身近な税金「住民税」!計算方法を知って理解を深めよう!

皆様は、ご自身が支払っている住民税の額をご存知でしょうか?会社員であれば、毎月の給料から所得税や住民税、社会保険料などが控除(天引き)され、残りが手取りとして給与口座に振り込まれることが多いと思います。どうしても給料は手取り金額に注目しがちですが、せっかく頑張って働いたお給料から税金等が差し引かれているのに、何が、どのような根拠で控除されているのか知らないのは悔しいですよね。毎月の給料から控除される様々な項目の中で、今回は住民税について解説したいと思います。
※平成29年の税制を基にした記事です。

1.住民税とはどのような税金?

住民税を徴収する目的は、教育、福祉、ゴミ処理、防災、市民文化・スポーツ振興などの「行政サービス」を行うための資金確保です。日本の税金のうち地方税に該当し、都道府県民税と市区町村民税を合わせて住民税と言います。
住民税は、地方自治体が納税額を決定して納税者が納税する賦課課税方式となっています。原則として、その年の1月1日現在で居住している(住民票の所在地)地域に納めることになっており、1月2日以降に他の市町村に転居した場合でも転居先の市町村から課税されることはありません。

2.住民税の計算方法は?

住民税は、前年の所得に応じて計算される「所得割」と、定められた額で一律に課税される「均等割」があり、その2つを合算した額になります。会社員の場合は、その合計額を12ヶ月で割ったものが、毎月の給料から天引きされることになるのです。
この章では、計算方法を詳しく解説いたします。また、理解しやすいように、私の住んでいる岡山県岡山市を例に、具体的なシミュレーションもしてみます。
所得税の計算方法と類似している点も多いのですが、住民税の計算方法であることを念頭において確認ください。

※岡山市のHPを参考にしながら進めています。

“シミュレーションの前提条件”

  • 居住場所・・・岡山県岡山市
  • 家族構成・・・夫婦 + 子供2人
  • 前年収入・・・500万円(給与収入)
  • 配偶者 ・・・無職(控除対象配偶者)
  • 子供  ・・・16歳(一般扶養)、13歳(年少扶養)
  • 控除項目・・・社会保険料50万円、一般生命保険料(旧保険)5万円

2-1.年収(給与収入)を調べましょう

年収を確認する方法ですが、まずは毎年5月から6月あたりにお勤め先から受け取る「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」(以下、決定通知書)を準備しましょう。よく耳にする「年収(収入)」ですが、「年収」とはその1年間においてお勤め先から支給される給与の総支給額を指します。決定通知書の①番「給与収入」がそれにあたります。

“シミュレーション”

決定通知書から確認・・・年収(給与収入) 500万円

2-2.給与所得額を調べましょう

次に、給与所得額を理解しましょう。決定通知書の②番が「給与所得」の額となります。会社員などの給与所得者には「給与所得控除」が適用されます。
ここが解りにくい点なのですが、給与所得控除というのは「勤務にかかる経費」とう意義があります。事業所得者(自営業者)と給与所得者を比較した場合、事業所得者は収入から備品代や仕入れの費用、打合せの飲食代など、営業に掛かった経費を差し引いた金額に課税されるのですが、給与所得者はスーツの購入費や業務に必要な参考書など会社から支給されない経費があります。給与所得者の経費を事業所得者と同じように考えると、税務署が給与所得者の経費を個々に調べる必要が出てきますが、どこまでを経費として認めるかを決めるのは困難です。そのため、給与所得者の経費を一律に決めて、予め給与収入(年収)から引いてしまおう、というのが給与所得控除です。

この章で求める「給与所得額」とは、年収(給与収入)から給与所得控除額を引いたものとなります。給与所得控除額の計算方法もあるのですが、年収から「給与所得額」が一目で分かる表がありますので、国税庁のホームページをご参照ください。

平成28年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表

“シミュレーション”

表から確認・・・年収(給与収入) 500万円の場合、給与所得額は346万円

2-3.所得控除額を計算する

課税標準額(課税される金額)を求めるうえで、扶養家族がいる場合や社会保険料、生命保険等の支払がある場合は、「給与所得」から控除することができます。控除できる項目はたくさんありますので確認が必要です。

■雑損控除
当年中に災害や盗難などで資産に損害を受けた場合、所得から控除することができます。

①(損害価格 - 保険補填金) - (所得金額 × 1/10)

②個人支出 - 5万円

控除額 = または②の金額の多い方

 

■医療費控除
当年中に高額の医療費を支払った場合、一定額を所得から控除することができます。

(医療費控除対象となる医療費) ー (保険金等の補填金) ー (所得金額×0.05または10万円のいすれか低い額)

