コスモスを揺らす金風にのって聞こえる、祭りのお囃子。
高く青い空を埋める白い鰯雲。
赤や黄色に色づき始めた照葉。
秋もいよいよ深まり、豊穣の季節を迎えるころ。そんな10月のくらしの歳時記を紹介します。
目次
10月の和名「神無月」の由来
この月に出雲大社に神様が集まって、諸国には不在になることから神無(かみなし)月。一方で、神様の集まる出雲地方では「神在(かみあり)月」と呼んで、神事を行います。
しかしこの由来、じつは中世以降の俗説。いわゆるフォークロアなんです。
「神無月」の”無” の字は、”の” に該当する連体助詞。つまり10月は「神の月」という意味で、神様を祭る月を表しています。
他にも、雷の鳴らない月だから「雷無月(かみなしづき)」、新穀(その年に穫れた穀物。ここでは特に新米のこと)で酒を醸す月だから「醸成月(かみなしづき)」などの説があります。
2019年10月の暦と行事
秋分 | 1日 | 衣替え | 寒露 | 17日 | 神嘗祭 |
2日 | 18日 | ||||
3日 | 19日 | ||||
4日 | 20日 | ||||
5日 | 21日 | 秋土用入り | |||
6日 | 22日 | 即位礼正殿の儀 | |||
7日 | 23日 | ||||
寒露 | 8日 | 寒露 | 霜降 | 24日 | 霜降 |
9日 | 25日 | 秋土用の間日 | |||
10日 | 26日 | ||||
11日 | 十三夜 | 27日 | 秋土用の間日 | ||
12日 | 28日 | ||||
13日 | 29日 | 秋土用の間日 | |||
14日 | 体育の日 | 30日 | |||
15日 | 31日 | ||||
16日 |
日中の暑さも落ち着き、いよいよ朝晩が冷え込んでくるころ。月の半ば過ぎには、日の短さも実感できるようになる時期です。
「土用」は雑節のひとつ。土公神(どくじん)という土を司る神様が支配する期間とされ、土を動かす作業(土いじり、地鎮祭、井戸掘りなど)を忌む習慣です。とはいえ、18日もの間それが続くのは、さすがに実生活に影響が出ますよね。そこで土公神が地上を離れる日=「間日」を設け、その日は作業をOKとしました。
ちなみに土用は年4回あり、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間がその期間です。
十五夜とセットで眺める「月」─ 十三夜(10月11日)
旧暦の9月13日。
ひと月前の十五夜に対して「後の月」、栗をお供えすることから「栗名月」などと呼ばれる月です。十五夜についで美しい月とされ、宮中では宴を催すなど、古くから鑑賞の行事が行われてきました。ちなみに十五夜は平安時代に唐から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自の風習です。
十五夜(中秋の名月)と十三夜、どちらか片方だけしか観ない「片見月」は縁起が悪いなどと言いますが、この発祥は江戸時代の遊郭なのだそう。十五夜の日にやって来たお客さんを再度呼び込むためのイベントとして言われ出したんだとか。
したがって「縁起が悪い」と言っても、神罰や仏罰がくだる類いのものではないので、絶対に観なければならないと気負わなくても大丈夫です。安心してください(笑)。
しかし、十五夜はスッキリしない夜空であることが多い(アルファジャーナルのある香川県では、今年もまた曇りがちの空でした)ことに対し、十三夜は晴れることが多く、「十三夜に曇りなし」という言葉があるほどです。
晩秋のひんやり澄んだ夜空に映える、満月少し前の月。左側が少し欠けた趣ある形を愛でない手はないと思うのです。
お住まいのエリアの月の出時間は、国立天文台の暦計算室のサイトで確認できます
満月でも、欠けてても、消え入りそうに細い眉月でも。
月をみるのは楽しい。
バルコニーから気軽に始めるお月見について考えてみました。
今月の味覚│絶対に体験すべき!ティールームだけで提供する一品だからこそ為しえる柔らかさ
ホテルのパティシエがつくる10月限定のドルチェは「モンブラン」。
栗名月と呼ばれる「十三夜」のイベントがある10月にピッタリのドルチェです。
が、正直なところ、定番すぎるほどに定番だなって思いませんか?
筆者は思いました。
秋だからモンブランって、捻りがなさ過ぎじゃない?と。
しかしこのモンブラン、丁寧に作られた超絶品モンブランなんです!
このモンブランの最大のポイントは「クリームを味わうための柔らかさ」をとことん追求したところ。
栗のペーストを裏ごしして繊維感をなくしたモンブランクリームの中は、フワフワなめらかなバニラムース。渋皮を付けたままシロップで柔らかく煮た栗以外は、全てが口に入れると溶けるほどに柔らかく、なめらかな食感を楽しめるようになっています。
そのアクセントになるのが周囲に散らされたフィアンティーヌ。柔らかさの邪魔は決してしないのに、ザクザクとしたほどよい食感をプラスします。
誰にでも好まれそうな控えめな甘さは、コーヒーとのマリアージュもバッチリ!バニラと栗の風味がしっかり感じられる、パティシエの底力を見せつけられたような一品でした。
撮影協力:リーガホテルゼスト高松 ARGO
香川県高松市の中心市街地に位置し、地元の人にも愛されるシティホテル「リーガホテルゼスト高松」。その1階にあるARGO(アルゴ)は、ゆったり落ち着いたインテリアの中で、豊かな香りが自慢のコーヒーを愉しむ空間です。
今月のイベント│ハロウィーン/Halloween🎃
ハロウィンは古代ケルトの収穫祭がルーツといわれるお祭りです。
もとは秋の収穫を祝い悪霊を追い払う、宗教的な意味合いを持った行事でしたが、現在ではジャック・オ・ランタンを飾ったり、魔女やオバケなどに仮装するイベントとして定着しています。近年では日本でも盛り上がっていますね。
楽しいイベントの反面、毎年のことなので、そろそろネタが尽きてしまった…という声をよく聞きます。
でも今年は大丈夫。アルファジャーナルが、仮装とパーティーのアイデアを一生懸命考えてみました。親子で楽しめる簡単アイデアばかりなので、参考にしてみてくださいね(10月9日公開予定)。
しっとり大人に楽しみたい方向けには、ハロウィーンがモチーフの浮島(和菓子)レシピがオススメ。
ハロウィーンが終われば、秋も終わり。
次回の「くらしの歳時記」は11月霜月編です。お楽しみに!