いよいよ新元号「令和」がスタートしました。新緑萌え出づる季節、晴れやかな新しい時代の幕開けです。
気温もぐんぐん上がり、暦の上では「立夏」——夏を迎える5月を、楽しく過ごすための「くらしのエッセンス」そして暦と行事を紹介します
目次
5月の和名「皐月」の由来
5月の和名は、早苗を植える時期「早苗月(さなえづき)」を略したもの。
「早苗」とは稲の苗で、苗代(なわしろ)から田に移し植えるころのものを指します。また、”皐”には「神に捧げる稲」という意味があるので、この字が当てられたと言われています。
2019年5月の暦と行事
5月の暦は晩春から初夏への移り変わりが特徴です。
夏支度を始める目安の八十八夜(雑節)から、暦の上の夏を迎える立夏(二十四節気)を経て、下旬には「陽気がよくなり、草木などの生物が次第に生長して生い茂る」時期である小満(二十四節気)へ。
小満のころには、初夏の風物詩である梅が実をつけはじめます。6月初旬には収穫の時期を迎えて、梅干しや梅シロップ・梅酒などの保存食を拵える「梅仕事」が始まります。
今月の味覚│萌え出づる自然を味わう
気温も上がり、いよいよ植物の育つ時期に入るこの時期。春先に芽吹いたばかりの山菜よりも、もっとしっかりとたしかな、力強い味わいのものが増えてきます。
風薫る5月の新茶
新茶とは、その年に生えてきたばかりの新芽を摘み取って作ったお茶のことです。
秋に収穫が終わった後、長い冬の間にじっくり養分を蓄えて出てきた新芽は、風味が豊なだけでなく、苦み成分であるカテキンが少なく、旨み成分のテアニンが豊富なんだそうです。
そんな極上品質の新茶は、古来から不老 長寿や無病息災の縁起物として珍重され、そこから雑節の八十八夜(今年は5月2日)に飲むと縁起が良いと言われるようになりました。早いところでは4月上旬ごろから摘採がはじまっているので、お茶屋さんの店先に並んでいるころです。
新茶の香りを存分に引き出す淹れ方
新茶の香りを愉しむなら、一般的な煎茶を淹れる時よりも高めの湯温で。香気成分を最も引き出すのは約70〜80度程度とされています。
淹れ方と手順
- 急須に茶葉を入れます。使用する茶葉は1人前あたり2グラム程度。1人分だけ淹れるときは+2グラムして、計4グラムで淹れた方が美味しいです。
- 沸騰したお湯を湯呑み茶碗などに一度移し、充分に温度を下げてから急須に入れます。
- そのまま30秒〜1分ほど蒸らし、数回急須を回して(この動作で茶葉が開きます)から茶碗に注ぎましょう。複数人分淹れる時は、濃さが均一になるように、少しずつ均等に注ぎ分けます。
- 最後の1滴まで注ぎ切るのがポイント。こうすることで2煎目のお茶も美味しくいただけます。
- ちなみに2煎目以降は、茶葉が開いているので蒸らしの時間は必要ありません。
甘みと旨みを愉しむなら水出しで
新茶特有の甘みや旨みを堪能したいなら、迷わず水出しで。
なぜなら、甘みや旨み成分であるテアニンは水温に関係なく抽出される一方で、苦み成分であるカテキンは高温でしか抽出されないからです。つまり、低温でじっくり淹れることによって渋さや苦みを抑え、より甘み・旨みの強い味わいのお茶を愉しめる、というわけです。
淹れ方と手順
- ポットやボトルに茶葉を入れます。目安は水1リットルに対して10グラム程度。
- 手で触って冷たいと思う程度の冷水を注ぎます。夏場などの水温が上がりやすい時期は、注ぐ前に水温の確認を!
