「自分の家のにおいは、自分ではなかなか気づきにくい」といわれます。例えば、帰宅時にドアを開けた瞬間のもわっとした空気や、来客のふとした反応に不安を感じたことがある人も多いでしょう。特にマンションは一戸建てと比べると気密性が高く、においがこもりやすい傾向にあります。
この記事では、マンション特有のにおいの原因をはじめ、場所別の具体的な対策、さらには効果的な消臭アイテムの選び方まで紹介します。手軽に実践できる対策方法をぜひ取り入れてみてください。
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マンションのにおいがこもりやすい理由
コンクリート壁やサッシの性能向上により、マンションは一戸建てと比べて気密性が高い構造です。外気の侵入を防ぐ一方で、室内の空気も逃げにくく、自然な空気の入れ替えが起こりにくい点が特徴です。
そのため、料理や生活の中で発生したにおいが室内に長く留まり、壁紙や家具などの繊維に染み付きやすくなります。また、窓の数や家具の配置の制約により空気の通り道ができにくいことも、においがこもりやすくなる原因の一つです。
24時間換気システムが設置されていても、電気代節約のために停止したり、寒さ対策で吸気口を閉じたりすると、十分な換気が行われません。フィルターの目詰まりも、換気効率が低下する原因になります。加えて、隣接住戸や排水口から影響を受ける場合もあります。室内だけでなく建物全体の構造が関係する点もマンション特有の特徴です。
マンションで発生しやすい4種類のにおい
マンションで起こりやすいにおいは、生活臭・カビ臭・下水臭・こもり臭の4つに分類できます。におい対策を始める前に、自分の気になるにおいがどれに当てはまるかを把握しましょう。ここでは、それぞれのにおいの原因や特徴を解説します。
生活臭:調理・生ごみ・汗・ペット

調理で発生するにおいや人の汗などの生活臭は、日常生活で発生する最も身近なにおいで、室内に蓄積しやすいのが特徴です。調理時の油煙や香りの強い食材のにおいは空気中に広がり、カーテンやソファなどの布製品や壁紙に付着し、徐々に染み込んでいきます。
部屋干しによる生乾き臭、生ごみ、ペットの体臭や排泄物のにおいも、時間とともに強くなります。気密性の高いマンションでは、これらが混ざり合い、特有のにおいになりやすい傾向があります。
カビ臭:湿気・結露・水まわりの汚れ
湿気や結露によって繁殖したカビのにおいです。洗面所や浴室、窓の周辺など、湿度が高くなりやすい場所から広がり、放置しておくと室内全体に影響を及ぼす恐れがあります。梅雨の時期や冬場の過剰な加湿も、悪化の要因です。
目に見えない場所で繁殖し、いつの間にかにおいが強くなるケースもあります。日の当たりにくい北側の部屋や押入れ・クローゼットの奥なども結露が発生しやすいため、特に注意が必要です。
下水臭:封水切れ・排水口の汚れ
下水臭は、排水管にたまる水(封水)が蒸発したり、排水口や排水管内部に汚れが蓄積したりすることで発生します。通常は封水がフタの役割をし、下水道管からにおいが上がってくるのを防いでいますが、長期間水を流さないでいると封水が蒸発して減り、においが逆流しやすくなります。
また、排水口にたまった油汚れや髪の毛などもにおいの原因になるため、掃除が不十分な場合や長期不在後に発生しやすいのが特徴です。
こもり臭:空気の滞留したにおい

こもり臭は、換気不足などにより空気の流れが悪くなり、古い空気が室内に滞留することで生じるにおいです。においが発生する特定の原因がなくても、湿気や生活臭が混ざり合い、空気がよどむと、独特なにおいになります。窓の配置や建物の構造上、空気の通り道ができにくいマンションでは、意識的な換気が必要です。
新築マンションへの入居時に臭いが気になる場合は、こまめに換気を続けることで徐々に気にならなくなります。
マンションのにおい対策の基本は換気
マンションのにおい対策の基本は「換気」です。気密性の高いマンションでは、意識的に空気を入れ替えないと、よどんだ空気が滞留し続けます。においの原因を断つことに加え、空気を動かすことで、室内ににおいが定着するのを防ぎましょう。ここでは、効率的な換気方法を紹介します。
24時間換気システムは運転を止めない
「電気代がもったいない」「外の音が気になる」などの理由でスイッチを切っていませんか。24時間換気システムは、建物内の空気を常に入れ替えることを前提に設計されている設備です。停止してしまうと、室内の空気が滞留し、においや湿気がこもる原因になります。
マンションは気密性が高いため、換気システムが止まると空気の流れが一気に悪化します。室内環境を快適に保つために、24時間換気システムは常時運転を基本とし、適切に活用しましょう。

