、また道路を横断している人は、速やかにその横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならない」です。ご存知でしたか?
ですので、歩行者用信号が点滅している時は停止。まだ青と思って無理やり渡ってはいけません。
そのほかにも、自転車の並列運転をしない、一時停止は白線で止まるといった、基本的な自転車の乗り方のルールを守りましょう。
自転車に乗るときはヘルメットを着用
自転車走行時の子どものヘルメット着用は努力義務。つまり法的強制力はありませんが、装着するよう努めなければならないこととして定められています。
警視庁のデータによると、自転車事故による死者の56%が頭部を損傷しており、ヘルメットを着用していないと死亡率が約3倍になるとも。頭部を守るヘルメットの重要性がよく分かりますね。
最近ではツバのついたタイプや帽子型など、おしゃれなヘルメットの種類も増えてきました。
以前に比べれば普及が進んでいますが、まだまだ着用せずに走る子どもを見かけます。事故はいつ身に降りかかるかわかりません。備えあれば患いなし。ぜひお気に入りのヘルメットを用意しましょう。
道路交通法の改正(令和5年4月1日施行)により自転車走行時のヘルメット着用は、子どもだけでなくすべての年齢で努力義務となりました。
知らずに交通ルール違反になってない!?実は罰則のある自転車のこんな乗り方
「自転車だから大したことない」「みんなやっているから」……そんな軽い気持ちで自転車の交通ルール違反をしていませんか?子どもがその様子を真似してしまってはいけませんよね。
道路交通法には車と同様に、自転車を運転する人に向けた法律と、それらの違反に対する罰則も制定されています。
運転免許証をもっている人はもちろん、そうでない人も処罰の対象となります。また違反した状態で交通事故を起こしたり遭ったりした場合、過失割合が変わることもありますよ。
信号無視:3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
車や人の往来がないから……と、信号無視をしていませんか?
自転車が道路を通行する際、信号機等に従わなければいけません。
特に横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用信号機に従わなければいけません。
違反した場合は、3カ月間以下の懲役又は5万円以下の罰金等が科されます。
並列走行:2万円以下の罰金又は科料
おしゃべりしながら並んで自転車で移動。前方不注意になったり、広がって走行してしまったりと、周囲の迷惑や危ない運転になっていませんか?
自転車は道路標識等によって認められている場合を除き、他の自転車と並進してはいけません。また認められている場合でも、普通自転車が三台以上並進することはできません。
違反した場合は、2万円以下の罰金又は科料(軽微な犯罪に科する財産刑)が科されます。
イヤホン等を装着した自転車の運転:多くの地域で禁止。5万円以下の罰金も
軽快な音楽に合わせてペダルを漕ぐ疾走感は心地よさそうですよね。
ですが、イヤホンやヘッドフォンを装着した自転車走行はマナー違反として認識している方も多いのではないでしょうか。
実は、道路交通法の中ではイヤホンやヘッドホンを装着しての自転車走行に明確な規定はありません。しかし、イヤホン装着によってサイレンや踏切の警報音が聴こえなくなり、安全な運転に支障をきたすおそれがあることから、自治体が定める道路交通規則の条例によって、罰則を伴って禁止している場合が多々あります。
たとえば東京都の場合、東京都道路交通規則第8条により、違反者は5万円以下の罰金が。大阪府の場合は、大阪府道路交通規則第13条により、5万円以下の罰金が定められています。
片耳、両耳問わず処罰の対象になり得るため、公道を走行中はイヤホンやヘッドホンを外しておきましょう。
子どもと自転車で走るときに、大人が気をつけたいポイント
交通ルール以外で、特に自転車に乗り始めの子どもに気をつけておきたいポイントがあります。
「車両(自転車)に乗っている」という意識を養うためにも、乗り始めの楽しいうちに、家庭でできる自転車の安全な乗り方のトレーニングを行いましょう。
走るときは後ろから声かけする
交差点に差し掛かったら減速することをマスターできたら、子どもを先に行かせて、背後から注意を促すようにしましょう。大人2人の場合は前後でサンドイッチにするとベスト。
危ない走り方を注意するのも大事ですが、一時停止で止まれたり、交差点で左右の確認ができたりしたら、しっかり褒めてあげることも忘れずに!
「危ない」と思う場所では自転車から降りて押す
不安定な走行は、自損事故だけでなく歩行者との接触事故になりかねません。混雑する場所や上り坂など、危ないと感じる場所では降りて押す癖をつけるようにしましょう。
つい面倒がって乗ったままにしがちですが、横断歩道や歩道橋など、自転車から降りて押して進むシチュエーションが実は多くあります。普段から降りることに慣れていれば、歩行者として安全に進む臨機応変な対応もしやすくなりますよ。
ライトの装着は必須
子ども用の自転車にはフロントライトが標準装備されていないものが多々あります。
しかし自転車用のライトは、ブレーキ(制御装置)・反射器材とともに装着が法律で必須とされているもの。機能面でも暗い路面を見やすくするためだけでなく、対向車や人に存在を知らせる役割もあるので必ず装着を。
装着角度はやや斜め下向きに。水平以上に向けると対向車からは眩しく、危険なことがあります。
また安いものだと光度が弱く機能しないため、カンデラ(光度)にして400cd以上のものがオススメ。「まだ明るいから大丈夫」と思わず、早期点灯も心がけてくださいね。
定期的に点検する
安全に走るためには整備も重要です。
月に1回、自転車専門店で定期メンテナンスを行うのがベスト。最低限でもご家庭で前後のブレーキの効き、タイヤの空気の入り具合を確認しましょう。
毎日乗っているとタイヤの空気の減りやサドルの高さなどに気付かないもの。最適な空気圧のタイヤやポジションが整ったサドルは、ペダルの漕ぎが軽くなり、膝や身体への負担も減りますよ。
公道で実地訓練的に自転車を走行しながら交通ルールを身につけることもできますが、やはり車の往来が心配。
そんなときには、交通公園で安全かつ楽しく学んでみるのはいかがでしょう?自転車に乗って主体的に交通ルールを体感学習できるので、自転車の練習がよりスムーズかつ実践的に知ることができます。
まとめ
大人にとっては日常的な自転車の生活も、子どもにとっては日常の中にある冒険のひとつ。楽しい毎日の冒険のためにも、大人が率先して交通ルールを守ってカッコイイ模範となれたら素敵ですよね。
事故やトラブルの回避のためにも、正しい知識で子供の安全をサポートしてあげましょう。
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