くらしの歳時記【2019年6月・水無月】

空気中の水分量が徐々に増えていくこの月。
もうじき白い梔子の花が咲き始め、重ったるくも甘い、濃厚な香りが、湿気をはらんだ空気に乗って自己主張を始めます。その一方で、紫陽花の緑が雨で濃く引き立ったのにハッとするなど、自然の美しさに目を見張る時期でもありますね。
そんな6月の暮らしの歳時記を紹介します。


6月の和名「水無月」の由来

梅雨入りする月の名前が「水が無い月」なんて?と思うかもしれません。
実は「水無月」の ”無” の字は、”の” に該当する連体助詞。ですので、水が無い月どころか、「水の月」というドンピシャの意味なんです。田んぼに水を引く時期であることから、水の月=水無月と呼ばれるようになったと言われています。

水の月に咲く、「水」を名前に持つ花

そんな水の月に咲く花といえば紫陽花(あじさい)。英語では「Hydrangea(ハイドランジア)」、水という意味の「hydro」を名前の中に持つ花です。
花——といっても、私たちが花びらだと思っているものは、実は「ガク」の部分。そのガクの真ん中にある、小さな粒のようなものが花です。

紫陽花の花
中央の小さな濃青の部分が紫陽花の「花」

花を構成するのほとんどの部分が「ガク」、つまり葉っぱの一部のため、紫陽花は水がかかっても花傷みしません。むしろ水を好む性質のため、葉水をしっかりあげるくらいの方が、綺麗に長持ちするようです。梅雨の最中でも色鮮やかに咲くのは、こんな秘密があったのですね。

また、紫陽花は室内花としてもオススメ。1本でもボリュームがあるので、そのままシンプルに飾っても、他の花と組み合わせても、可愛らしく仕上がりますよ。ドライフラワーにすればアンティークな風合いになって、インテリアのアクセントとしても◎です。


2019年6月の暦と行事

小満1日 衣替え芒種16日 父の日和菓子の日
2日17日
3日18日
4日 歯の衛生週間(10日まで)19日
5日20日
芒種6日 芒種夏至21日 
7日22日 夏至(日)
8日23日
9日24日
10日 時の記念日25日
11日 入梅26日
12日27日
13日28日
14日29日
15日30日 夏越の祓

6月6日の芒種から7月7日の小暑までが「仲夏(ちゅうか)」。
初夏が終わり、いよいよ「夏の真ん中の月」になります。爽やかな暑さの初夏から、湿度をはらんだ梅雨の時期へ、そして夏至を経て酷暑の季節へ移り変わる、夏のクライマックスとでもいうべき時期です。


今月の味覚│夏の味を仕込む。あるいは、涼しさを感じるお菓子

梅仕事のススメ

スーパーの店頭などに青梅が並び始めると、梅仕事シーズンのはじまりです。
いま仕込んでおけば、夏の間中、いつでも爽やかな梅の味を楽しめますよ。

「梅仕事」とは、梅の実を収穫し、梅酒や梅干し等を仕込むための一連の作業のことです。梅酒や梅シロップに使われる青梅は、まさにこの時期がトップシーズン。これを過ぎると、甘露煮や梅干しに使われる黄色い完熟梅になります。

梅仕事

未体験の人にとっては、なんだか難しそうに思える梅仕事。でも、作業自体はシンプルで簡単です。基本は4ステップ。

1.水洗い

梅仕事(水洗い)大きなボウルなどに梅を入れて、流水でひとつひとつ丁寧に洗います。
キズが入るとそこから傷んでしまうので、ボウルに移すときに高いところから落としたりしないように!そっと手を使って、ゴミや汚れを落としていきます。

2.アク抜き(新鮮な青梅の場合)

梅仕事(アク抜き)青梅の場合はボウルに水を張って、2〜4時間ほどアク抜きをします。
ただし黄熟した梅やキズのある青梅は、水に漬けると傷む原因になるのでこのステップは省略します。また収穫後時間が経った青梅や、少し黄色に色づき始めた青梅も、アク抜きは必要ありません。
※しっかりアク抜きをしようと長時間水に漬けるのもNG。色が悪くなってしまいます。

3.ヘタ取りと乾燥

梅仕事(ヘタ取り)ザルにあけて水気をきったら、キッチンペーパーや布巾で一粒ずつ拭いていきます。その後、しばらく乾燥させましょう。
このタイミングで、竹串を使ってヘタを取り除いておきます。そのままでも差し支えはありませんが、ヘタはえぐみの元。より美味しい仕上がりを目指すなら、面倒でもヘタ取りを!

4.容器の消毒

ガラス瓶の煮沸消毒梅を漬けるための容器を消毒します。耐熱ガラス製なら熱湯で煮沸消毒を、そうでないガラスやプラスティック製などの容器なら食品に使える消毒用アルコールや焼酎などを使います。同時に使う道具類も消毒しておきましょう。

この作業の目的は、仕込んだ梅をきちんと長期保存することにあります。いくら大量の塩や砂糖、アルコールに漬けるとはいえ、梅の実に傷みがあったり、雑菌が混入してしまうと簡単に黴びてしまいます。せっかくの梅が台無しにならないよう、1ステップごとに確実にやっていきましょう。