吸気口フィルターは定期的に清掃する
吸気口フィルターは、外から取り込む空気に含まれるほこりや花粉などの汚れを防ぐ役割を担っています。付着した汚れで目が詰まると、換気効率が低下し、よどんだ空気や湿気が室内に停滞し、においの原因になります。
適切な換気を維持するために、月1回程度を目安にフィルターを清掃しましょう。定期的なフィルターのお手入れによって、適切な換気が保てます。
除湿機とサーキュレーターで空気の流れをつくる

雨の日や梅雨時期には、窓を開放した換気が難しくなります。また、マンションによっては窓のない部屋や、間取りの制約により対角線上に2カ所の窓を確保できないケースもあります。そのような場合には、除湿機とサーキュレーターの併用がおすすめです。
除湿機で空気中の余分な湿気を取り除きながら、サーキュレーターで空気を循環させ、強制的に空気の流れをつくります。室内の空気を効率的に動かすことで、湿気や空気の滞留を防ぎ、においやカビの発生を抑制できます。
部屋別においの原因と対策
ひと言で「生活臭」といっても、場所によって、においが発生する原因はさまざまです。各場所の特性を知り、それに合わせて適切に掃除や換気をすることが、効率的なにおい対策につながります。
ここでは、玄関・キッチン・洗面・浴室・寝室・クローゼットの場所ごとに、原因と今日からできる対策を紹介します。
玄関:靴と湿気のにおいを取り除く
玄関は、靴に含まれた汗や湿気に加え、外から持ち込まれるほこりや泥汚れなどがたまりやすく、不快なにおいが発生しやすい場所です。特に、扉のついた下駄箱(シューズボックス)内は、空気が動きにくく湿気がたまりやすい環境のため、においがこもりやすくなります。
下駄箱内に湿気を持ち込まないためには、履いた靴をすぐにしまわずに、半日ほど乾燥させる習慣をつけるとよいでしょう。雨などで濡れた場合は、丸めた新聞紙を靴の中に詰めて水分を吸収させると乾きやすくなります。
週1〜2回ほど、天気の良い日に下駄箱の扉を開けて換気を行い、中にたまった湿気を取り除きましょう。炭など調湿効果のある素材を使った除湿剤や消臭剤を設置するのも効果的です。傘立てや玄関マットも湿気や汚れをため込みやすいため、定期的に掃除・洗濯をしましょう。玄関全体を清潔に保つことが、においの抑制にもつながります。
キッチン:調理・生ごみ・排水口のにおいを防ぐ

キッチンは、調理時の油煙や食材のにおい、生ごみ、排水口の汚れなど、におい発生のさまざまな要因が重なりやすい場所です。揚げ物や炒め物などの油を使った調理やにおいの強い食材を扱った後は、特ににおいが残りやすくなります。できるだけにおいを残さないためには、調理中はもちろん、調理後もしばらく換気扇を回して、しっかりと空気を入れ替えることがポイントです。
また、コンロや壁に付着した油はねや油煙は、その日のうちに拭き取るようにしましょう。生ゴミは三角コーナーなどに放置せず、水気をしっかり切ってからポリ袋などで密閉し、こまめに処分するようにします。
三角コーナーや排水口のぬめりもにおいの原因になるため、週1回を目安に取り除き、清潔な状態を保ちましょう。洗い物の最後に、40〜50℃程度のお湯をシンクに流すと、油汚れの蓄積防止にもつながります。毎日使う場所だからこそ、小さな習慣の積み重ねが効果的です。
洗面・浴室:排水口の下水臭と雑菌の繁殖を防ぐ

