鹿児島県の薩摩川内市の風物詩川内大綱引の季節となりました。
薩摩川内市は、鹿児島市北西約40キロに位置し、九州新幹線の川内駅があることでも有名です。
川内大綱引は、毎年秋分の日の前日に開催される祭事で、参加人数はなんと3,500人。特に上半身裸にサラシを巻いた男達の激しいぶつかり合いは迫力があり、興奮すること間違いなし。また2020年の公開を目指し、映画化されることも決まりました。
今年で418年目の歴史ある祭事の魅力をご紹介いたします。
※当記事に掲載のすべての写真は、川内大綱引保存協会様の許可を得て掲載しております。
目次
1.大迫力川内大綱引は、こんな祭事
1-1 川内大綱引の歴史
川内大綱引は、慶長年間(1596年~1614年)に始まったとされ、一説には関ヶ原の合戦の際、第17代島津義弘が兵士の士気を高めるために始めたと言われております。
400年以上の歴史ある祭事で、日本最大級の大綱引と言われております。主に商売繁盛と五穀豊穣を祈念し、約3500人の男達が衝突します。相手の引き手を妨害する「押し隊」が綱中央で激しくぶつかるのが最大の特徴です。また2006年には鹿児島県の民俗文化財に指定されました。
1-2 川内大綱引の4つの部隊
ここからは、綱引参加者の役割やルールを説明いたします。
上方(赤)、下方(白)の2つのチームに分かれ、まずは両軍とも引手(綱を引く人)集めに奔走します。参加人数に制限はないため、相手軍より多くの人員を確保するためにあの手この手を使います。もちろんたくさん集めた方が有利になります。
その後集まった人員を4つの部隊に配属します。
4つの部隊
その1「太鼓隊」上方と下方に一番太鼓から十番太鼓までそれぞれ10人ずついます。綱の横側に一列に並んで一斉に太鼓を打ち鳴らします。引き隊が、この太鼓の合図に合わせて綱を引くので、攻撃を指揮する重要な役目です。
その2「押し隊」綱の中心部に陣取る人たち。相手陣内に押し込み、相手の引き隊の体勢を崩して、自軍の引き隊が綱を引きやすくします。川内大綱引独持の勇壮な綱引の中心となります。
その3「引き隊」押し隊の後ろにおり、綱を引く部隊。太鼓隊の合図に合わせ、大綱にくくりつけた「引き綱」を一斉に引きます。
その4「ワサ係・ワサ払い」綱が相手から引かれ形成不利となった際に、それ以上引かれないように綱の最後尾にある「ワサ」と呼ばれる輪を、中央の位置に埋め込まれた「ダン木」と呼ばれる木にかける係。負けている方は、この間に作戦を立て直し、押し隊を繰り出し反撃します。
引用元:川内大綱引保存会ホームページ
1-3 1時間半の激しい攻防の全貌(開始から勝敗が決まるまで)
最初にダン木祭り(安全祈願祭)が行われます。ダン木祭りが終われば、いよいよ試合開始。
綱引の開始を地元では、「綱を割る」というそうです。
審判長が綱の中心に両軍の一番太鼓を向い合って立たせ綱に乗るや審判長の合図で両軍の一番太鼓が鳴り響き開始となります。続々と太鼓が鳴り出して引き隊を鼓舞していきます。双方の押し隊が頃合いを見て、相手に突撃を開始し、押し隊が激しくぶつかりそして押し合う。押し勝ったチームが敵陣へどんどん深く攻勢を仕掛ける。攻め込まれたチームの綱が地を這うように敵側へ引かれていきます。
そこでワサ係りがワサを引っ張ってダン木に投げ込みます。この状況になれば、小休止となり劣勢チームは次の作戦を練ります。再び、太鼓の合図で激闘が始まります。この一進一退の攻防は、約1時間半にも及び、双方の綱が動かなくなった頃に審判が敗者の綱にノコギリを入れ、終了となります。そしてお互いの健闘を称え合い終了します。
上方(赤)・下方(白)に別れ、上半身裸にサラシを巻いた男達の長時間にわたる勇姿は必見です。
1-4 使用される綱
長さ:365m
重さ:7t
直径:40㎝
特長:両端には、ワサと呼ばれる大きな輪が作られる

2.今年(2017年)の会場とアクセス
川内大綱引の開催場所は、年によって変わり、川内川に架かる太平橋を境に国道3号熊本方面が大小路町側、鹿児島方面が向田側と分けて開催されます。3年を周期として、向田・向田・大小路という順番ですが、2017年は向田側にて開催されます。
【新幹線を利用の場合】
鹿児島中央駅 ~ 川内駅は、約12分
博多駅 ~ 川内駅は、最速75分
川内駅から会場までは、徒歩約10分
【車を利用の場合】
鹿児島市内より、約1時間
薩摩川内都ICより会場まで約10分
※2017年9月現在
車でお越しの場合は、会場には駐車場はございません。
周辺の駐車場を利用することになりますが、交通規制と渋滞あります。公共交通機関を利用するのがおすすめです。
3.もっと楽しむ方法はこれ!
