物件探し、インテリア、住宅ローン選び、住宅ローンの返済計画……住宅購入では、考えることがたくさんあります。生命保険の見直しも、住宅購入時に考えたいことの一つです。
連載第2回となる今回は、住宅購入時の生命保険見直しの具体的なプランと、世帯人数に合わせた見直しのポイントをご紹介します。
前回の記事はこちら「住宅ローンを組むなら生命保険を見直して支払いをラクに!」
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保険見直しの3ステップ。気をつけたいポイントをご紹介
住宅を購入した方が賃貸住まいの方と大きく変わるのは、生命保険で準備する死亡保障額です。
住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(以下、団信)に加入するため、保障が重複する部分を見直せば生命保険の節約ができます。生命保険の見直しは、以下の3つの手順で行いましょう。
- 必要保障額を計算(残された家族に必要なお金)
- 公的保障の計算
- 生命保険で準備する保障額を計算([1]-[2])
[1]必要保障額を計算
必要保障額は、残された家族の生活費、教育費、葬式代、住宅ローン以外の負債の合計額です。
独身の場合は、お葬式代300万円程度の保障で考えれば良いでしょう。家族がいる場合は「現在の生活費×0.7」が残された家族の生活費の目安と考え、必要な年数分を掛けて計算します。
住宅購入後は、団信によって住宅ローン分が支出から減ります。
そのため計算式は{(現在の生活費×0.7)-毎月の住宅ローンの返済額}×必要年数です。
教育費については大きな金額となるので詳しく解説します。
文部科学省が調査した「平成28年度子供の学習費調査」によると、幼稚園(3歳)から高校までの学習費総額はすべて公立で約540万円、すべて私立で約1,770万円となっています。これに加え、大学まで進学するとなると国立でも、入学費と4年間の授業料ですくなくとも250万円程度は必要です(出典:文部科学省「公立大学基礎データ」)。
実家を離れて下宿する場合は、仕送りの費用も毎月かかります。仮に毎月5万円の仕送りを4年間続けるとそれだけでも240万円です。これらをあわせると少なくとも、子供1人当たり1,000万円以上は必要になることがわかるのではないでしょうか。
22歳までが教育期間と考え、必要な教育費を1,000万円とすれば(小学校から大学まで全て公立の場合)、1年間に必要な教育費は1,000万円÷22年=約45万円となります。
そのため必要保障額を考えるときは「(22歳-現在の子どもの年齢)×45万円=最低限必要な教育費」、として計算に含めましょう。
[2]公的保障の計算
死亡のリスクに対しては「遺族年金」があります。遺族年金の金額は、加入している保険によって異なります。
国民年金に加入されている人は年間78万100円(遺族基礎年金)に、子どもがいる場合は、2人目までは1人当たり22万4,500円、3人目以降は7万4,800円が年間に加算されます。
(出典:日本年金機構「遺族基礎年金」※2019年4月時点の情報です)
厚生年金に加入されている人は、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が支給されます。
遺族基礎年金は、子どもがいないと支給されません。しかし遺族厚生年金の受給対象者は妻、子、孫、父母、祖父母、55歳以上の夫と広範囲になり、金額は被保険者の収入や加入期間によって異なります。
遺族厚生年金(年間)は、(月収×0.005481×加入月数)×4分の3で概算を算出可能です(加入月数が300ヵ月未満のときは、300ヵ月で計算)。
(出典:日本年金機構「遺族厚生年金」※2019年4月時点の情報です)
[3]生命保険で準備する死亡保障額を計算
最後に保険で加入する死亡保障額を計算しましょう。「必要保障額-公的保障の額」で求めることができます。
将来の収支を計算して保障額を算出することが、保険見直しのポイントです。
保険見直しシミュレーション
この章では、具体的な例で生命保険の見直しをシミュレーションしていきます。
<基本条件>
- 住宅ローン3,000万円(返済期間35年、借入金利1.5%)
- 年収500万円(手取り年収400万円)
- 住宅購入後の生活費は、毎月30万円(うち住宅ローンの支払いは、毎月9万1,000円)
<万が一の際の社会保障>
- 遺族年金の受取見込みは、年間150万円(遺族基礎年金100万円、遺族厚生年金50万円)
この条件を基に、生命保険の見直しを考えていきます。
3人家族の場合の見直し例
<家族状況など>
- 夫(35)、妻(35)、子ども(3)
- 夫は会社員、妻は専業主婦
- ローン契約は夫のみ
[1]必要保障額は、4,725万円
現在の生活費は毎月30万円なので、(30万円×0.7)-9万1,000円=11万9,000円が、毎月必要になる生活費です。