洗面所や浴室は水を使う頻度が高く、湿気がこもりやすいため、カビや雑菌が繁殖しやすい場所です。排水口には髪の毛や石鹸カス、皮脂などの汚れがたまりやすく、放置すると、ぬめりやにおいの原因になります。
対策としては、汚れが蓄積する前にこまめに取り除き、週1回を目安にブラシで内部の汚れも落とします。においが気になる場合は、排水口用洗浄剤を活用すると、ブラシが届きにくい部分の汚れも落とせます。
浴室内にこもるにおい、カビや雑菌の繁殖を防ぐには、入浴後に換気扇を回して浴室内を乾燥させたり、扉や窓を開けて湿気を逃したりする方法のほか、浴室全体にサッと冷水をかけて温度を下げる方法も効果的です。タオルやバスマットも濡れたまま放置せず、こまめに洗濯・乾燥させましょう。余分な湿気を取り除くことで、においの発生を抑えられます。
寝室:寝具の汗・皮脂臭を防ぐ

寝室のにおいの原因は、睡眠中にかく汗や皮脂が、寝具や壁紙に蓄積することです。人は一晩でコップ1杯分ほどの汗をかくともいわれており、放置すると雑菌が繁殖し不快なにおいの発生源となります。
最も手軽にできる対策は、起床後すぐの換気です。起床の直後は寝具に湿気がこもっているため、かけ布団をめくったまましばらく放置し、湿気を飛ばします。窓を開けて空気を入れ替えたり、サーキュレーターで空気を動かしたりすると、より効果的です。
日常的な湿気対策として、マットレスの下にすのこを敷いたり、除湿シートを活用したりするのもおすすめです。肌に直接触れるシーツや枕カバーは、清潔な状態を保つためにも、週1回を目安に取り替えましょう。掛け布団や敷布団の湿気対策には、天日干しのほか、布団乾燥機の活用や、椅子などにかけて室内で風を通す方法も有効です。無理なくできることからやってみましょう。
クローゼット:湿気とこもり臭を防ぐ

クローゼットは、扉を閉め切っている時間が長く空気の流れが少ないため、湿気とにおいがこもりやすい場所です。衣類に使われる繊維の多くは湿気やにおいを吸着しやすい特性があるので、大切な衣類を保管するうえで、におい対策は欠かせません。
最も手軽で効果的な対策は、着用後の衣類をすぐにしまわないことです。一度着用した服には、汗による湿気や皮脂、外気ににおいが付着しています。ハンガーラックなど風通しのよい場所でしばらく休ませてから収納する習慣をつけましょう。
週に1回程度は扉を開けて換気を行い、余分な湿気を逃すのもおすすめです。扇風機やサーキュレーターの風を送り込むと、より効果的です。衣類を詰め込みすぎず、衣類の間に指1本分ほどの余裕をつくっておくと、空気が循環しやすくなります。湿気は低い場所に集まる性質があるので、炭や除湿剤など設置型の調湿アイテムを活用する際には、足元に設置しましょう。
部屋のにおいを解消する消臭アイテムの選び方
マンションのにおい対策は、まずにおいの原因を取り除くことが基本です。においを消すアイテムには消臭剤・調湿素材・空気清浄機の3種類があります。消臭剤はにおいを直接取り除きたいとき、調湿素材は湿気とにおいを継続的に抑えたいとき、空気清浄機は空気中に浮遊するにおい成分を除去したいときに向いています。
それぞれ特徴が異なるため、違いを理解したうえで使い分けることがポイントです。ここでは、消臭剤・調湿素材・空気清浄機の3種類のポイントを紹介します。
消臭剤と芳香剤を目的に合わせて適切に選ぶ
消臭剤と芳香剤は、似ているようで役割が大きく異なります。消臭剤がにおいの原因物質を吸着・分解して「無臭化」するのに対し、芳香剤は香りでにおいを覆う「マスキング」をします。
においが気になる場合は、まず消臭剤でにおいを絶つことが先決です。いやなにおいが残ったまま芳香剤を使うと、においが混ざり合い、さらに不快な複合臭となる恐れがあります。先に消臭剤でにおいを取り除いてから、芳香剤で好みの香りを取り入れるのが適切な使い方です。
消臭剤には、置き型・スプレー型・ゲル型などの種類があります。玄関やトイレなどにおいが気になる場所に常時置いておくなら置き型、来客前など素早くにおいをリセットしたいときはスプレー型、クローゼットや引き出しなど狭い空間にはゲル型が向いています。
炭・珪藻土など調湿素材を部屋別に使い分ける

