毎日フライパンを使っていると、徐々に焦げ付きやすくなるなどの劣化が見られるようになります。しかしまったく使い物にならなくなるわけでは無いので、買い替えどきが難しいとお悩みの方も少なくないでしょう。
フライパンの買い替えどきは、素材によって異なります。各素材ごとの適切な買い替え時期や、フライパンを長持ちさせるためのコツをお伝えします。ぜひ参考にしてください。
フライパンの買い替えどき
コーティングが剥がれて下地が見えてきたとき
フッ素加工やセラミック加工がされたフライパンの場合、コーティングが剥がれて下地が見えたり、「欠け」が生じた場合は買い替えどきです。
剥がれたコーティングが料理に混ざってしまうと良くないので、使うのをやめてすぐに買い替えましょう。
またセラミック加工は、少し欠けただけでもそこからヒビ割れが発生しやすいので、買い替えることをおすすめします。
調理中に焦げ付くようになってきたとき
コーティング加工がされたフライパンの場合、調理していて焦げ付くようになってきたら、コーティングの効果がなくなったということなので買い替えましょう。
なお、ステンレス製フライパンにはもともと焦げ付きやすいという特徴があります。重く扱いづらいこともあって、何度調理しても焦がしてしまうという方もいらっしゃるでしょう。そういう場合は、フライパン自体の寿命とは関係なく、思い切って違う素材のフライパンに買い替えても良いと思います。
コンロに設置してガタつきを感じたとき
コンロに設置してガタつきを感じた場合は、フライパンに歪みが生じてしまっていますので、買い替えどきであるといえます。
このような状態では、正しく熱が伝わらず焼きにムラができてしまいます。
またフライパンが傾くなどして、思わぬ事故や火傷の原因にもなりますので、早めに買い替えましょう。
素材別の特徴と長持ちさせるコツ
「フッ素樹脂加工フライパン」の特徴と長持ちさせるコツ
フッ素樹脂加工フライパンの特徴
フッ素樹脂加工フライパンは種類が多く、手軽な値段でも購入できます。食材が焦げ付きにくく、手入れも簡単。そして軽いなので、とても扱いやすいです。
一方で耐熱温度は260℃程度と低いので、強火で調理をすることができません。耐久性があまり高くなく、商品や使い方にもよりますが、1〜2年で買い替えが必要になります。
フッ素樹脂と他の素材を混ぜたマーブルコート(フッ素樹脂+大理石)、人工ダイヤモンドコート(フッ素樹脂+人工ダイヤモンド)、チタンコート(フッ素樹脂+チタン)といったような製品もあります。
耐久性は「フッ素樹脂加工のみ<マーブルコート<ダイヤモンドコート<チタンコート」の順に強くなり、寿命も長くなります。特にチタンは耐久性が高く剥がれにくいですし、酸や塩分に強いので耐食性(腐食への耐性)も高いです。
「フッ素樹脂加工フライパン」はこんな人にオススメ
- お手入れに手間をかけたくない
- 軽いフライパンが良い
- お手頃価格で購入したい
フッ素樹脂加工フライパンを長持ちさせるコツ
鉄製の調理器具は使わない
鉄製のフライ返しやおたまを使うとコーティングが剥がれてしまいます。柔らかい素材(プラスチックやシリコンなど)の調理器具を使いましょう。
チタン素材を混ぜたチタンコートなどは耐久性が強いので傷つきにくいですが、それでも鉄製の調理器具は使わない方が長持ちします。
強火で調理をしない
フッ素樹脂加工フライパンのコーティングは熱に弱いです。強火で調理をすると一気に劣化が進んでしまいます。必ず弱火〜中火で調理しましょう。
空焚きをしない
空焚きをするとフライパンが高温になります。強火の調理よりもさらにフッ素樹脂コーティングを劣化させてしまうので、絶対に空焚きはしないようにしましょう。
フライパンが熱い状態で水をかけない
まだフライパンが熱い状態で水をかけると、急激に表面が冷やされてフッ素樹脂コーティングの劣化につながります。必ず熱が冷めてから水をかけるようにしましょう。
スチールたわしや研磨剤入り洗剤は使わない