妻がパートなど仕事をしない場合は、妻が60歳になるまでの25年間分の生活費が必要となるので、11万9,000円×12ヵ月×25年=3,570万円が生活費分の必要保障額となります。これに、お葬式費用300万円、子どもの教育費分(22歳-3歳)×45万円=855万円を足すと、3,570万円+300万円+855万円=4,725万円です。
[2]公的保障(遺族年金)は、2,750万円
遺族基礎年金は、子どもが18歳になると支給されなくなりますので、150万円×(18歳-3歳)+50万円(遺族厚生年金のみ)×10年(子どもが18歳になってから妻が60歳になるまでの期間)=2,750万円が年金収入となります。
[3]保険で準備する保障額は、4,725万円-2,750万円=1,975万円
子どもが1人増えると、遺族基礎年金が360万円(20万円×18年)増えますが、教育費も1人当たり1,000万円程度増えます。そのため差額の640万円程度分の保障を追加検討する必要があります。
賃貸の場合は、ここに家賃の費用が加算されます。毎月の家賃が住宅ローンの支払いと同様の9万1,000円だった場合は、2,730万円(9万1,000円×12ヶ月×25年)が必要保障額にプラスされるので、合計で7,455万円が賃貸住まいの必要保障額となります。
よって、保険で準備する保障額は、7,455万円-2,750万円=4,705万円となります。
約2,000万円分の保障を収入保障保険で賄う場合、目安の保険料は毎月2,000~3,000円程度です(加入年齢などの条件にもよる)。25年間の保険料総額は60万~90万円程度となります。
一方賃貸の場合は約2.4倍の保障が必要となりますので、その分、保険料もほぼ同倍上がってしまいます。25年間の保険料総額は150万円~210万円(毎月の保険料は5,000円~7,000円)と、持ち家と比較すると保険料支払いの差は100万円程度と考えられます。
2人世帯の住宅ローン契約時の保険見直しポイント
子どもがいない2人世帯の場合、遺族年金が遺族厚生年金のみとなり、年間50万円程度と少なくなります。妻が受け取る60歳までの遺族年金の総額は、50万円×25年=1,250万円となるので、3人世帯と比べると1,500万円ほど受け取る年金が少なくなります。
ただし妻が就労できる可能性は高く、不動産を売却して現金化することも可能です。そのためお葬式費用300万円+1年分の生活費万円({(30万円×0.7)-9万1000円}×12ヵ月=約150万円)=450万円程度の保障があれば良いでしょう。今後、子どもが増えれば保障の追加を検討する必要があります。
1人世帯の住宅ローン契約時の保険見直しポイント
死亡保障より、病気やけがで働けなくなったときの保障を考えましょう。
団信には借入金利に上乗せで、がんや三大疾病時などでも条件に該当すると住宅ローン残高が0円になるオプションもあります。上記の条件だと0.3%上乗せすると、上記の例では金利が1.5%+0.3%で1.8%になり毎月の返済が5,000円程度アップします。保険会社の医療保険と比較して、保険料が安いほうで加入しましょう。
1人世帯の場合は、「死亡のリスク」より「生きるリスク」に備えることが大切です。万が一の時には、家の片付けや不動産売却等の手続きの費用として、500万円程度の死亡保障があれば良いでしょう。保険に加入しなくても、預貯金で保障分を準備することもできますよ。
住宅購入時には、諸費用や頭金の支払いで貯金が減り、住宅ローンや固定資産税の支払いで毎月の支出が増えてしまうこともあります。最適な保険プランに見直しをして、家や好きなことのためにお金を使っていきたいですね。
まとめ
各世帯の見直し例の結果をまとめると、このようになります。
※あくまで目安の金額です。実際の保障額は専門家に相談して算出してもらいましょう。
3人世帯 | 2人世帯※1 | 1人世帯※2 | 賃貸の場合※3 | |
---|---|---|---|---|
必要保障額 | 4,725万円 | 3,870万円 | 500万円程度 | 7,455万円 |
公的保障 | 2,750万円 | 1,250万円 | 0円※4 | 2,750万円 |
保険で準備する保障額(必要保障額-公的保障) | 1,975万円 | 450万円程度 | 500万円程度 | 4,705万円 |
※1 夫死亡時は妻が就労できる可能性が高いため、葬式代や当面の生活費のみ保険で準備する想定。
※2 死亡保障より、医療保障を重視しましょう。
※3 3人世帯を想定。
※4 条件を満たせば、生計を一にしていた父母、祖父母に遺族年金が支給される。
見直し時の年齢や家族構成、加入している年金制度によって注意すべき点が違うため、保険で準備したい保障額は変わってきます。また、必要な保障の内容も違うため、生命保険の見直し時には、生命保険会社に相談したり保険の無料相談を利用したりして、プロの手を借りることをおすすめします。
次回は、生命保険を見直すタイミングで合わせて考えたい人生設計の見直し方について解説します。
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