炭や珪藻土などの自然由来の調湿素材は、化学物質不使用で、においの吸着と湿気対策をまとめて担える便利なアイテムです。炭は無数の微細な穴でにおいの原因物質を吸着し、珪藻土は優れた吸放湿性により湿度を一定に保つ特性があります。場所や用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。
例えば、こもり臭と湿気が気になる下駄箱やクローゼットには、スティック型や置き型の炭を配置すると、においとカビを同時に予防できます。湿気が溜まりやすい洗面や浴室の脱衣所には、湿気を吸収してくれる珪藻土のマットやコースターがおすすめです。
どちらも電源が不要で、炭は天日干し・珪藻土は陰干しをするなど、適切にメンテナンスをすれば、繰り返し使用できます。においや場所に合わせて適した素材と設置場所を選ぶことで、より効果的に対策できます。
空気清浄機の効果と限界を把握する
空気清浄機は、空気中に浮遊する粒子やにおいの成分をフィルターで吸着・除去する効果が期待できます。例えば、ペットがいる部屋や花粉の季節など、空気中のにおいや粒子が気になる場面で特に効果を発揮します
ただし、壁紙やカーテン・ソファなどの布製品に染み付いたにおいを完全に取り除くことはできません。においの発生源そのものを断つ機能もないため、過信は禁物です。換気や掃除などの消臭対策と組み合わせて、効果的に活用しましょう。
においを整えたマンションで香りを楽しむ方法

においの原因を取り除き、いやなにおいをすっきりとリセットした後は、好みの香りを取り入れてみましょう。香りを楽しむアイテムは、その特徴を生かして使い分けるのがポイントです。
広い範囲にやさしく香りを広げる「アロマディフューザー」は、リビングや就寝前のリラックスタイムに適しています。さっと手軽に使える「ルームスプレー」は、即効性があり、来客前や気分転換にぴったりです。
好みの香りに包まれて眠りたいときには、枕元にアロマストーンを置いてみましょう。アロマオイルを数滴垂らすだけで、火や電気を使わずにほのかな香りが広がります。用途や気分に合わせてアイテムを使い分けると、暮らしの中に香りを取り入れやすくなります。

マンションのにおい対策に関するよくある質問
マンションのにおい対策について、気になる疑問やよくある質問について、Q&A形式で解説します。
Q.帰宅した瞬間の、もわっとしたにおいをすぐ消す方法はありますか?
もわっとしたいやなにおいを解消するには、まず窓を1〜2カ所開けて空気の通り道をつくり、家の中の空気を入れ替えましょう。窓が一カ所しかない場合は、玄関ドアを数センチ開けたり換気扇を回したりして、空気の流れをつくります。サーキュレーターを活用すれば、さらに短時間でにおいを解消できます。仕上げに消臭スプレーを使うと、よりすっきりとした空間に整えられます。
Q.消臭剤を置いてもにおいが消えないのはなぜですか?
消臭剤の効果が感じられないのは、においの発生源が残ったままだからです。例えば、キッチンなど水まわりの排水口のぬめり、クローゼットや下駄箱の湿気、ソファやカーテン・壁紙に染み付いたにおいは、消臭剤では取り除けません。
マンションは気密性が高く空気が滞りやすいため、においも残りがちです。掃除と換気でにおいの発生源を断ってから消臭剤を使用すれば、期待する効果が得られるでしょう。
Q. 換気扇をつけると下水のにおいがする場合の対策はありますか?
換気扇使用時に下水のにおいが気になる場合、まず窓を少し開けて給気口を確保しましょう。
換気扇を回すと室内の気圧が下がり、排水口から下水管の空気が逆流しやすくなります。窓を開けることで気圧差が解消され、においの逆流を防げます。
また、排水トラップが正常に機能しているかも確認してみてください。長期間、水を使っていないと排水口の封水が蒸発して下水臭が上がりやすいため、定期的に水を流す習慣をつけることが有効です。
においのないマンションで快適な暮らしを

マンションは気密性が高く、生活臭・カビ臭・下水臭・こもり臭などがこもりやすい構造です。対策の基本は換気で、24時間換気システムの常時運転や吸気口フィルターの定期的な清掃が有効です。場所ごとの原因を把握して掃除と換気の習慣をつけ、消臭アイテムを活用すれば、心地よい空間に整えられます。いやなにおいが解消したら、アロマや芳香剤で好みの香りをプラスすれば、より心地よく過ごせる空間になるでしょう。
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