※限度額200万円

 

■社会保険料控除
健康保険料・厚生年金保険・雇用保険料など、給料から差し引かれている社会保険料は全額控除されます。

全額控除

 

■小規模企業共済等掛金控除
規定された共済契約・個人型年金・心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に全額が控除されます。お勤め先で確定拠出年金制度を導入している場合、DC掛金などが該当します。

全額控除

 

■生命保険料控除
生命保険・個人年金保険・介護保険などの保険料を支払った場合に一定額を所得から控除することができます。保険には旧保険と新保険で分類されていますが、最高限度が7万円となっています。

【旧保険】平成23年12月31日以前に契約を締結したもの
〔一般の生命保険料の合計額(a)を下の①~③に当てはめて計算した金額(最高35,000円)〕 + 〔個人年金保険料の合計額(b)を下の①~③に当てはめて計算した金額(最高35,000円)〕

①15,000円までの場合・・・・・・・・・(a)または(b)
②15,000円超40,000円までの場合・・・〔(a)または(b)〕× 1/2 + 7,500円
③40,000円を超える場合・・・・・・・・〔(a)または(b)〕× 1/4 + 17,500円

【新保険】平成24年1月1日以降に契約を締結したもの
〔一般の生命保険料の合計額(a)を下の①~③に当てはめて計算した金額(最高28,000円)〕+ 〔個人年金保険料の合計額(b)を下の①~③に当てはめて計算した金額(最高28,000円)〕+ 〔介護医療保険料の合計額(b)を下の①~③に当てはめて計算した金額(最高28,000円)〕

①12,000円までの場合・・・・・・・・・(a)または(b)
②12,000円超32,000円までの場合・・・〔(a)または(b)〕× 1/2 + 6,000円
③32,000円を超える場合・・・・・・・・〔(a)または(b)〕× 1/4 + 14,000円

 

■障害者控除
本人、控除対象配偶者、扶養親族のうち障害者がいる場合、障害者1人につき26万円を所得から控除することができます。

額控除 = 26万円 ※特別障害者は30万円、同居の特別障害者は53万円

 

■寡婦控除
夫と死別(生死不明も含む)または離婚し、再婚していない人(寡婦という)で、扶養親族や生計を一にする総所得金額等の合計金額が38万円以下の子がある場合、もしくは夫と死別(生死不明も含む)し、再婚していない人で合計所得金額が500万円以下の人は、26万円を所得から控除することができます。

額控除 = 26万円 ※合計所得金額が500万円以下で、かつ扶養親族である子を有する人は30万円

 

■寡夫控除
妻と死別(生死不明も含む)または離婚し、再婚していない人(寡夫という)で、生計を一にする総所得金額等の合計額が38万円以下の子があり、かつ合計所得金額が500万円以下の場合は、26万円を所得から控除することができます。

額控除 = 26万円

 

■勤労学生控除
扶養家族のうち、所得金額65万円以下の勤労学生がいる場合、26万円を所得から控除することができます。

額控除 = 26万円

 

■配偶者控除
配偶者の所得が38万円以下の場合、33万円を所得から控除することができます。また、70歳以上の配偶者だった場合は、38万円を控除することができます。

額控除 = 33万円

 

■配偶者特別控除
配偶者の所得が38万円を越える場合、所得金額に応じた額を所得から控除することができます。

額控除 = 収入に応じて決定

 

■扶養控除
16歳以上の扶養親族のうち、所得金額38万円以下の場合、種類に応じて一定額を所得から控除することができます。

・一般の控除対象扶養親族(16歳~19歳および23歳~69歳)・・・控除額 33万円

・特定扶養親族(19歳~22歳)・・・・・・・・・・・・・・・・・控除額 45万円

・老人扶養親族(70歳以上)・・・・・・・・・・・・・・・・・・控除額 38万円(同居の場合は45万円)

 

■基礎控除
すべての納税者に対して、一律33万円を所得から控除することができます。

控除額 = 33万円

 

“シミュレーション”

  • 社会保険料控除・・・50万円
  • 生命保険料控除・・・旧保険のため、5万円 × 1/4 + 17,500円 = 3万円
  • 配偶者控除   ・・・33万円
  • 一般の扶養控除・・・33万円(16歳子供分) ※13歳の子供は年少扶養のため控除なし
  • 基礎控除   ・・・33万円