スチールたわしや研磨剤入り洗剤を使うと、フッ素樹脂加工を傷めてしまいます。柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく洗ってください。
完成した料理をフライパンにそのまま保存しない
完成した料理をフライパンにそのまま保存すると、塩分などが染み込んでフッ素樹脂加工が剥がれやすくなってしまいます。調理が終わったら、できるだけ早くお皿や別の容器に移し替えましょう。
「セラミック加工フライパン」の特徴と長持ちさせるコツ
セラミック加工フライパンの特徴
セラミックは陶器などに使われる白い素材です。それがコーティングされたセラミック加工フライパンも色の白いものが多く、その見た目の美しさに魅力を感じる方もいるようです。
見た目が美しいだけではなく、フッ素樹脂加工に比べて耐久性が高いのも特徴。フッ素樹加工の耐熱温度が260℃であるのに対し、セラミック加工は400℃まであり、傷にも強いです。
しかし、陶器と同じく衝撃には弱いため、落とすと破損するリスクがあります。またフッ素樹脂加工に比べて焦げ付きやすいので、調理時は油を引く必要があります。
「セラミック加工フライパン」はこんな人にオススメ
- お手入れに手間をかけたくない
- ある程度耐久性があるものがいい
セラミック加工フライパンを長持ちさせるコツ
セラミック加工フライパンを長持ちさせるコツは、多くがフッ素樹脂加工フライパンと共通しています。
鉄製の調理器具は使わない
フッ素樹脂加工よりは耐久性が強く傷つきにくいですが、やはり鉄製のフライ返しやお玉などを使うと、コーティングが剥がれたり、欠けが発生したりしてしまいます。プラスチックやシリコンなど、柔らかい素材の調理器具を使いましょう。
弱火〜中火で調理する
耐熱温度についても、フッ素樹脂加工フライパンと比べると高いものの、やはり強火で調理をするとコーティングが劣化してしまいますし、食材が焦げ付きやすくなります。必ず弱火〜中火で調理しましょう。強火にしなくても、十分に熱は伝わります。
空焚きをしない
空焚きはフライパンが非常に高温になります。強火の調理よりもさらにセラミックコーティングを劣化させてしまうので注意しましょう。
フライパンが熱い状態で水をかけない
フライパンが熱い状態で水をかけると、急激に表面が冷やされてセラミックコーティングの劣化が起こります。必ずフライパンの熱が冷めてから水をかけるようにしてください。
スチールたわしや研磨剤入り洗剤は使わない
スチールたわしや研磨剤入り洗剤を使うと、セラミック加工を傷めてしまいます。柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく洗いましょう。
必ず油を引いてから使う
セラミック加工フライパンは食材が焦げ付きやすいので、必ず油を引いてから使用してください。
「ステンレス製フライパン」の特徴と長持ちさせるコツ
ステンレス製フライパンの特徴
ステンレス製のフライパンは、その耐久性とサビにくさ、そしてスタイリッシュな見た目が大きな魅力となっています。
熱伝導性が低い反面、保温性に優れているので、ローストビーフやステーキなど余熱を使う調理に強みを発揮します。
一方で、ステンレスは重く扱いづらいというネックがあります。また食材が焦げ付きやすいというデメリットもあるので、上手に調理するには少しコツがいるでしょう。
「ステンレス製フライパン」はこんな人にオススメ
- スタイリッシュな見た目が好み
- 低温調理の料理(ローストビーフなど)も楽しみたい
- ひとつのフライパンを長く使い続けたい
ステンレス製フライパンを長持ちさせるコツ
ステンレス製フライパンは、しっかり手入れをすれば一生モノとなります。
鉄製の調理器具は使わない
耐久性の強いステンレス製フライパンですが、鉄製のフライ返しやおたまを使うと、表面に傷がついてしまいます。プラスチックやシリコンなど、柔らかい素材の調理器具を使いましょう。
強火で空焚きをしない
ステンレス製のフライパンは耐熱性が高いですが、強火で空焚きをすると傷みの原因になります。空焚きはしないように注意しましょう。