3-1 大綱の練り上げからの見学
戦いの日の朝、約1,500人が一丸となって大綱を練り上げます。
大綱を作ることを綱練りといい、朝から半日かけ大綱に練り上げられます。
330本の縄を11本ずつ、道路に繰り出していき、110本の縄の束を3つ作ります。
その後、立山・寄山と呼ばれる大きな器具により、綱にヨリを加えていきます。次にシンコという特殊な器具を使い3本を1本の大綱にまとめます。
最後にワサを作ります。上方・下方それぞれのワサを作り、大綱の中心には化粧縄が巻かれ赤く塗り施されます。完成した大綱を全員で会場まで運び出します。
戦いの最後には、大綱のノコギリを入れるため、来年もこの大綱を利用することはできません。
参加者の想いが込められた大綱となり、さらに大綱引を盛り上げる役割を果たしています。
3-2 地域の絆と歴史の継承
長時間かけて行う大綱の練り上げは、保存会の方々のご指導のもと地域の子供も参加します。昨今地域社会との関わりが希薄になる中、歴史ある祭事に参加することで地域との繋がりや郷土愛も育まれます。
また子供を対象とした「薩摩川内子供大綱引」や「応援旗デザインコンテンスト」もあり、この川内大綱引が地域の絆・伝統を「綱いで」います。大綱引の面白さ・激しさを単純に楽しむだけではなく、400年の歴史や大綱引を成功させるために働いていただく地域のボランティアの方々の支えなど、街全体と大綱引の関わりまで考え、見学すればもっと楽しむことができます。
4.2017年開催日と当日のスケジュール
2017年は9月22日(金)に開催します。
当日の主なスケジュールは
6:00 ~ 県道交通規制開始(県道川内・串木野線)
8:00 ~ 縄出し開始
10:00 ~ 綱練り開始
15:00 ~ 大綱完成
15:30 ~ 綱出し開始
15:30 ~ 国道全面交通規制開始(国道3号)
18:00 ~ イベント(ダンス・はんやおどり)
19:00 ~ ダン木祭り(神事)
19:55 ~ イベント(薩摩川内おどり太鼓)※予定
20:15 ~ 大綱引開始
22:00 ~ 大綱引終了(会場清掃開始)
23:00 ~ 交通規制解除(国道3号線全面通行止め解除)
※一部予定となっております
5.川内大綱引を楽しむときの注意点
川内大綱引は、激闘シーンがみどころの一つです。
より近くで見学したいからといって、不用意に近づいたり、危険ゾーンへの立ち入りは控えてください。危険ゾーン付近には、必ず「水色」のはちまきや旗、Tシャツを着ている人がいます。「水色」が見えたら離れるようにしてください。
またハイヒールやサンダルなど、すぐに動くことが難しい履物は当日控えるようにしましょう。

6.まとめ
400年以上にもおよぶ歴史と伝統を受け継ぐ、「川内大綱引」。男達の激闘は見ものです。
ぜひ一度、鹿児島県薩摩川内市にお越しになられてはいかがでしょうか?
また2017年の開催は金曜日。土日も上手に利用して、旅行の計画も良いのではないでしょうか。大綱引開催場所は、駅や繁華街にも近いため、宿泊して郷土食事を楽しむなど、ぜひ満喫してください。