合計所得控除額 = 50万円 + 3万円 + 33万円 + 33万円 + 33万円 = 152万円

2-4.課税標準額を計算する

課税標準額というのは、住民税を計算する上で大基になる金額です。2-2で確認した給与所得から2-3の所得控除額を差し引きしたものが課税標準額となります。同じような言葉が並ぶため混乱しがちですが、課税標準額に税率を乗じた金額が住民税の所得割額になります。

“シミュレーション”

課税標準額 = 346万円(所得金額) - 152万円(所得控除額) = 194万円(課税標準額)

2-5.調整控除額を計算する

所得税と住民税の計算方法は類似している点があり、所得控除の項目も同じです。人的控除額に該当する配偶者控除、扶養控除、基礎控除については、所得税の方が控除できる金額が多くなっています。その差による影響をなくす目的で調整控除が適応されます。
具体的な例をご紹介します。

控除項目 所得税 住民税 差額
配偶者控除 38万円 33万円 5万円
一般扶養控除 38万円 33万円 5万円
基礎控除 38万円 33万円 5万円

調整控除は、2-4で求めた課税標準額が200万円以下か、200万円を超えるかで計算方法が異なります。

■課税標準額が200万円以下の場合
①所得税との人的控除額の差額合計 ※配偶者控除と基礎控除が該当する場合は10万円
②課税される金額
調整控除額 = ①と②のいずれか小さい方 × 5%(都道府県民税2%、市区町村民税3%)

■課税標準額が200万円を超える場合
①所得税との人的控除額の差額合計 ※配偶者控除と基礎控除が該当する場合は10万円
②課税される金額 - 200万円
調整控除額 = (① - ②) × 5%(都道府県民税2%、市区町村民税3%)
※2,500円未満になる場合は2,500円

“シミュレーション”

・人的控除差の合計額 = 5万円(配偶者控除) + 5万円(一般扶養控除) + 5万円(基礎控除) = 15万円

・課税標準額(194万円)は200万円以下であり、かつ、課税標準額>人的控除差の合計額(15万円)であるため、

調整控除額(県民税) = 15万円(人的控除差の合計額) × 2% = 3,000円

調整控除額(市民税) = 15万円(人的控除差の合計額) × 3% = 4,500円

2-6.住民税額を計算する

住民税の税率は10%が標準税率となっており、内訳は市区町村民税が6%、都道府県民税が4%となっています。それぞれの税額は、2-4で計算した課税標準額に税率を乗じた金額となります。この税額が「所得割」額となります。これに「均等割」額を足して、調整控除額を引いた額が年間の住民税額となります。

①「所得割」
都道府県民税(4%) = 課税標準額 × 4% - 調整控除額
市区町村民税(6%) = 課税標準額 × 6% - 調整控除額

②「均等割」
都道府県民税 = 標準税額 1,500円
市区町村民税 = 標準税額 3,500円

※臨時特例法対象期間の2014年から2023年までは上記の標準税額となります。
※お住まいの地域によって、標準税額が異なる場合があります。

③年間の住民税額 = ①所得割 + ②均等割

④毎月の住民税額 = ③年間の住民税額 ÷ 12ヶ月 ※端数が出る場合は6月分の住民税に加算

“シミュレーション” ※岡山県岡山市の場合

①「所得割」
岡山県民税(4%) = 194万円(課税標準額) × 4% - 3,000円(調整控除額) = 74,600円
岡山市民税(6%) = 194万円(課税標準額) × 6% - 4,500円(調整控除額) = 111,900円

「所得割」合計額 = 74,600円(県民税) + 111,900円(市民税) = 186,500円

②「均等割」
岡山県民税 = 標準税額 2,000円
岡山市民税 = 標準税額 3,500円

「均等割」合計額 = 2,000円(県民税) + 3,500円(市民税) = 5,500円

③年間の住民税額 = 186,500円(①所得割) + 5,500円(②均等割) = 192,000円

④毎月の住民税額 = 192,000円(③年間の住民税額) ÷ 12ヶ月 = 16,000円(毎月の住民税額)

3.住民税は地域によって金額が違うって本当?

「私の住んでいる街は住民税が高い!」といった話を聞いたことがあると思いますが、地域によって住民税額が違うのは事実です。前項で説明した「所得割」に関しては税率、「均等割」に関しては税額が違う場合があるのです。
「所得割」の標準税率は、都道府県民税が4%、市区町村民税が6%なのですが、地域による違いだと、神奈川県の都道府県民税は4.025%、愛知県名古屋市の市区町村民税は5.7%というような違いがあります。
「均等割」の標準税額は、都道府県民税が1,500円、市区町村民税が3,500円なのですが、地域によって都道府県民税が1,500円~2,700円(宮城県)、市区町村民税が3,300円(名古屋市)~4,400円(横浜市)というように違っているのです。
ちなみに私の住む岡山県岡山市は、「所得割」はそのままの税率、県民税2,000円(おかやま森づくり県民税+500円)、市民税が3,500円(標準税額)となっており、県民税だけが標準税額より500円高くなっております。詳しくは、お住まいの市区町村のホームページをご確認ください。

4.住民税の節税に使える!「ふるさと納税」とは?