初めての梅仕事なら「梅シロップ」がオススメ
水やソーダで割ったり、カクテルのベースに使ったり。はたまた、かき氷のシロップとしても使っても美味しい、アレンジの幅が広い梅シロップ。準備するものも少なくて済むので、初めての梅仕事にはオススメです。
梅シロップ用意するものは梅と、梅と同量の氷砂糖(またはグラニュー糖)、そして消毒済みの保存瓶だけ。
手順も、保存瓶に洗って乾かした梅と氷砂糖を交互に入れるだけで完了します。グラニュー糖を使う場合は、一番上は砂糖になる(お砂糖で蓋をするイメージ)ようにしてくださいね。
梅シロップ入れ終わったらシッカリ蓋をして冷暗所に。あとは1日に数回、容器を揺すって砂糖を溶かし、梅がシロップに浸かるように調整します。揺するのをサボると発酵が始まってしまいますので、毎日必ず瓶を観察してくださいね!
お砂糖が溶けきったら完成(約10〜15日程度)。梅を引き上げて冷蔵庫で保存を。引き上げた梅はそのまま食べたり、ジャムにリメイクできますよ。
慣れてきたら、お砂糖をきび砂糖に変えてみたり、リンゴ酢またはシナモンなどのスパイスを追加するなどして、オリジナルの梅シロップ作りにもチャレンジしてみてくださいね。
ーーーー
できあがった梅シロップはそのままでもOKですが、ガーゼや目の細かいザルなどで漉し取って、沸き立たせないように15分ほど弱火で加熱すると保存に向きます。とはいえ、やはり傷まないうちに(目安は3ヶ月程度)飲みきってしまいましょう。

夏越の祓(6月30日)には、厄払いのお菓子を食べる

夏越の祓とは、毎年6月と12月の晦日に行われる神事のうち、6月に行われるもの。正月から6月までの半年間の病や罪穢を祓うため、茅の輪くぐりや形代流しなどの儀式を行います。

そんな日にいただくのが「水無月」。夏を元気に乗り越えるための縁起菓子です。ういろうの上に邪気を祓う小豆をあしらった三角形のお菓子は、暑気を払う氷を模しています。

水無月

その昔、宮中では「氷の節句」を旧暦6月1日に行っていました。氷室から取り寄せた氷を口に含んで、暑気を払ったり、夏を健康に過ごせるように祈る年中行事です。
ちなみに氷室とは、冬の間にできた氷を夏まで保存しておく冷温貯蔵庫のこと。地下などの涼しいところに作られていました。このように天然のものを保存するしかなかった時代において、夏場の氷は貴重品であり、とても高価なもの。それゆえに一部の権力者が独占するものでした。
臣下は行事の際におこぼれをもらえることもあったようですが、庶民にとっては手の届かない高嶺の花。簡単には口にすることのできないものでした。そこで氷の代わりにされたのが水無月です。

古くから京都を中心に親しまれてきた行事食でしたが、最近では全国のお菓子屋さんで作られるようになっているようです。夏の訪れを感じる水無月、見かけたら是非賞味してみてくださいね。

マンゴーで夏を先取り

ホテルのパティシエがつくる6月限定のドルチェは「マンゴーの濃厚ムースパフェ」。
梅雨の合間に輝く太陽を連想させる、鮮やかなオレンジ色が目を引くドルチェです。

マンゴーの濃厚ムースパフェ

パッションフルーツを混ぜて酸味を持たせた、ふんわりとろける口当たりのムースに、ピューレから丁寧に炊いた濃厚ソースがしっかりと絡むから、ガツンとマンゴー味なのに爽やかな後口。鼻腔に抜けていくトロピカルな香りが、梅雨時の湿気でボンヤリ沈みがちな気分を上げてくれます。

マンゴーの濃厚ムースパフェ(断面)

提供の方法にもこだわりが。ムースパフェの入った器が氷水で冷やされた状態で出てくるから、さいごのひとくちまで冷たく美味しくいただけます。目にもひんやりと夏らしく。濃オレンジのソースとゴールデンイエローのムースが織りなす濃淡の層も可愛らしいですね。

撮影協力:リーガホテルゼスト高松 ARGO

香川県高松市の中心市街地に位置し、地元の人にも愛されるシティホテル「リーガホテルゼスト高松」。その1階にあるARGO(アルゴ)は、ゆったり落ち着いたインテリアの中で、豊かな香りが自慢のコーヒーを愉しむ空間です。


今月の記念日│はやぶさの日(6月13日)

「はやぶさ」とは鳥ではなく、小惑星探査機の名前です。
正式名称は「第20号科学衛星MUSES-C」。小惑星までイオンエンジンを使った飛行を行い、自律飛行をしながら小惑星に近付き、その表面から物質サンプルを採取して持ち帰ることをミッションとして、2003年5月9日に鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から発射されました。

はたして2010年6月13日、はやぶさは約60億Kmもの長旅を終えて地球に帰還します。満点の星空をまばゆい光が翔け抜ける、美しくも感動的な帰還シーンを記憶している人も多いでしょう。そしてご存知のとおり、小惑星のサンプルを持ち帰ることもできました。これは世界で初めての大偉業です。
その偉業を讃えるための記念日が「はやぶさの日」。はやぶさの開発や運用に関わった人びとの「あきらめない心」「努力する心」を伝えていくことを趣旨としています。なんだか背筋が伸びるような気持ちになる日ですね。

2019年6月の今は、後継機「はやぶさ2」が遠い宇宙空間で活躍中。
帰還は2020年末ごろの予定です。はやぶさの時のように、みんなで出迎えるのが楽しみですね。

次回の「くらしの歳時記」は7月文月編。
お楽しみに!

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