- 茶葉全体が水に触れるように軽く揺すって、冷蔵庫に。そのまま3時間〜6時間程度抽出します。
急いでいるときは、水100ミリリットルに対して茶葉を10グラム程度使うと3分ほどで抽出できます。また、水の代わりに氷水を使えば、深い緑の水色が美しいお茶に(抽出時間は少し長めの5分ほど)。
水出しの緑茶は包容力が高く、フルーツやハーブとの相性も抜群。詳細な淹れ方・アレンジ方法は「作り方&アレンジレシピ付き☆コールドブリューで楽しむ緑茶とコーヒー」緑茶編にて紹介しています。
保存するときは(できれば小分けにした上で)密封した後に、冷暗所に。茶葉は匂いを吸い込みやすいので、冷蔵庫で保存する時はチャック付き袋に入れた上で、タッパーなどの密封容器に入れると◎です。
初夏の花「薔薇」を味わう
ホテルのパティシエがつくる5月限定のドルチェは「ヨーグルトムースを薔薇のジュレで」。
このドルチェのメインは、なんといってもキラキラと淡い薔薇色に輝くジュレ!
見た目の可憐さもさることながら、口に含むと薔薇の芳香が鼻腔をふんわりと満たして、とても幸せな気持ちに。ヨーグルトムースとともに食べれば、柔らかな酸味と華やかな薔薇の香り、という意外なマリアージュを楽しめます。
この薔薇のジュレを引き立てるヨーグルトムースにも秘密が。
一般的なムースのレシピでは、軽さを出すためにシロップを用いたイタリアンメレンゲを入れますが、このヨーグルトムースのレシピは、生クリーム・ヨーグルト・お砂糖(もちろんゼラチンも)だけのシンプルなもの。だから、クセのない、軽く爽やかな口当たりに仕上がっているのです。
生クリームの乳風味とヨーグルトの酸味がほどよく溶け合った、存在感がありながらもフワリと消えてなくなるこのムース、別添えで出てくる苺のソースと合わせて食べても美味しい!県内産苺を使った果肉感のあるソースとヨーグルトの酸味のマリアージュで、2倍楽しめるドルチェでした♡
撮影協力:リーガホテルゼスト高松 ARGO
香川県高松市の中心市街地に位置し、地元の人にも愛されるシティホテル「リーガホテルゼスト高松」。その1階にあるARGO(アルゴ)は、ゆったり落ち着いたインテリアの中で、豊かな香りが自慢のコーヒーを愉しむ空間です。
今月のイベント│大切な人にお花を贈ろう
すずらんの日(5月1日)
フランスではこの日に「再び幸せが訪れる」の花言葉を持つすずらんの花を、大切な人に贈る習慣があるのだそう。日本ではお花屋さんを中心に、徐々に浸透しつつあるイベントです。母の日が近いことから、カーネーションの代わりに送る人も増えてきているのだとか。
白く可憐なすずらんの花は、パリの有名メゾンの創設者が愛したことでも有名。清潔なホワイトリネンを想起させるグリーンがかった芳香は、バラ・ジャスミンと並んで三大フローラルノートと呼ばれ、多くの香水のモチーフになっています。
ちなみにフランス語ですずらんは「ミュゲ(muguet)」といいます。
母の日(5月第2日曜日、2019年は5月12日)
日ごろの母の苦労を労り感謝の気持ちを表す日ですが、実は母の日は世界各国にあって、その由来も日付もバラバラ。
日本における母の日は、アメリカから伝わったものです。
1907年、南北戦争中に活躍した社会活動家である母親の追悼のために、娘が教会でカーネーションを配ったのが始まりとされています。これをきっかけに全米に母親に感謝するムーブメントが広まり、1914年に米国議会が祝日に定めました。
日本に伝わったのは1913年、大正時代のことですが、全国的な行事になったのはもう少しあとの時代のようです。
母の日のギフトとして代表的なカーネーションは、日持ちのいいお花の代表。気温の高くなってくるこの時期でも、上手に管理すれば2週間前後は楽しむことができます。
ポイントは花瓶の水を綺麗に保つこと。気温が高くなってくると、水の中でバクテリアが繁殖しやすくなります。バクテリアが繁殖して水が汚れると、水に浸かった部分の茎が傷んだり、花が水を吸い上げられなくなって枯れてしまいます。
防ぐためには、
- 水に浸かる部分の葉っぱは取り除く
- 切り花長持ち剤を使う
- こまめに水を替える
- 花瓶に水はたくさん入れない(切り口が浸かる程度で充分)
- 活ける前に、よく切れるはさみで水切り(綺麗な水の中で茎を斜めに切ること)をする
などを参考にしてみてくださいね。
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次回の「くらしの歳時記」は6月水無月編。
お楽しみに!