強火も可能だが、基本は弱火〜中火で調理する
ステンレス製のフライパンは強火の調理も可能ではありますが、あまり高温になるとフライパンの変形、破損の原因となります。
また、強火で調理をすると焦げ付きやすく、熱伝導性が低いため一部分だけの温度が高くなりムラ焼けになってしまいますよ。
中火でじっくり予熱をしてから調理し、焦げ付かせない
熱伝導性が低いステンレス製のフライパンは、じっくり中火で予熱をしてから調理しましょう。こうすることで焦げ付きを抑え、長持ちさせることができますよ。
冷めきらないうちにスポンジで洗う
フライパンを洗うときは、温かいうちにスポンジで洗いましょう。熱すぎるフライパンに接触すると火傷をしてしまうので、その点には注意してくださいね。
焦げ付きはナイロンたわしで早めに落とす
焦げ付いてしまったときは、早めにナイロンたわしなどを使って落としましょう。ひどい場合は、ぬるま湯にしばらくつけておくと取れやすくなります。クレンザーを使うのも効果的です。
完成した料理は早めにお皿に移す
料理をステンレス製のフライパンにそのまま置いておくと、塩分などの成分が表面に染み込んでステンレスが傷みやすくなります。特に塩分には注意してください。調理が終わったら、できるだけ早くお皿や別の容器に移し替えましょう。
「鉄製フライパン」の特徴と長持ちさせるコツ
鉄製フライパンの特徴
鉄製のフライパンは傷がつきにくく、耐久性が強いことが最大の特徴です。また、使えば使うほど油がなじみ、焦げ付きにくくなっていきます。強火での調理も可能なので、料理のレパートリーも広がります。
さらに、フライパンの鉄分が溶け出すことにより、調理をした料理を食べることで鉄分が摂取できるというのも特徴です。
使い始めは、フライパン全体に油の膜を張るために、油ならしを行う必要があります。コゲやサビ落としをしたときにも必要で、こうした手間がかかる点はデメリットです。
また鉄製のフライパンは非常に重いので取り扱いが難しいと言えます。
「鉄製フライパン」はこんな人にオススメ
- 強火での調理を楽しみたい
- ひとつのフライパンを長く使い続けたい
- 日々のお手入れが苦にならない
鉄製フライパンを長持ちさせるコツ
鉄製フライパンはサビ付くこともありますが、しっかり手入れをすれば一生モノになります。
使い始めと焦げ付きやサビを落とした後は「油ならし」を行う
鉄製フライパンを使う時は、使い始めと焦げ付きやサビを落とした後に油ならしを行いましょう。
- 油ならし
①中火で完全に水分を飛ばす
②フライパンの大きさに合わせて1/2~1カップ程度の油を入れ、3分程度弱火で加熱する
③余分な油を取り除く
④キッチンペーパーなどで油を刷り込みながら、余分な油を拭き取る使う油は揚げ物をした後のなどの古いものでもOKです。使用後はオイルポッド等に保存して再利用しましょう。
温かいうちに、洗剤を使わずに洗う
汚れは、フライパンが冷める前の温かいうちに洗剤を使わず落とします。火傷に気をつけてください。
使用後は水分をしっかり飛ばし、油を塗っておく
水分が残っているとサビの原因になりますので、加熱して水分をしっかり飛ばしましょう。鉄製フライパンは強火にかけてもまったく問題ありません。
水分が完全に無くなったら、油を塗っておいてください。
焦げ付きやサビは、スチールたわしでしっかり落とす
焦げ付いてしまったときやサビが発生したときは、早めにスチールたわし(またはナイロンたわし)を使ってしっかりと落としましょう。ゴシゴシと削り取ってしまって問題ありません。
まとめ
このように、フライパンは素材によって特徴や手入れ方法が異なります。しっかり理解して手入れをすることで、長く、良い状態で使い続けられるでしょう。
「コーティングが剥がれた」「焦げ付く」「ガタつく」といった買い替えるべきタイミングを迎えたら、お世話になったフライパンには感謝して処分して、新しいフライパンと快適な調理を楽しんでください!
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