住民税は自動的に引かれる税金とお考えかもしれませんが、2-3で解説している所得控除を増やすのも方法のひとつです。また、住民税の節税でよく利用されているのが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付ができる制度なのですが、収入などで決まる限度内なら寄附額から原則2,000円を引いた額が当年の所得税から還付、翌年6月以降の住民税から控除されるうえ、自治体から寄付のお礼の品がもらえるというお得な制度なのです。自分の生まれ故郷に関係なく、好きな自治体に寄附することができるため、お礼の品から寄附したい自治体を選ぶのもふるさと納税の楽しみです。

4-1.ふるさと納税をし、住民税が控除されるしくみ

ふるさと納税を利用して住民税を節税する場合、ふるさと納税をした翌年の住民税が納税額によって軽減されることになります。ふるさと納税をした場合、納税先の地方自治体から「受領書(寄附金受領証明書)」が送付され、その受領書とともに翌年2月頃に確定申告をしなければなりませんでした。
しかし、平成27年4月1日以後に行われるふるさと納税については「ふるさと納税ワンストップ特例制度」がはじまり、確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り、ふるさと納税を行った各自治体に申請することで確定申告が不要になりました。この制度が開始したことによって、ふるさと納税がより身近で人気となったのです。

住民税のうち軽減されるのは「所得割」額です。寄附金の限度額から2,000円を引いた額を、2章で解説した「所得割」額から差し引きすることができるため、毎月の住民税額が減ることになるのです。もちろん、前年中に寄附金の支払をしているので、2,000円を除けば負担しなければならない住民税額は変わりません。つまり、“住民税の前払い”といったイメージでしょうか。ふるさと納税は、住民税の前払いをすることによって、自治体からお肉やお米、カニといったお礼の品がもらえるということです。
また、ふるさと納税を取り扱っているインターネットサイトでは、寄附金のクレジット決済が可能となっているためカードのポイントを貯めることも可能です。ポイント還元率1%のクレジットカードであれば、10万円の寄附金で1,000円分のポイントが貯まることになり節税に繋がります。

4-2.寄附金の上限額を把握しよう

ふるさと納税をする上で、確認する必要があるのが寄附金の限度額です。あくまで、ふるさと納税をしてみようと考えている年の1月1日から12月31日までの年収(給与収入)から寄附金の限度額を割り出す必要があります。しかし、年末まで正確な年収を把握するのは困難だと思います。その場合は、前年度の年収を参考にするのが良いと思います。

■目安の表

課税標準額 所得税率 上限額の計算式(課税総所得金額に応じた計算式です)
195万円以下 5% 寄附金の目安金額=所得割額×23.558%+2,000円
195万円超330万円以下 10% 寄附金の目安金額=所得割額×25.065%+2,000円
330 万円超695 万円以下 20% 寄附金の目安金額=所得割額×28.743%+2,000円
695 万円超900 万円以下 23% 寄附金の目安金額=所得割額×30.067%+2,000円
1,800 万円超4,000 万円以下 33% 寄附金の目安金額=所得割額×35.519%+2,000円
1,800 万円超4,000 万円以下 40% 寄附金の目安金額=所得割額×40.683%+2,000円
4,000 万円超 45% 寄附金の目安金額=所得割額×45.397%+2,000円

これまでのシミュレーションにて解説してきたケースだと上限がいくらになるか計算してみます。

“シミュレーション”

2-4より、課税標準額は194万円なので「195万円以下」となります。

2-6より、所得割額は186,500円となりますので、下記の計算式に当てはめます。

寄附金の目安金額 = 186,500円(所得割額) × 23.558% + 2,000円 = 約45,935円

よって、このケースでは約45,935円までの寄附なら自己負担2,000円で済みます

まとめ

今回は、住民税の計算方法について解説しました。地域によって税額が違う場合が多いため、お住まいの市区町村に確認する必要がありますが、まずはお手元に届く「決定通知書」をよく確認してみましょう。裏面には、計算の根拠も記載されていますので、参考になると思います。また、節税をするには、住宅ローン控除を利用するのも一つの方法です。住宅ローンの開始から10年間は、住民税の一部が控除される場合があります。税金の仕組みを理解し、賢く納税していきましょう。

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